Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

ジョン・レノンの魂

2013-06-06 17:58:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


NHK/BSで再放送されたドラマ「ジョン・レノンの魂」を見ました。
シャーロックでモリアーティを演じたアンドリュウ・スコットのポール・マッカートニーが見たいとか、ベネディクトが演じる予定のブライアン・エプスタインのことも知りたいなど、本筋から遠い動機でしたが、心に残るドラマでした。

その5年間というのはドラマの紹介によれば「アイドルからアーティストへの脱皮を図ろうともがき苦しんだ、ジョン・レノンの変容期」。田舎町の貧乏人が20代前半で成功、そして自分探しで苦しむ図というのは、今となってはありふれた少女マンガみたいで斬新な筋書きではない。でも60年代頭って、ポップ・カルチャーやスターという概念ができたばかりで、ビートルズにはロールモデルもなかった。ジョンの人気ミュージシャンとしての苦悩も誰にも理解できないものだったに違いない。

彼の弱さは親に愛された思い出がないこと、それで自分を肯定できないことだと思う。だから最初の奥さんシンシアに「普通の家庭は・・・」なんて一般論出されて型にはめられれそうになると否定されてる気になる。誰か(普通は親)に100%の自分を受け入れられた経験がないと、自分も自分を受け入れられないから、ヨーコに100 %肯定されて救われたんだろうね。あの時代、西洋の価値観に疑問を持ちインドに救いを求めてがっかりしたり、音楽でもビジネス界の枠にもはめられて、解放されたいのにどこに行っていいか解らなかった。

私の憶測だけど、インドよりは自分に理解可能の非西洋文化を背負ったヨーコを発見して彼女に受け入れられたこと、その彼女が前衛芸術で自分の創作活動に可能性を見せてくれたことは大きかったと思う。あと西洋から見て、大スターで美女に困らないはずのジョンがなぜ東洋人を選んだか、という疑問を、ジョンが憧れの生ブリジット・バルドーにも幻滅したというエピソードを入れて製作者も解明に頑張ってたと思います。それも既成のブロンド美人という概念の否定ですよね。



印象的だったのは、ジョンが再会した父を許せなかったこと。「ちっとも会いに来ないで僕の気持ちは考えなかったのか!」子供の頃押し殺してた怒りが溢れた。でも彼は息子のジュリアンから去った。どうしても許せない父と同じことを我が子にした・・・その自分の行動で彼は父親をちょっとは理解して、救われたんだろうか・・・

ところで、NHKでは日本語吹替えでの放送でしたが、原題が「Lennon Naked」と言って、イギリスではBBC、アメリカではPBSのMasterpiece(シャーロックもここで!)で放送されました。そして英語版Wikiによると、アメリカではドキュメンタリー番組「LENNONYC」の放送前夜に続けて放送されたそうです。「ジョン・レノンの魂」の舞台はロンドンで、NYに飛び立つところで終わるのですが、「LENNONYC」はタイトルからも分かるとおり、そこから先の話です。粋な放送の仕方ですね。そっちも見たかったな!

あと、実はジョンを演じた役者さんが好きじゃなかったのですが、調べたら9代目ドクター・フーの有名な人でした。(クリストファー・エクルストン)敗因は、20代のジョンを実年齢45歳の人が演じたからかも・・・写真で見るジョンは子供みたいにやんちゃな笑顔もしているのに、ドラマでは人生に疲れっぱなしで・・・クリストファーさんの責任じゃないけれど、キャスティングについては製作者さん達の意図がわかりませんです。