Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

もうひとつの映画「Saint Laurent」

2014-09-21 23:06:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


ツイッターでもここしばらく「もうひとつのサンローラン映画」について騒いでしまったので、ふと我に返ってみたら、これはもう、映画を楽しみにしているというよりも、やっぱりデザイナーとしてのイヴ本人とイヴの服が大好きなんだ・・・と気がつきました。



このカトリーヌが着ている感じのお洋服は、現在の「サンローラン・パリ」でもパーマネント・コレクションとして売られています。ちょっと、お値段は、バイトの身には手が届かないのですけれども。でもこの世に存在するだけでも嬉しい。

それで、もうひとつの映画「Saint Laurent」は今月24日にフランスで公開されます。日本未定。
プルミエは5月のカンヌでした。→ Variety
監督:バートランド・ボネロ
主演:ギャスパー・ウリエル

すでにブログに感想を書いた「イブ・サンローラン」の方は、YSL生前のパートナー、ベルジェ氏&財団も公認、衣装やその他資料は完全にバックアップされているのに対して、もうひとつの「サンローラン」の方は非公式ということで公式な協力なしに製作されました。 → 
MATOME


これが「なんだろ??」とひっかかり、逆に見たいと思わせます。
と言うのは、前者は、イヴのブランドデビューからビジネス面をコントロールして、現在も財団を所有するベルジェ氏の公認作品。つまり、マネージャーの管理のもとYSL神話の結晶なのです。ベルジェ氏は確かに恋愛関係もあったでしょうが、やり手のビジネスマンとして、イヴ亡き後も、彼のライフワークを続行中なのですね。

これに対し、後者は「好き勝手に作らせろ!箱入りのイヴじゃなくて本当のイヴを表現したいからな」とベルジェ氏を向こうに回した、なんかパンクな態度なんですよね~

オートクチュールの申し子と言われながら、特権階級ではない人のために「サンローラン・リブゴーシュ」のプレタポルテで服を作ったイヴ。



そして男性用香水のキャンペーンに、自らヌードモデルになり、新しい男性像を提唱したイヴ。



彼は人生の早い時期に特権階級の世界で成功しながら、革新的な人でもあった。それは女性にタキシードを着せたり、有色人種モデルを起用するなど、今では当たり前のことを誰よりも先にやっていたのです。

ボネロ監督はイヴの享楽的な人生に、ドラッグやセックスに溺れる姿にスポットをあて、オートクチュールで2回、プレタで2回、計年に4回のコレクションを発表するハードな仕事人生の影の部分を描きたかったとのことです。(なんか色々な記事を読んでソースわからなくなってしまいました。すみません)そして、前者の公認映画では「人生のパートナーはベルジェひとり」と、イヴとベルジェ氏のロマンスが美しく描かれていますが、こちらの方はそうでもないとのこと!私はこの点がベルジェの機嫌を損ねた原因だと思いますが。。。。

よく考えたら、この映画、もしも日本で公開されなかったら、輸入DVDで我慢する、ということもできないんですよね。相手はフランス語!見てもまったくわからないじゃないですかあああああ・・・・

ぜひ、ぜひとも日本語字幕をつけて上映していただきたいです。

写真はこちらから。





イギリスにない洋菓子

2014-09-18 21:55:00 | たべもの
いつの日からか外国のものばかり語るブログになってます(笑)。気がつけば食べ物もイギリスのお菓子とジャンクフードがメインになってる・・・それはやはり、好きだからでしょう。が、こんな私もイギリスにいた時は天の邪鬼で日本のものが食べたかった。生ものは食べないので美味しい寿司はいっさい恋しくなかったけれど、イギリスで恋しかった日本の味とは・・・


10/15に売り出されるサンクスのパンプキンパフェです。このかぼちゃの顔がまた、かわいい♡


秋の果物のお菓子です。しかも日本で言う洋菓子。芋ようかんがないのはわかる。洋なのに、イギリスにはない。

日本では秋になると、栗、カボチャ、さつまいもの商品がご近所のコンビニでも買えて、それがなかなか美味しいのに、イギリスにはないんですよね!秋でなくても、日本では定番のスイートポテトやモンブラン、かぼちゃのパイもイギリスにはないです。

あのホクホク感のあるお菓子がどうしても食べたくて、かぼちゃのパイを手作りしたら、最初はイギリスの普通のパンプキンを煮たら水っぽいだけでちっともホクホクしてなくて大失敗。モンブランがないから自分で作ろうと、栗のペーストを探した時はキングス・ロードやその他フランス系高級食材店を探しまわってもない。さつまいもに至ってはやはり普通のスーパーでスイートポテトを買っても日本のとは違って水っぽくホクホクしない。と、ことごとく失敗に終わったのです。

その後、パリに行った時に栗のペーストを買って、手作りのマロンケーキをロンドンの日本人パーティーに持って行ったらとても喜ばれました。それから、テスコなどローカルなスーパーでも時々「kabocha」という商品名で日本と同じカボチャを売ってることや、日本のサツマイモと同じ種類の芋は、インド系やアラブ系の店で売ってることも突き止め、パイを作ったこともありました。

その時のトラウマのせいか今コンビニで秋限定のお菓子を見ると素通りできません。サンクスのカボチャのオバケ絶対買うぞー!


*その他、時々むしょうに食べたかったもの

クリームパン (中華街で買えた)
メロンパン  (韓国人のベイカリーで似たものを買えた)
ピーナツパン (どこにもなかった)
カスタードクリーム入りのシュークリーム(イギリスのは生クリームのしかない)
チョココロネ (なかった)

私は好きじゃないけど、アンパンも中華街のケーキ屋さんで売ってました。
中華街の洋菓子さんというのも、日本の洋菓子ともイギリスのお菓子ともまた違って、ジャンクな味がします。



バタフライケーキとバッテンバーグ

2014-09-16 17:47:00 | イギリス
手作りイギリスお菓子屋さんのモーニングトン・クレッセントが、珍しく15日祝日にオープン・ベイカリーをやってくれました。いつもは土曜日で、職場から徒歩5分の距離だけど私は仕事が休みなので、常々私の仕事がある日にやってくれたらいいのになあ!と思っていたのです。

仕事帰りに行ったら、お客さんはいないし、遠目にショーケースは空っぽ?!しかし、よく見ると空ではなく1個だけ「見本です」と書かれた小さいタグが横に置かれてケーキが残ってました。

それがバタフライ・ケーキです。



カップケーキの天辺を切り取って、その部分にレモンカードとバタークリームをのせ、その上にカットされたケーキの欠片を半分にしてトッピングしてあります。ケーキの欠片が蝶々の羽のように見えるのでバタフライ・ケーキというのです。今の日本ではあまり出回ってないバタークリームとレモンカードのダブル・コンチェルトはなかなか他では手に入らないと思います!

ロンドンにいた頃、チャリティ・ショップで買った古い(たぶん70年代くらいの)お菓子レシピ本を持っていたのですが、その表紙がこのバタフライ・ケーキでした。その時、見た目は凝ってるのに、簡単なケーキと書いてあったので印象に残っていました。しかしながら、私はロンドンでこのケーキを食べた覚えがありません。お店で売っていたのかもまったく記憶にないんです。もしかして、他のケーキと並んだら印象が薄かった??それとも、これはクラシックすぎて現代のイギリスではもはや絶滅の危機???どなたかご存知でしたら、お店で出回っているものなのかぜひ教えてください!

ケーキのショーケースの手前に、すでにラッピングされた少々日持ちのしそうなお菓子類も2段トレーに乗せられています。ここに、まだ私が試したことのない、バッテンバーグが残っていたので、それも買って来ました。



ピンクと黄色のアーモンドスポンジの回りに自家製マジパンを巻いた、お店のロゴにもなっているこの市松模様のかわいいケーキをなぜ私が今まで敬遠していたか・・・・

そ、それは、イギリスのスーパーによく売っている大量生産バージョンしか今まで食べたことがなく、かなり人工着色料が投入された身体に悪そうなイメージが刷り込まれていたからなのです・・・



これは菓子メーカーのものですが、スーパーのオリジナル製品にも必ずレパートリーに入ってるくらいメジャーなお菓子なので、ピンからキリまであり、私はきっとキリの方で判断しちゃったようです。

ステーシーさんのは、スポンジはしっとり、ピンクブロックと黄色ブロックのつなぎのアプリコットジャムもほんのりと甘酸っぱく、マジパンも柔らかくて美味しかったです。次も必ず買います!


こうして、今まで見落としがちであったベーシックなイギリス菓子を体験できたわけですので、「残り物に福」とは本当にあることもあるんですね♪

映画 イヴ・サンローラン

2014-09-12 15:33:00 | その他の映画・ドラマ・舞台
こちらのブログに来て頂いた方には左に貼っている写真でバレバレの、私のアイドルのひとり、イヴ・サンローランの映画をやっと見て参りました。


ELLE japonより

左のバナーの方は、2010年のドキュメンタリーで、イヴ本人の映像をパートナーのベルジェの語りで繋いだ作品。→公式
今日見たのは、2013年の、主演ピエール・ニネを初めとする俳優の演技による作品。→公式


あらすじなどの紹介はリンク先でご覧になっていただくとして、こちらでは個人的な感想にします。


左:ご当人達 
右:ピエール・ニネとギョーム・ガリエンヌ 


ふたつの映画に共通するのは(記憶では)イヴの死後、イヴとベルジェの収集した美術品を競売にかけるために、コレクションの数々が業者によって梱包(クリスティーズのロゴが入ってた)されて家から運び出されるシーンで始まることだ。ベルジェにとってはふたりの世界そのものだろうに、「ふたりで愛した物をひとりで愛することはできない」のだと。もうここから私の目はウルウルしっぱなしであった。このコレクションの落札額は、メゾン・ド・ミュゼ・モンドによれば、「小さな国の国家予算に匹敵する金額」と言われるほどのものだった。でもイヴの魂と肉体なしでは、イヴに出会う前から芸術のパトロンだった彼にとっても意味のないものだったのだ・・・

新作の成功は、そのベルジェに公認されたこと、彼が経営しイヴの作品のアーカイヴを保存する財団からオリジナルを借りて撮影できたことが大きいと思う。YSLを愛してるフランスの上流階級と世界のファッショニスタという恐ーい人種も本物には黙る。

それが実現できたいきさつがfashionsnapに書いてあって興味深かった。監督がベルジェに許可を求めて会った時のこと『ピエール・ベルジェとイヴ・サンローランは2人とも上流階級ではなくミドルクラスから成功を収めることが出来た人物で、会話の中でまさに主人公が社会的成功を収めるというジャック・ロンドンの「 マーティン・イーデン」という小説のことを話題に出したところ「君はイヴ・サンローランを理解しているね」と仰って頂いて、公認映画として許可していただいたんです。』

フランスは、王様をギロチンにかけた共和国のくせに、今でも階級の差が大きい。イヴがディオールのアシスタントになった50年代~独立した60年代のファッションデザイナーとは富裕層が顧客のオートクチュールが世界のすべてだった。あの時代はディオール自身も、ファッション誌の編集者も、彼らに話をするデザイナーの宣伝担当も富裕層出身が多い。席は縁故者にしかない。そんな世界でふたりが実力だけで生きて来たことは、あまり語る人はいない。私もこの記事のベルジェ氏のこの言葉が初めてだ。

だから、イヴが66年にプレタポルテのブティックをリブゴーシュ(左岸=上流階級の場所ではない)にオープンしたことも意味が大きい。当時のファッショニスタにとっては「安物のつるし」だけれど、庶民にとっては「高いけど頑張れば買える値段」のデザイナーの店だった。私達庶民が現在ドア付近に透明のバリアを感じる銀座やパリのサントノレ、ロンドンのボンドストリートの洋服屋さんはちなみにプレタポルテだ。今はレディ・トゥ・ウエアと呼ぶようになったが。

繊細なイヴは仕事のプレッシャーから酒、ドラッグ、セックスに逃避した。60~70年代という時代背景と環境から想像できる。しかし愛人をカール・ラガーフェルドと共有していたのには驚いた。映画の冒頭からカール様は登場するので、まず同時代に行きていたふたりなんだ、ってことに改めて気づいた。調べたらこのふたり、デザインコンテストでの受賞も同期だった。イヴは内気で自分を追い込み2002年に引退、かたやカールはシャネルをはじめ一時期5つのメゾンをデザインしていた現役の帝王だ。同じゲイだし、同じ世界にいてもおかしくないのに、ふたりが友人だとか聞いたこともなかったのにはそんなわけがあったのか・・・そして余計なお世話だけど、この映画で一番文句を言いたいのはその愛人、ファッション界の帝王ふたりを文字通り股にかけてた(ひゃ、オヤジギャグ)のに、どこが魅力なのかさっぱり私には理解できなかった。イヴをして「彼はエレガント」って言わせたのに、どこの馬の骨かと思った私にはまだまだエレガント修行が足りない。


さて、今日の有楽町の角川シネマは、私よりもお姉様の客層でいっぱいでした。たぶん60~70年代のリアルタイムファンなのでしょうね♡私は正直言って、今では「私のアイドル」とまで思ってるけど好きになったのは随分後でした。60年代の映画は前から好きだったけれど、大好きなドヌーヴの「昼顔」の衣装がYSLだと気づいたのが遅かった。でもイヴに関する本を読んで、彼のことを知れば知るほど惹かれてしまい・・・凡人の天才への憧れでしょうね。

あとイヴの話にいつもセンチメンタルに反応してしまうのは、私が以前働いてたデザイナーさんも、ゲイで気分の浮き沈みが激しい人だったことを思い出すからです。ベルジェ氏のイヴへの献身を今日も見て、私も私なりにデザイナーのことを尊敬して愛していたのだけれど、自分のキャリアを考えてインポートの仕事へ転職してしまったことが悔やまれる。後に彼が病で亡くなったと知って私のせいで亡くなったのではなくても、なんとなく。

そうそう、イヴの引退後は、トム・フォードやデザインチームがしばらくデザインしていましたが、現在はエディ・スリマンが「サンローラン・パリ」と名前も新たにデザインしていて、エディのファンでもある私には大変嬉しいです。エディもエレガントでありながら革新的、収まるところに収まった感じがして、めでたし、めでたし。


著名人によるこの映画の感想が公式から飛ぶフェイスブックに載っているのだけれど、当時からファッションの現場にいた人(デザイナー、ジャーナリスト、編集者)ほど、具体的な言葉にならないのが印象的でした。イヴが一時期のファッション界そのものだったから、それを今切り取って残すということは、自分自身の一部が過去に埋葬されたような喪失感を引き起こしたのかもしれません。


そうだ、忘れてた、イヴ役のピエール・ニネにツイッターで声をかけたらThanks!とお返事いただけたのも嬉しかったです!今みたら、英語が間違ってるじゃないですか。forward にtoがないよ?!ボー・ギャルソンに文字打って緊張してたのね・・・(緊張しなくても間違えるけど・・・)






ワンダママの育児受賞

2014-09-11 21:18:00 | シャーロック


☆☆☆のトロフィー(?)がかわいい

(上のブログタイトルは大噓です。)

トロント国際映画祭にThe Imitation Gameのプロモのためベネディクトさんが出席していた間に、9/9、ロンドンではTV Choice Awardsなるものが発表されました。シャーロックでBest Actorを受賞したベネディクトは「両親を賞の受け取りに遣わした」とHUFFPOSTに書かれてます(笑)。

ティモシーパパの受賞の言葉がまたユーモアたっぷりでかわいい。
"I'm sure if he were here he would wish to thank his parents."
(もしあの子がこの場にいたら、きっと自分の両親に感謝したいでしょうね。)


こんなご両親を見ていて、遠いカナダで、同性愛者であるアラン・チューリングを演じたことに関して質問されたベネディクトのことを思い出しましたよ。「両親は共に俳優なので、僕は色々なタイプの人がいる環境で育った」とどこかで答えてました。(マイノリティの人達への垣根がないと言いたかったのでしょう)

多様性に柔軟でも、仕事熱心で良心的で品性と愛嬌のある息子さんを育てたご両親には、ぜひ「立派な息子の育て方」という本を書いてもらいたいです。きっと世の中には、愛する息子さんにベネディクトのようになって欲しいと思っておられるコレクティブも多いと思うんです。ぜひ、ワンダママの育児法を!きっとベストセラーになりますよ。どこにお婿に出しても恥ずかしくない息子さんが育つこと間違いなしです。




ついでにTV Choice Awardsについて

TV Choiceとは英国で一番売れてるテレビ雑誌で、TV Choice Awardsは読者の投票で決まります。お茶の間の視聴者の人気投票なのですね。
今年はBest Actorがベネディクト、Best Drama Seriesがシャーロックでしたが、シリーズ2が放送された2012年にもこのふたつの賞を受賞していました。ちなみに2011年にはシャーロックはBest New Dramaをとっています。そして2011年と2013年のBest Actorがディヴィッド・テナントです。改めて、このふたりは一般的に愛されてるのだな~と思いました。先日のRadio Timesでの決戦投票もなるほどですね。