Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

間違いの喜劇;ペンブルック劇団

2015-10-02 20:24:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


「THE COMEDY OF ERRORS/間違いの喜劇」というシェイクスピア劇を見て来ました。ペンブルックプレイヤーズというケンブリッジ大学の劇団ツアーで、これは2007年から学術文化交流のため毎年開催されているとのことです。私が行った明治大学での公演はなんと無料。でも有料でも2~3000yenと、NTライブよりも安価です。

「十二夜」などに比べ知名度のないこの作品、シェイクスピア初期のもので、私も初めて聞きましたのであらすじを直前に調べました。

ストーリー:

双子の息子とこれまた双子のその子達の従者を持つ夫婦が、航海中の嵐で生き別れとなった。夫婦はそれぞれ息子ひとりとその従者ひとりずつ伴い、お互いの行方は知らずに25年間、別々の町で暮らした。弟の方は兄を探し出したいと従者を連れて旅に出た。ある町で父は逮捕されてしまう。その町では兄が成長し結婚していて、弟と従者もそこに流れ着き、兄の妻や町の人々に弟と間違われて大混乱。そのせいで追われる身となった弟は修道院に逃げ込む。ラストは修道院長が行方不明になっていたお母さんで、自分の夫と息子達、従者達だと気づき、大団円となります。

感想:

シェイクスピア初期の作品だけあって、どこかで聞いたような設定や出来事が散りばめられていました。後に、双子の取り違えは「十二夜」に、嵐で遭難は「テンペスト」に、あと町の有力者(ここでは公爵でした)が町民の行いを裁く、というシーンも「ロミオとジュリエット」を始め多出するのは、シェイクスピアビギナーの私にもわかります。(笑)

この話が成立するトリックがありまして、2組の双子達、2組とも同じ名前なんです。息子はアンティフォラス、従者はドローミオ。だから町の人達は間違えるし、本人達は間違われていることになかなか気づかないのです。いくら双子でも、当時のイギリスでは同じ名前をつけたことがあったのか、それとも外国の話にしてるから、そういう土地があるかもね、くらいの暗黙の了解なのか・・・

そしてペンブルック劇団では、今回従者を女性の双子にしていました。主な登場人物には、生き別れの家族以外に、兄の妻、その妹、宝石商と3人いるのですが、全員女性で、その上双子の従者も女性にしてしまったのでは、多すぎてシェイクスピアの雰囲気じゃないかも?!と思ったのですが、見ているうちに従者達は道化役を兼ねているので、性別がない存在なのだと気がつきました。大学生の劇団ですので、道化役と言えども若い女性達。肉体的にはそうなのですけど劇が進むにつれ中性的に見えて来るので演技が巧いのでしょうね。

息子の双子の方は、ふたり同時にステージに立つのは最初と最後だけで、ほぼ1度にひとりだけを観客は見るようになっています。髪型と髪の色、衣装はほぼ同じで、違いはズボンの丈と靴の色。だから本当にそっくりな人達に見えて町の人と同様に騙されてる気分になれるんですが、ラストでふたりがお互いを見つける時は、ステージ上で線対称に見つめ合って立つと、実は身長が10cm以上も違う人だったと分かるの面白かったです。それでも劇中では奥さんが自分の夫はどっちなのか区別がつかないくらいソックリということになっていて、観客はその時点では「全然違うふたりじゃん」と見比べているから思うのですが、シェイクスピアのお話につきあって「ソックリなのね~」と騙されたフリをするのがまた楽しいです。

他の劇場や大学もツアーでまわっていて、セミナーをやった大学もあったので出席したかったのですけど、それはそこの大学生限定だったので残念でした。やはりシェイクスピアの台詞は私には難しくて、否定文の文法の違い、thouなどの現代文にはない代名詞があることくらいは分かって来たのですけど、さらに詩的な表現にはメタファーも多いし、せめてこの時代の文法くらいは勉強しないと聴き取れなくて眠くなるのが辛いです。がしかし、ハムレットいくつか見た時点でなぜ勉強しなくちゃいけないと気づかなかったのか。くく。

今回のキャストでは弟役をやった背が高い方の俳優さんがイケメンでした。この劇団からはピーター・クックやエリック・アイドルも出ているし、スモーカーズと呼ばれるコメディショーではモンティ・パイソンが初めて出会った場所として有名とのことですが、コメディ以外でも彼ならこの先活躍するんではないかと思います。

ところでお客さんの入りはまあまあ、満員ではないけど寂しくもないくらいでした。この企画を続けるためにはお客さんが来ることが必要とケンブリッジでコミュニケーション&インフォメーションを教えている先生が挨拶で言っていました。ぜひ続くことを願っています。ツイッターでは私もお知らせをRTしたのですけど、来年はもっと英国大使館とかブリティッシュ・コマース(商工会議所)などを使って告知したらいいのに。しまった、今日終わった後に気づいてたら先生に言って来れたのに。

私は会場時間に行ったら1番前の席に座れたのですけど、劇中で弟息子がバナナを持った従者の手をたたいたんです。そしたら、バナナの中身の上半分が私の足もとに飛んで来て、それを踏みつけるのが嫌で、その後の観劇はスリリングなものとなりました。劇が終わってバナナを見おろしたらすでに半分茶色になっていました。





スコットランド:リンリスゴー

2015-10-01 16:52:00 | イギリス
滞在中にざくっと書いたスコットランドの旅をもう少し書いておきます。

今回イギリスには3週間滞在でき、ロンドンで知り合った友人が今スコットランドに住んでいるので、ターディス(ドクター・フーのタイムマシーンでスコットランドの青いポリスボックスの形をしている)を見に行くチャーンス!とばかり、訪問を決めました。

スコットランドへはロンドンから飛行機でも行けますが、私は車窓を楽しめる電車を選びました。チケット代はロンドン~エジンバラ経由~フォールドハウス、オフピーク(朝のラッシュアワーが過ぎた時間)往復の変更のきく種類で約130ポンド=\24000でした。

ロンドン出発はキングスクロス駅です。駅前に住んでいたことがあるので再訪を楽しみにしていました。今は中学生になった当時2歳の娘を連れて、電車を見にそして隣のテスコで夕飯の買物もした懐かしい駅。ところが・・・



↑ ハリー・ポッターのホグワーツ特急が似合う古い駅舎だったのが、すっかりモダンな手入れが入ってました。駅の周辺もかなり整備されて方向を見失うほどに。中2階ができてそこにレストランやカフェができました。写真はそのテラスから天井を見上げたところ。

↓ やけに混み合っている一画があると思ったら、そこは改装に伴って移動した9と3/4番線でした(笑)。時代が変わっても作品が愛されるのはホッとします。エディ・レッドメイン主演でスピンオフも予定されていることだし、ハリーシリーズの方も新時代を作って行くと考えて過去を偲ぶのはほどほどにしておこう・・・



さて、途中、ヨーク(パレーズエンド、クリストファーの土地ね)やニューキャッスル(キャビンプレッシャーで唯一マーティンが代役のエピね)を通り、ひつじの群れに喜びながら(クリックで拡大するので↓遠方まで続く点々をぜひご覧ください)、



こんなドラマチックな橋の上を電車は走りました。



牧場が段々と町になり、それが都会になり、エジンバラ駅に!



このガラスの天井と壁ごしに見えるお城のような建築物には嬉しくなりました。

実はここからが私のお上りさんぶりが発揮されたのです。
友人の住むフォールドハウスという駅までどの電車に乗ったらいいのか、何も調べて来なかったけど、「確かエジンバラとグラスゴーの中間、と友人が言っていたのだからグラスゴー行きだ!」と思いつき、駅の案内所で一応「フォールドハウスに行きたいんですけど、◯番線の◯◯時発でいいんですよね?」と確認質問もして、答えは「Yes.」でしたから自分の記憶力の良さに嬉しくなって乗り換えをしました。

エジンバラを出て約30分、そのローカル線にもちゃんと車掌さんが切符を見に来てくれて、そしてその電車はフォールドハウスに行かないことが判明したのです!!!車掌さんは、私が追加料金を払わなくてよいように切符の裏に乗り間違いの旨を書いてくれて、次の駅で降りて引き返すようにと教えてくれました。それから私は駅に迎えに来てくれる友人に遅れることをテキストで伝えて、エジンバラからまたやり直し。

敗因は、グラスゴーまでのルートは2つあったのです。それにしても駅の案内の人!

予定より2時間くらい遅れたけど、夏のスコットランドは日が長くて助かりました。



上は切符の予約表。午後3:13到着予定だったのだから、5時ころに着いたのですね。それでも友人宅にスーツケースを置いて、予定通りクイーン・メアリーの生誕の地、リンリスゴー宮殿へ行ってみました。

リンリスゴーの町は今調べてみたら12世紀から王家が住んでいたとのことでロンドンよりも古い建築物が残っていてロマンチックです。

お城?!と思ったら銀行だったり ↓



The Four Marysとは、きっとメアリー女王に関係があるのかな?と思って後で調べてみたら、スコットランド人なら誰でも知っている歌の名前で、4人のメアリーとは女王の次女だという説、血塗られた王家にまつわる諸説があるようです。↓



Kapital Kilt商店街で見つけた小さいけど素敵な紳士服の店・・・と思ったら本格的なキルトとメンズウエアのお店でした。日本で言ったら呉服屋さん?↓





寄り道したけど、宮殿に着きました。悲劇の王家の呪いか雨まで降り出しました。



こちらはオフィスが入っていると思われる復元されて使用中の部分。ヨーロッパの館らしく優美です。



私の乗り間違いのせいで遅くなり、宮殿の中に入る時間を過ぎてしまいましたがぐるっと回りを散策すると、すぐ近くの湖ではガレッタに励む人達が。雨でもめげないスコットランド人。↓



正しい電車に乗れていたら、この中庭にも入れたものを!下の写真は私が撮影したのではなく、「シャネル」が2012年にファッションショーをここで開催したとの記事にあったもの。そう言えば少し前にシャネルがスコットランド風のコレクションを発表したことがありました。そうか、ここで、ショーをやったのか!こんな地方都市までプレスやバイヤーは連れて来られて、宮殿の中で見せられたら、それはコレクションもさぞかしいいものに見えたことでしょう。



↓ その時のキャンペーンヴィジュアルは、忘れもしないティルダ様。



そんなゴージャスな宮殿を後にして、友人と駐車場に戻りその隣のテスコ(スーパーマーケット)に寄り道しました。

シャネルは売ってなかったけど、コーギーのソックスと、ピンクのサテンリボンが首の後についた黒のカットソーをセールで買いました。何となく怪しい王家気分で。カットソーはサイズ8(日本で7~9号)のハンガーにかかってたのですが、家に着いて中についてるタグを見たら、サイズ16・・・うむ、今はオーバーサイズで着る気分だからいいか。