songzhaoのボケ封じ数学講座第６８講

　未だ（草案）となっているトラバース測量には、さまざまな先人たちの知恵が詰まっています。・・・・それを一つ一つ探し出す旅に出ましょう。

　まず、時間と角度ということをテーマにしたいと思います。

　現在学校では角度を十進法と捉えて教えているようですが、測量では昔の伝統が色濃く残っています。例えば、４０．５度を表わすとき４０度３０分という言い方をします。４０．１度のときは１：１０＝Ｘ：６０という比例式を解かなければなりません。このときｘ＝６分となります。だから、４０．１度は４０度６分です。

　またこの表現方法は地球上の位置を特定するのにも使われます。イギリスのグリニッジ天文台を基点として、東に行けば東経、西に行けば西経といった具合です。奇しくも東西に１８０度進んだところが太平洋上にあって、そこが日付変更線となっています。また、３６０度を２４時間で割った１５度が１時間ごとの時差となっています。

　測量で角度を測るとき、１度＝６０分＝３６００秒というとても精密な観測を行います。これを十進法で計算すると１／３６００＝０．０００２７８度となります。しかし、計測機器もこれほど精巧には作れないので、５秒読みとか１０秒読みとなっています。

　余談はこれくらいにして、一つ問題を出しましょう。

　設問：ある地点から５０．０００メートル進んで、１２０．００分００秒の角度で左に周り、そこから５０．０００メートル進んで、１２０．００分００秒の角度で左に周り、そこから５０．０００メートル進んで出発点に戻るとき、歩いた軌跡で囲まれた面積を求めなさい。（これは一辺が５０．０００メートルの正三角形の面積を求めなさいという問題と同じ）

　それでは、現在ＦＸ－８９０Ｐに入っているトラバース測量のプログラムを立ちあげてください。

　「ヘイゴウ　Ｙ／Ｎ　？」という表示となりますから、閉合するということで、Ｙを入力します。「トラバース　スウ　？」には３を入力します。「キュウセキテンスウ？」には３を入力します。「データ　Ｐｒｇ．　？」には現実にデータ入力プログラムのプログラム番号を入力します、私の場合は７。

　次に、「Ｔｒ．ニ　オケル　ソクテン　スウ」と各トラバース点における測点数を聞いてきますので、「Ｔｒ．（０）＝？」に１、「Ｔｒ．（１）＝？］に１、「Ｔｒ．（２）＝？」に１と入力します。

　「Ｔｒ．（０）－Ｔｒ．（１）ノ　ホウイカク　？」と聞いてきます。これは、現在測量が行われる場所のＴｒ．（０）において子午線からＴｒ（１）の角度をいいます。測量の最重要事項ですが、出鱈目な数値を入れても形状と面積計算に影響を及ぼさない不思議な数値です。とりあえず、９０．００００（９０度００分００秒）と入力します。
　
　「Ｔｒ．（０）ノ　Ｘ．Ｙ　ザヒョウ？」これも任意の数値を入力すれば良いのですが、座標値がマイナスとなることを嫌うので、その辺を配慮しました。とりあえず０，０と入力します。測量では、数学で一般化している直交座標のＸ．Ｙが逆になっていることだけ認識する必要があります。

　「カクドホセイ　タンイ　ｓｅｃ．？」これも１秒から補正できるようになっていますが、とりあえず１と入力。

　「キョヨウ　ヘイゴウヒ　＝１：　？」とはトラバースの全長に対するヘイゴウ誤差のヒリツですが臨機応変に適宜入力すればよい。とりあえず１０００と入力しよう。

　「ナイカク　ゴサ　ケイスウ 　＝？」これは角度でも距離でも１回の計測誤差がｄであるとき、Ｎ回の測定を行うときには、統計的に誤差の範囲がｄ＊ＳＱＲ　Ｎとなるので、ここでは、一回の内角の角度の測定誤差を入力します。とりあえず２と入力。

　これだけの入力事項をクリアーすると、このプログラムはＰ７から測量データを受けとって帰ってきて、＜ＭＥＮＵ＞　データ　リスト　　＝１　　メンセキ　ケイサン　＝２　　チャート　　　　　　＝３？という表示になります。

　メニューの番号をそれぞれ指定して、計算結果を確認してみてください。方位角をさまざまに変えて入力して、図形がどのように変化するか試してみてください。

　なお、このプログラムで計算される設問の三角形の面積は１０８２．５２５ｍ２となります。学校で習った三角形の求積公式で計算すると、５０＊５０＊ＳＱＲ３／２／２＝１０８２．５３１７ｍ２となります。