米国株、ダウ大幅続落 主要3株価指数が年初来安値
米国・欧州株概況2022年5月10日 5:04 (2022年5月10日 5:11更新)
【NQNニューヨーク=戸部実華】9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に3日続落した。前週末比653ドル87セント安の3万2245ドル50セント(速報値)で終え、3月8日以来となる年初来安値を更新した。インフレや米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めを警戒した売りが続いた。米長期金利が一時3.2%と2018年11月以来の水準に上昇したのも株売りを誘った。中国景気の減速懸念も投資家心理を悪化させた。
ダウ平均を含む主要3株価指数がいずれも年初来安値を更新した。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も3日続落し、前週末比521.414ポイント安の1万1623.248(速報値)で終えた。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は前週末比131.98ポイント安の3991.36(速報値)で終えた。終値で4000を下回ったのは2021年3月以来だ。
前週末発表の4月の米雇用統計は労働需給の逼迫と賃金上昇の高止まりを示した。11日には4月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控える。市場は前年同月比の伸び率がやや低下するとみているが、前月比では加速する可能性もあり、FRBの急激な金融引き締め方針に変化はないとの見方が多い。インフレを反映して米長期金利の上昇が止まらず、ハイテクなど高PER(株価収益率)株の売りを誘った。
中国景気の悪化も懸念材料だ。9日発表の中国の4月の貿易統計で輸出が大幅に鈍化した。新型コロナウイルス感染拡大を抑制するための都市封鎖や行動制限が経済の足かせになるとの見方に加え、サプライチェーン(供給網)がさらに混乱するとの見方が広がった。長期化するウクライナ戦争も相場も投資家のリスク回避につながった。
個別では業績が中国や世界景気の影響を受けやすい銘柄への売りが目立った。航空機のボーイングが10%安と急落した。米原油相場の下落を受けて石油のシェブロンは7%安。インフレが消費を冷やすとの見方から消費関連株が売られ、クレジットカードのビザは5%下げた。
ハイテク株も軒並み売られ、ソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォース、スマートフォンのアップルが大幅安となった。