「日入りはてて、風の音虫の音など、いとあわれなり」。『枕草子』では秋の最高の趣を「夕暮れ」としています。
夕方、日が沈み、低い雲が地球の影に入っても、地平線の彼方から光を受けて空一面が茜色に輝きます。
処暑の頃は、夕焼け空が視線を一身に集めるような色を見せてくれます。
「夕焼けは晴れ」といわれますが、「夏の夕焼けは嵐の前触れ」ともいいます。
とくに不気味なほどの色を見せる夕焼け雲は、嵐を呼ぶ張本人なのです・・・
今日聴いたジャズ・・・
LASSE TORNQVIST & JAN LUNDGREN・・・「EVERYTHING HAPPENSS TO ME」
本作は、スウェーデンのSWEET JAZZ TRIOのリーダーとしてもお馴染み、コルネット奏者、ラッセ・トゥーンクヴィストと、
同じく、スウェーデン・ジャズ界を代表するピアニストのヤン・ラングレンが織りなす美しいデュオアルバム。
ライナーにもあるように、音には、そのミュージシャンのすべてが表われるというけれど、人生の喜びは喜びととらえ、悲しみや
傷みは静かに彼方へと消え去るのを待っている。ラッセのコルネットのおだやかな響きは、そんな人生の機微をきわめたところから
生まれてくるもののような気がしてならない。
一方、ラングレンは、メロディックによく歌う演奏を聴かせることで定評があり、自身のトリオを中心に活躍を続けるいっぽう、
さまざまなフォーマットへの自在な適応性もっているピアニスト。
本盤を聴いていると決して派手さはないものの、お互いがそれぞれの実力を認める間柄らしく、優雅なインタープレイが繰り広げられて
いく。ラッセは、メロディを慈しむかのように、淡々とテーマを吹き、繊細なアドリブ・メロディーを綴りあげていく。また、
先輩であるラッセの持ち味を充分に引き出すべく、美しいバック・グラウンドを弾き上げていくラングレンのピアノが印象的。
全12曲、30年代に書かれたという、”LITTLE MAN YOU’VE HAD A BUSY DAY ”、、イギリスのジャズ・トラペッター、
ハンフリー・リトルトンの ”WE FELL OUT OF LOVE ”、、北欧を代表する伝説的なバリトン・サックス奏者、ラース・ガリン
53年に書いた哀愁のメロディー ”DANNY’S DREAM ”、、ピアニスト、ジューク・ジョーダンによって書かれたロマンティックな
”MY QUEEN IS HOME TO STAY”、、また唯一ラッセのオリジナル ”ジル”など多種多彩なナンバーを採りあげている。
※ 私の長年の夢はコルネットとピアノのレコーディングを果たすことであった。ある日、もう何年も前のこと、
とあるパーティーでかの偉大なピアニスト、ヤン・ラングレンの演奏を耳にすることができた。彼のなんとも素晴らしいピアノ
の扱い方に聞き惚れ、「ぜひ二人でレコーディングしたい」と彼に伝えた。
ヤンの答えは、「もちろん、ぜひやりましょう!」そして、今やっとそれが現実になったのだ!
プロデューサーの佐々智樹氏に多謝!そしてヤン・ラングレン!そして私の最愛の妻、ジル!
私にはすべていいことが起こってくれる! ---ラッセ・トゥーンヴィストーーー
※ ラッセとの共演は大きな喜びだった。
彼はピュアでメロディアスで、とても誠実なスタイルを持っている。 ---ヤン・ラングレンーーー
1・EVERYTHING HAPPENS TO ME・・・2・THANKS A MILLION・・・3・枯葉・・・4・I’M CONFESSIN’・・・5・LITTLE MAN
YOU’VE HAD A BUSY DAY・・・6・MOON LIGHT BECOMES YOU・・・7・DANNY’S DREAM・・・8・THE VERY THOUGHT
OF YOU・・・9・JILL・・・10・WE FELL OUT OF LOVE・・・11・MY QUEEN IS HOME TO STAY・・・
12・風が森にそよいで・・・
ラッセ・トゥーンクヴィスト(コルネット)
ヤン・ラングレン(p)
2010年8月26、27日 ストックホルムにて録音・・・