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2023年への指針となるか、明暗分かれた22年の株式市場-マクロが重要 2022年12月31日 11:33 JST  Bloomberg

2023-01-01 16:56:35 | 日記

2023年への指針となるか、明暗分かれた22年の株式市場-マクロが重要
Lu Wang (News)
2022年12月31日 11:33 JST  Bloomberg

22年は誰もがマクロトレーダーにならなければならなかった
23年も大きな経済トレンドに留意することが重要になる公算


株式強気派にとって2008年以降で最悪の年は、有力な投資戦略がこの20年で最も大きく異なる方向に動いた年でもあった。

  米国株の主要な指標であるS&P500種株価指数の今年の下落率は約20%と、ダウ工業株30種平均の2倍以上。より正確なのはバリュー株と成長株の比較で、後者の下落率は前者を2000年以降で最も大きく上回った。

  クオンツ投資家は何年も、バリュー株が最後に勝つと主張してきた。22年には債券利回りの上昇や米連邦準備制度の引き締めなどさまざまな要因が重なり、相対的にこれが実現した。金融危機後の10年間を支配した大型テクノロジー株が苦戦する一方、エネルギー、保険、食品株が健闘した。

  サウト・ストラテジーのアンドルー・アダムズ氏は「22年は潮が引いた年で、誰が裸で泳いでいたかが分かった。安値を拾って保有しているだけでは利益が得られなくなった久しぶりの年だった」と話した。

 

  22年に好業績を収めるために必要だったのはただ一つ、ポートフォリオ構築で金利の影響を受けにくくすることだった。ロンドンに本拠を置く分析調査会社クオンツ・インサイトの最高経営責任者(CEO)、マフムード・ヌーラニ氏は約1年前、成長と信用リスクを懸念する顧客からの依頼を受け、メタ・プラットフォームズやペイパル・ホールディングスなど人気が高かった銘柄の保有を25%減らし、コカ・コーラやシェルなどを増やすことをポートフォリオマネジャーらに指示した。

  銘柄入れ替えの効果は4カ月後に明らかになった。調整が行われなかった場合に比べ4ポイント高いリターンが得られたのだ。

  この例は22年の主要テーマを浮き彫りにした。インフレと米金融政策の行方が市場を動かす主要な力となった時には誰もがマクロトレーダーにならなければならないということだ。

  中国が新型コロナウイルス対策の制限を解除し米リセッション(景気後退)の議論が高まる中で、23年も大きな経済トレンドに留意することが重要になる公算が大きい。

  「個別銘柄のアルファ(超過リターン)とファンダメンタルズ調査にしがみつこうとしても、マクロ情勢がそれを定期的に吹き飛ばす世界」を運用者は受け入れなければならないとヌーラニ氏は指摘。「こうしたマクロ期を乗り切り実際にそのアルファを収穫するためには、マクロを意識する必要がある」とインタビューで語った。

 


  インフレと米金融政策が関心の中心となる中で個別企業のファンダメンタルズは後ろに押しやられ株式の足並みをそろえた動きが市場を席巻。22年には83営業日にS&P500種の400以上の構成銘柄が同じ方向に動いた。

  株式ばかりではない。ロシアのウクライナ侵攻やイングランド銀行(英中央銀行)の国債市場への介入といった事件には商品や債券、通貨などほぼ全ての資産が振り回された。バークレイズが算出したクロスアセット相関の指標は今年8月までにほぼ2倍になり、過去17年間での最高の一つを記録した。株式と米国債は同じ方向に動き、米ドルは逆行するというパターンは今年28週にわたって起こり、少なくとも1973年以来の頻度となった。

  持続的なクロスアセット相関はトレンドフォロー型クオンツファンドに恩恵、ストックピッカーには痛みをもたらした。テクノロジー株と成長株を選好した場合は特にそうだ。

  ボーナイト・キャピタル・マネジメントのパートナー、マット・フレーム氏は「今年の運用成績が悪かったのは金利やこの新たなパラダイムシフトで幅広く起こっていることをマクロ的に認識していなかった人々だ」とし、うまく行った人は「そのような全体的な変化に適応する方法を知っていた」と話す。同社は銘柄選択ヘッジファンドだが、米金融当局のタカ派姿勢を見越してハイテク株に対するショートを増やし株式エクスポージャーを減らしたという。

  中銀の行動に注意を払わないことのリスクは明らかだ。22年にS&P500種が週間ベースで最も大きく下落した5週間は全て、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合直前か前後だった。
relates to 2023年への指針となるか、明暗分かれた22年の株式市場-マクロが重要
S&P500種の経済成長に対する感応度

Source: Quant Insight 

  クオンツ・インサイトのヌーラニ氏によると、マクロの力が市場パフォーマンスに与える影響を把握することの重要性を認識するプロの投資家は増えている。資産価格と、流動性や金利予想など20以上のリスク要因との関係を分析する同社のマクロリスク商品は22年10-12月(第4四半期)に10社以上のの新顧客を獲得した。

  23年については、国内総生産(GDP)の伸びが株式相場を動かす重要な要因の一つとして浮上したことを、同社モデルは示しているという。

  「23年のリスクは景気後退とクレジットサイクルの転換だ。当社が今注力しているのは、世界のGDP成長率とクレジットスプレッドへのエクスポージャーに目を向けるよう顧客や見込み客に促すことだ」とヌーラニ氏は述べた。

原題:As Roads Split in 2022 Stocks, One Trade Made All the Difference(抜粋)

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