「レジェンド 狂気の美学」はイケメン双子のマフィア=クレイ兄弟の実話に基づく本に基づく映画だそうです。
この双子はレジェンド=伝説とイギリスでは言われたそうですが、「この双子大物に見えなかったな・・・」と思いながら作品解説を公式HPで読んだら、実際に権力を握っていたのは60年代のほんの数年だったが、有名人や政界を巻き込んでマスコミを騒がせ、ギャングのトップ自ら殺人などの暴力で表に出て、それこそが彼らの夢「マフィアになる」の自己顕示だったからだそうです。なっとく!
それではなぜ大物に見えなかったかというと、単純ですが、住んでた家がずっと庶民だったからです。彼らの出身はイースト・エンド、もっと具体的にはベスナルグリーンとハックニーが出てきました。今では人気でハックニーにはベン・ウィショーさんも住んでいるくらいですが、1990年代にアーティスト達が集まりオールド・ストリートあたりからトレンディエリアとして現在までどんどん東に拡大するまでは庶民的な下町だったのです。その下町にクレイ兄弟が憧れたアメリカマフィアが住んでそうな豪邸を持つでもなく、普通にタウンハウスと呼ばれるつながった家やフラットに住んでたからです。
この映画のキャンペーンとして、フランスの高級紅茶「マリアージュ・フレール」がコラボメニューを展開している情報を見かけました。しかしクレイ家のお茶は絶対にそんな洒落たものではなかったと思います。紅茶をマグではなくてきちんとしたソーサー付のスージー・クーパー風(本物かもしれない)の食器で飲んではいましたけれど、あれだって時は60年代だから特別なことではないはず。なぜならば、北アイルランドの労働者階級出身の私の義母でさえ、お茶を飲む時はカップ&ソーサーでと親に躾けられたので今でもマグでは飲まないと言っているからです。
ところで、リジー・クレイの奥さんになるフランシス、美人というにはファニー・フェイスだな~と思ったら、俳優エミリー・ブラウニングは「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」のあの女の子でした。
私は彼女のファニー・フェイスが好きですが、ギャングスターの心をつかむにはちょっと美女ぶりが足りないんでは?と思って見ていたのですが、よく考えると、マフィアを夢見てマフィアになった男に「堅気になる」と思わせた人なのだから、ゴージャズ美女というよりもどこか天使のようなイノセントさで正解なのだと納得しました。
そして、ギャング映画が苦手な私を劇場に行かせたコリン・モーガンは、フランシスの兄フランクの役。なるほど天使の妹は天使のはず。(笑)イギリスで知らない人はいないであろうコリンも、日本の情報ではキャストにクレジット出ないほどの脇役(涙)。とは言え「スノーホワイト」の出番の少なさに比べたら大満足の出演でした。リジーの運転手としてビシッとスーツで決めた襟足のカッコよかったこと・・・。あの時代、男がビシッと細身のスーツを着ていてイケメンの輝きも5割り増しです。コリンは脚が細くて長いからとてもよく似合います。
しかしね、娘の結婚式に喪服で出席したほどリジーを嫌ってるフランシスのママ、元はと言えば、お兄ちゃんがマフィアの下働きをしたのが縁なのだから、娘を叱るだけで息子には何も言わないのが不自然に感じました。地元のマフィアの息がかかってない働き口を探す方が難しいということだったのかしら?私としてはコリンがガミガミ怒られなくてホッとしましたけどね・・・
ロンの腰巾着?兼ペットのようなテディを演じたタロンくんも、ものすごいハマリ役でした。事実では、同性愛者であるというプライバシーは公にはしていなかったとのことですが(そりゃそうです当時は犯罪)サイコぶりを映画に脚色するために変更したのでしょうね、おかげでタロンくんのこのような演技が生きて大正解。
そしてクレイ兄弟を執念で追う警官の役にクリストファー・エクルストンが!つくづく豪華なキャスティングだったのですね~。