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于建:今後10年の中国の社会政治発展綱要(たたき台) (1/2)

2012-10-10 15:37:00 | 中国異論派選訳
于建:今後10年の中国の社会政治発展綱要(たたき台)


まえがき


 中国社会の現状はどうか? 中国の発展はどの道を進むべきか? この二つの問題について、社会各界(とりわけ学界)では諸説紛々で、対立している。
 代表的な二つの全く相反する見解がある。「中国モデル論」は、中国は三十数年の改革実践を通じてすでに「中国モデル」と名付けられた発展の道を見出したのであり、そのモデルは国情に適い、多少の弊害はあるが適切に改革・調整すれば中国の現代化を保障できるとする。しかしこの見解には二つの問題がある。第一に、いわゆる「中国モデル」ないし「中国の道」の本来の意味は中国の三十数年の発展の軌跡を描写したものであり、広義の中国の発展の分析には適さないこと。第二に、この見解のキーワードは「適切な改革と調整」だが、この見解の論者の間にその内容について共通認識がないことである。
 「中国モデル論」と対立する「移行陥穽論」は、現在の中国は「移行の落とし穴」に陥っており、改革と移行過程で形成された既得権益層が改革の推進を阻止し、過渡期の体制を固定化して既得権益を保障する「混合体制」を作ることを要求していると主張する。この見解は、移行の落とし穴は中国の経済社会の発展を歪め、各種の社会問題や政治対立を蓄積させ、「中国式」発展の道は持続不可能となっており、中国は徹底的な改革をして初めて「移行の落とし穴」を抜け出すことができるとする。この見解に立つ論者は中国の社会政治発展のために突破すべきボトルネックを冷静に指摘する。しかし、落とし穴は剛構造であると断言し、実証研究すべき問題を実質的にイデオロギー的立場の問題にしてしまっている。また、この見解の論者は一つの基本的事実を見落としているようである。それは、眼前の抜け出すことのできないように見える落とし穴は、中国が過去三十数年間かつては抜け出すことができないと思われた一連の落とし穴を抜け出したがゆえに出現したということである。言い換えれば、この抜け出すことのできないように見える移行の落とし穴の存在は、まさに中国が移行の落とし穴を抜け出した歴史に根拠を有するのだ。
 私はこの文章の中で三つのことを行う。一つ目は困難の分析、二つ目は活路の探索、三つ目は青写真のスケッチである。私の基本的立場は、現実分析において、対立を回避せず、歴史も切り捨てず、発展の探求において現実条件の制約を直視し、主体性もおろそかにせず、青写真のスケッチにおいて、短期的な実際の操作性を考慮するとともに、中長期の戦略計画と将来展望の保持に努力することである。

一、困難

 現在中国が直面する困難は次の四句で概括することができる。「革命は非合法、改革に推進力なし、社会に共通認識なし、当局は無茶しない。」である。
 第一、革命は非合法。革命は法理論上非合法である。なぜなら革命党は政権党になると、もともと権力奪取のために使った手段と方法を弱化し、それを非合法とするからである。革命は政治理論上非合法である。現代国家の形成と現代軍事技術の発展に伴い、伝統的な農民蜂起を通じた王朝交代の循環理論はすでに破たんした。革命は天理上でも非合法である。革命の主力となり流血の代償を払うのは一般の下層大衆であり、彼らは革命勝利後は再び新政権を養う重荷を背負わざるを得ない。困難は、現実の政治と統治が、絶え間なく革命要求につながる対立と衝突を生み出していることである。革命によって政権を獲得した統治者は、暴力と強制を盲信しがちで、民衆との「妥協」と協議の意識に欠け、いわんや本当の民本・民主政権観など問題外である。その結果、革命が非合法なのに、合法的な革命の要求が高まり続けることになる。
 第二、改革に推進力なし。「改革に推進力なし」とは、上層部の改革の設計と意思決定についてのことである。現在、私たちは改革の道も方向も見えない。「安定がすべてを圧倒する」の統治理念の下で、中国にはあまりにも多くの「敏感」事象、「敏感」人物、「敏感」話題、「敏感」時期が出現し、一部の基本的な経済生活問題でさえ、「敏感」問題にされてしまっている。各種の「敏感」に対し、ほとんどの人は回避的態度をとり、直視して議論できない。困難は、統治者が改革しようとしなくても、改革しなくていいことを意味せず、統治者が安定に妄執しても、彼らの安定しているか否かの判断が正確であることを意味せず、彼らの安定対策が効果的であることを意味せず、いわんや彼らが安定を得られることを意味しないことである。実際、民間の改革要求の声は非常に強い。社会矛盾こそが改革の推進力である。権利擁護活動は各級政府に無数の挑戦をしかけ、これらの挑戦は客観的に改革の推進力となっている。自発的にこの推進力を利用しなければ、それは受動的な張力と圧力に転化するだけである。まさにそれゆえ、「安定維持」指導下の安定維持政治はますます不安定化するという結果をもたらす。
 第三、社会に共通認識がない。当局が主張する「社会に共通認識がない」の意味は改革の具体的ステップ、優先順位に異論があるということだ。困難は、改革すべきかどうかについて、社会には強烈な共通認識があることだ。客観的に存在する社会的共通認識は、中国社会に存在する矛盾と問題を根本的に解決しなければならず、経済成長だけに頼ることはできなくなっており、また枝葉末節の断片的改革に頼ることもできず、根本的な政治領域での改革が必要だということだ。
 第四、当局は無茶しない。当局の言説における「無茶しない」の本来の意味は「精神を集中して建設に取り組み、一心に発展を図る」ということだ。困難は、政治実践と末端統治において「無茶しない」が改革しない、作為しないという意味に変わってしまっていることだ。上層部は「無茶しない」の看板で改革を放棄した。地方幹部はリスクを避けるために、「問題を起こさない」ことを最大の政治成果とし、改革の推進力を失っただけでなく、一般の政治行政事務の処理においては閉塞が疎通にとって代わり、矛盾を隠蔽し、過ちを覆い隠している。しかし、作為しない、改革しない、「無茶しない」は単なる身勝手な願望に過ぎず、ひとたび矛盾が爆発すれば「無茶しない」といっても「無茶せざるを得ない」ことになる。

二、活路

 様々な困難に直面して、活路はどこにあるのか? 活路は活路を探すことにある。活路を探すとは次の二つの基本的事実を認めることを意味する。
 第一、「石を手さぐりしながら川を渡る」時代はすでに過ぎ去った。中国の将来の発展には明確な方向と実現する道筋が必要である。1980年代、政権党の指導者は「手さぐり論」、「白猫黒猫論」、「資本主義か社会主義かを議論しない論」を改革開放の3つの経験とした。この三論は、当時の歴史的条件のもとでは経済体制改革のために時間を稼ぎ、また空間を広げた。しかし、経済改革の限界効用は基本的に使い切った。経済体制改革がもたらした一連の社会問題は経済発展によっては解決できず、政治体制改革のレベルに帰すべき問題である。
 第二、経済体制改革の経験は必ずしも政治体制改革に適用できるわけではない。長年の「手さぐり」の経済改革戦略は我々をして眼前の社会問題と解決方法について体系的認識を欠落させ、一貫した全体構想を欠落させ、改革は往々にして行き当たりばったりになり、明確な目標と方向を持てなかった。複雑な社会矛盾に対して、統治者は「頭が痛ければ頭を治療し、足が痛ければ足を治療する」対症療法を行い、根本的に国家の長期的発展問題を解決しなかった。経済体制改革と比べて、政治体制改革が触れる利益衝突は先鋭で、改革の直接経費はより高く、プラス効果の発揮には時間がかかるため、改革設計をしっかり行い、目標を提示し、しっかり計画することがより必要とされる。
 第三、経済発展には客観的な周期があるが、政治発展にも客観的周期がある。両者の区別は、経済発展周期の予想は難しく、短期・中期・長期の変化は多くの偶然の要素の影響を受けやすいが、政治発展周期にはより大きな操作の余地があり短期・中期・長期の発展について明確な整序が可能なことである。よって、政治体制改革の計画をするときは、一方で全体的なロードマップの設計が可能であり、もう一方でタイムテーブルの計画が可能である。ロードマップがあって初めて方向付けができ、タイムテーブルがあって初めて圧力が生じ、圧力があって初めて緊張感が出る。もし政治体制改革で全体長期計画を作らず、ひたすら「手さぐり」だったら社会は過大なコストを払う可能性があり、時間も許さない。もし政治体制改革でタイムテーブルを作らず、民衆に絵に描いた餅しか与えなければ、民衆の信頼を得て、つなぎとめることはできない。ロードマップとタイムテーブルの制定は、統治者に意思決定の参照系を提供し、政策決定者に各種の選択可能なプランを認識させ、決定の盲点を減らし、改革の可能性を増やすことができ、当然反対者にも批判のサンプルを提供することができる。

三、青写真

 私がスケッチした青写真には二つの次元がある。一つはロードマップ、一つはタイムテーブルである。この動的青写真は緑写真という方がふさわしいかもしれない。この緑は青信号の緑である。私の考えるこのロードマップは二つの補い合う目標と方向がある。一つ目は憲政枠組みの下で権力による権力の牽制を通じて独裁の生み出す可能性のある暴政を根絶すること、二つ目は人民主権理念の枠組みの中で権力による権力の牽制を通じて政治権力の馴化を実現し、政治権力の野蛮と残忍を根絶することである。私の設計したタイムテーブルは中国共産党第18回大会から始まって、計画期限は短期10年、中期30年、長期50年である。計画は大きく分けて2つの段階がある。第一段階は、民生政策の調整を前提とし、民権保障を基礎とし、基本的な社会的公平と正義を実現する。第二段階は、政治改革を前提とし、市民的権利の発展を基礎とし、国家の民主憲政への移行を推進する。当然、ロードマップもタイムテーブルも、十分な弾力性を保留する。

 (一)社会民生政策の調整

 現在、中国は三つの基本的な社会民生政策の調整が必要である。
 第一、権利に基づく財産制度。「国民の私有財産権は神聖にして不可侵である」という憲政上の原則を明確に打ち出し、国民の家屋など不動産に対して十分にして厳格な保護を与え、強制的な暴力的収用行動を厳禁しなければならない。また、2015年までに土地制度改革を完了する。当面の急務は地方政府、とりわけ利益に駆られた末端政府の農村の土地収用上の権力を制限し、農民に自己の権益を守る能力を与えることである。そのためには必ず農村の現行の土地制度を改革し、農村土地所有権の主体と農民の権利を明確にし、既存の土地収用・補償制度を改革し、法律によって農民の利益を保護し、農村の建設用地市場を段階的に開放しなければならない。農村の土地権利確定を行い、農民個人が土地の占有・使用・収益・処分の権利を十分に行使しえるようにし、法律によって地権を農民に返す。農村住宅用地の権利確定改革を加速し、農民に完全な土地使用権を与え、土地の相続・抵当・譲渡の権利を含む農民の適法な財産上の権利と権益を保障し、農村土地市場建設と土地の流動を促進し、農地の直接市場取引制度の構築を模索する。同時に、いかなる土地問題の調整と改革も必ず農民の意思と利益を考慮しなければならない。
 第二、公平を目標とする社会福祉政策。2012年から、社会保障・医療衛生・文化教育・労働就業・老人・障碍者・児童などの社会福祉政策を調整する。都市と農村の社会福祉システムを改善し、社会的富の二次配分を実現し、貧困者と社会的脆弱層に平等に改革と発展の成果を享受させる。そのために、貧困者と社会的脆弱層に特別な配慮をし、老人福祉・生活保護・医療保険などを低所得者に傾斜配分し、貧富の格差を縮める。農業戸籍労働者第二世代の都市住民化問題を優先的に解決するために、教育・医療・仕事・住宅などの面での彼らに対する差別的政策を撤廃し、彼らが都市に溶け込み、職業技能を高めることを促進する。
 第三、自由を原則とする戸籍制度。既存の都市農村分割の二元戸籍制度を都市農村統一の一元戸籍制度に移行させ、「農業戸籍」と「非農業戸籍」の戸籍障壁を打破し、国民に統一の身分を与え、国民の居住移転の自由を十分に保障し、義務教育や大学入学試験など戸籍に付着したもろもろの社会経済的差別を引きはがし、取り除き、本当に都市と農村の住民の機会の均等を実現する。都市で廉価賃貸住宅を大量に建設し、低所得層の都市化を促す。戸籍制度改革の根本的活路は土地と財政制度の一体改革であり、そうして初めて人の移動に伴って戸籍も移動し、福祉の保障もそれに伴って移動する状態が実現できる。現在の人口移動は単方向の移動であり、低福祉地域から高福祉地域への移動である。各地域は農村と中小都市に一定の特色ある優位性を作り出し、人口の双方向移動を奨励する必要がある。同時に、戸籍制度改革は国民の社会権と民族国家〔nation state国民国家の意か?〕の構築にかかわるので、地方制度改革にとどめることはできず、中央政府は国家建設と国民の権利の視点から戸籍改革の関連政令を制定し、法制度上国民の基本的社会権を保障しなければならない。国家、とりわけ中央政府は果たすべき責任と義務を果たさなければならない。戸籍制度改革は2015年までに完了しなければならない。

 (二)社会の開放

 社会の発育と成長は現代国家の基本指標である。現在、中国の〔国家組織に圧迫され〕社会が弱小であるという状況を改め、社会により多くの発展空間を与えなければならない。
 第一、社会組織建設を強化し、民間社会を育てる。都市と農村のコミュニティ管理組織〔社区(旧称居民委員会)と村民委員会のこと〕の適正化を行い、民間公益団体を強力に発展させ、公益を通じてヒューマニズムを再形成する。貧困救済・ボランティア・老人福祉・就業などの分野の民間社会組織を発展させ、社会奉仕活動の発展を促す。民間宗教組織を保護し、国民の信仰の自由を制限したり剥奪している法令を撤廃し、国民(少数民族だけではない)により多くの信仰の自由を与える。同時に、民間社会組織育成に力を入れ、基金を設立し、民間社会組織公共サービスプラットフォームを構築し、徐々に政府機能を転換する。民間社会組織の開放は、今から一部の先進経済地域で始め、2015年には全国的な開放規則を制定する。
 第二、2022年までに政党法を制定し、民間政治組織を開放する。我が国には現在政党法がなく、憲法の序文と総則部分に政党と政党制度について原則的な規定を置いているにすぎない。法に基づく統治のもとでは、政党法の制定が必要であり、政党の組織・活動原則・職責権限などを法に基づいて規律し、国家の政治文明化を促進しなければならない。政党は必ず憲法と法律の範囲内で活動しなければならず、その行為は憲法と法律を超えてはならない。同時に、民間政治組織結成を許し、それが合法的に自らの政治的な主張をする権利を保障する。政府はそれに対して適当な誘導をすることができる。
第三、報道と言論の自由は社会開放の必要条件である。
 (1)行政情報公開を実現する。政府の運営プロセスは必ず公開化・透明化し、政策命令・業務制度・監督業務・人事管理・財務支出・意思決定情報の面で公開化・透明化を実現し、民衆により多くの知る権利を与えなければならない。同時に、国民とその団体に政府の政策決定過程に参加することを許す。行政情報公開ルートを広げ、最新ネットワーク情報技術を十分利用し、政府事務の公開化を実現する。民衆の政府業務に対する評議メカニズムを構築する。2012年より全国の一部の省・市で試行し、2015年に完全実施する。
 (2)公務員の財産などの情報公開を実現する。公務員は就任前に必ず自らの財産状況(現金、預金、自動車、不動産、株式などの投資、書画骨董、経営している企業を含む)を報告し、就任後毎年申告する。また、財産申告は公務員本人にとどまらず、配偶者と扶養されている子供の事業、国外移民などの状況を必ず含まなければならない。国家安全部や身分を明らかにするのが好ましくないところで働く公務員以外は、各申告受理機関はその財産申告資料を公開し、大衆の閲覧とコピーに供し、社会の監督を受けなければならない。もし国民が公務員の財産状況について疑義や告訴を提出したときは、関係機関は調査し結果を公表しなければならない。虚偽の公表をしたと確認された場合は、懲戒免職処分とする。2013年に全国の一部地域で試行し、2015年より全国で実施する。
 (3)報道立法を推進し、言論の自由・出版の自由・世論の監督権を保障する。新聞審査制度の使用を制限し、政府の言論に対する権力行使を規律し、言論の処罰を禁止し、民衆により多くの表現の自由を与え、ジャーナリストの権利を保護する。この過程において、意識的に草の根大衆の市民意識を育成し、彼らの自発的改革参加を奨励し、彼らと政府組織内の意思決定者の間で制度イノベーションの合力を生み出し、政策アウトプットと民間フィートバックの双方向で相互促進と意思疎通・是正と摺合せを図ることで初めて端緒についた政治・行政体制改革を深め、安定させ、効率化することができる。2015年に新聞法を制定する。

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