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北京愛知行研究所:ウイグル人移民の人権状況報告(4・完)

2010-05-05 11:00:19 | 中国異論派選訳
別添3 北京市公安局長への手紙:新疆籍ウイグル人の北京居住、生活および保健衛生問題について

馬振川局長殿

私は万延海と申します。北京市民で、民間団体でエイズ予防活動に従事しています。

今日の午後、2009年1月11日、私はボランティアと一緒に北京市大興区のあるウイグル人集住地区に行き、HIVに感染しエイズを発症した一人の女性を訪問しました。私たちが彼女の家に行くと、彼女は骨と皮ばかりに痩せこけて、苦しそうにベッドに横たわっていました。そして私たちにどうやったら麻薬をやめられるのか、エイズが治るのかを聞きました。私たちは次の日に彼女を病院に連れて行くと約束しました。

不幸にも、今夜この女性はなくなりました。私たちがもっと早くこの女性を助けられなかったことに私は良心が痛みました。これは私がこの一週間に聞いた二人目のウイグル人女性の死です。

私はこの女性の死にだけ心を痛めると同時に、私たちの北京市が新疆から来たウイグル人をきちんと処遇していないことに困惑しています。この女性は医療サービスが欠乏しているわけではない北京市内で亡くなったのに、死亡時に医療を受けていませんでした。貧しいHIV感染者に無料の医療サービスを提供するという政府の政策は、彼ら大都市の周縁をさまよっているウイグル人には及んでいません。彼らのほとんどがそういう政策があることを知らず、サービスを受けられないのです。

今日の午後、私がこの地区を訪問したとき、これまでに何度も聞いたニュースを聞きました。警察当局がこの集住地の部屋を貸している住民を集めて、新疆人に部屋を貸さないように要求したというのです。

これまでの10年間、北京市という都市で、私は新疆人集住地がかつての魏公村から甘家口、西駅、万泉寺に移り、そしてさらに今の小集住地に移ってきたのを見てきました。

私は、ウイグル人集住地には頭の痛い治安問題が多いことを知っています。しかし、私は新疆人集住地の治安問題、公衆衛生問題、政治問題の解決は、恣意的に追い払ったり拘束したりすることによってではなく、警察当局を含む北京市政府がウイグル人の移動と居住の権利を尊重することから始めなければならないと確信しています。私は、北京市政府当局が予算を投入し、都市の周縁環境にいる少数民族の発展を支援し、彼らが暫定居住許可証を取得するのを支援し、職業訓練を行い就業機会を創造することを提案します。現在の全ての子供が就学できていないという状況を改め、全ての子供が北京市で就学できるようにすることを提案します。政府のエイズ患者無償治療政策を住民に説明し、薬物被害を減らす衛生サービスを提供し、ウイグル人が首都北京で、国家の人権と人民の健康に対する思いやりと責任を感じられるようにすることを提案します。

私たちの北京市はウイグル人に対して下記の差別を行っており、しかもその中の一部の差別は明らかに北京市警察当局の取締によってもたらされていることに私は気づきました。

1、多くの宿泊業者が新疆人(とりわけウイグル人)の宿泊を拒否している。ある旅館は2008年10月に私たちの団体と会議用旅館契約を結ぶ時にはっきりと命令が警察当局からきていると語っていた。
2、私人の住宅を新疆人に貸さない。
3、警察当局が暫定居住許可証を発行しない。
4、警察当局が薬物取り締まりの名義で、ウイグル人集住地の人を法的な根拠によらず、恣意的に拘束したり追い払ったりしている。
5、この1週間に二人の女性エイズ患者が亡くなったことを含め、ウイグル人グループは不幸な境遇で危害を被っている、彼らは首都政治安定の脅威だと宣伝されている。
6、児童が入学させてもらえない。
7、住まいを借りられず、生活条件は非常に悪い。
8、基本的な衛生教育と衛生サービスを受けられず、政府のエイズケア政策を知らない。
9、政府がエイズ患者に提供している無償の治療とケアサービスを受けられない。
10、政府が提供している薬物中毒者のメタドン代替治療サービスを受けられない。
11、安全な環境がなく、持続的かつ全面的に清潔な注射器具を得ることができない。
12、政府の政策と経済的支援がないために、ボランティアと社会団体は警察による拘束と疾病感染を含む非常に大きな危険を冒さなければならない。

上述の状況にかんがみ、私は北京市政府、とりわけ北京市公安局に対して以下のことを強く提言します。

1、すべてのウイグル人に対する非友好的行為をやめ、ウイグル人が北京で平穏に暮らせるよう支援する。
2、政策と資金を準備し、ウイグル人コミュニティーの発展を支援する。それには教育、コミュニティー組織、就業機会、医療サービスの拡大を含まれなければならない。
3、緊急にコミュニティー組織の発展を支援し、ウイグル人に対して保健教育を行い、保健サービスを提供する。
4、緊急に医療救助に資金を充て、HIV感染者とエイズ患者の治療とケアをおこなう医療機関を緊急に手配する。
5、ウイグル人の薬物中毒者に対して、リハビリテーションサービスと危害軽減サービスを提供する。
6、学校がウイグル人児童を受け入れるよう働きかける。
7、この問題に関して、社会調査と政策研究を実施し、社会主義と調和社会建設と民族団結に適合する政策を提示する。

万延海
2009年1月11日


コピー送付先:
北京市政府市長ポスト
北京市衛生局
北京市エイズ予防治療委員会事務局
北京市性感染症エイズ協会
衛生部

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(1)中華人民共和国憲法第四条。
(2)馬嶺「憲法の中の人権と公民権」、『金陵法律評論』2006年秋季号所収。
(3)李罡「昨年以降受理した薬物中毒事案は千件近い 北京で4連続で大規模薬物密売事件の判決」、『北京青年報』2004年6月28日所収、および関連記事を参照。
(4)デュルケーム『社会分業論』渠東訳、生活・読書・新知三聯書店2000年版を参照。
(5)「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」(以下「規約」)は、1966年12月16日に第21回国連総会で採択され、各国に署名と批准が呼びかけられた。「規約」は1976年1月3日に発効した。これは「世界人権宣言」以降、国際人権憲章体系の二つ目の文書である。「規約」は序文と本文5部全31条で構成される。その序文と人民の自決権に関する規定は「市民的および政治的権利に関する国際規約と同文である。1997年10月27日、中国は「規約」に署名し、2001年3月27日、中国政府はこの「規約」を批准した。同年6月27日、「規約」は中国に対して正式に発効した。
(6)中国政府は1981年12月29日に加入書を提出し、1982年1月28日この規約が中国に対して正式に発行した。中国はこの規約の22条、すなわち紛争の解決方法に関する規定を留保している。
(7)「ウイグル族」
http://www.seac.gov.cn/gjmw/ssmzx/2005-08-21/1176019928742725.htm
(8)「ウイグル人の内地出稼ぎ問題を正しく認識すべきである」
http://uyghurum-blog.blog.163.com/blog/static/97739892200891324849217/?hasChannelAdminPriv=true
(9)馬戎「南疆ウイグル族出稼ぎ農民は沿海都市に向かう――新疆カシュガル地区疏附県労働輸出調査」、『中国人口科学』2007年第5期所収。
(10)朱亜鵬「米国 『発展期』の住宅問題とその啓示」、『公共行政評論』2009年第5期所収。
(11)調査と住民の聞き取りによると、彼らが部屋を借りられなかったり、旅館に泊まれないのは、多くの場合地元警察が事前に社区〔旧称居民委員会〕と旅館に「ウイグル人には貸すな」と指示しているからだった。
(12)この通知の趣旨からは、「諸君」とは「各省、自治区、直轄市民族(宗教)委員会(庁、局)、経済貿易委員会(商工委員会、業界管理事務局)、公安庁(局)、観光局、工商行政管理局」を指している。
(13)1993年8月29日国務院が批准し、1993年9月15日国家民族委員会令第2号として公布された。
(14)
http://zhidao.baidu.com/question/47447248.html?fr=qrl&cid=204&index=1&fr2=query
(15)「民族平等と民族団結」
http://news.xinhuanet.com/ziliao/2005-04/20/content_2854194.htm
(16)「各民間団体がメディア報道もとめる人権原則について」
http://blog.yam.com/citizenwatch/article/5199015

原文:http://docs.google.com/View?id=dfwrv29m_9hf5vh5c9

(転載自由、要出典明記)

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