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馮正虎:六四天安門事件を忘れず、政治改革を推進しよう

2009-06-06 10:55:13 | 中国異論派選訳
馮正虎:六四を忘れず、政治改革を推進しよう

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[筆者注]2009年6月4日夜6:00から9:15まで、日本の東京芸術劇場5階会議室で日本「六四天安門事件二十周年記念集会」が開かれ、NHK、TBS、朝日新聞、北海道新聞など多くの日本のマスメディアが取材に訪れた。日本に短期滞在している上海の人権活動家馮正虎も招かれて出席し発言した。発言内容は以下のとおりである。
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 今日は「六四」二十周年記念日です。私たちは20年前天安門大虐殺事件の際に亡くなった学生と北京市民を追悼します。また私たちは六四事件とその記念活動のゆえに中国国内の人々が迫害を受けていることについて深く憂慮します。六四を忘れず、未来に向かいましょう。私たちは六四大虐殺の暗黒と悲しみを記憶しなければなりませんが、それ以上に六四民主化運動の輝きと喜びを奮い立たせなければなりません。

 「六四」事件とは何でしょう? 北京の天安門広場で2つのことが発生しました。天安門広場に集まった大学生を代表とし北京各界が参加した数百万民衆の歓喜に満ちた愛国民主運動と、最終的に軍隊が戦車で何も武器を持たずに平和的請願をしていた天安門広場の学生に対して血なまぐさい弾圧を加えた事件です。当時、全国各地・各界の人々、さらには各地の共産党と政府の主要部門の人々さえ北京とともに楽しみ、1949年以降初めて歓喜して町に飛び出し民主化要求デモに参加していました。彼らの要求は、腐敗反対と民主的監督システムの構築でした。この、大学生を代表とする民主化運動は中共政権打倒の要求は掲げておらず、暴動行為もありませんでした。六四天安門事件を「反革命暴動」と認定したことは濡れ衣であり、当時の中共総書記趙紫陽や多くの中国の経済体制改革・政治体制改革に心血を注いでいた党内エリートを失脚させ、六四民主化運動に参加した全ての大学生と各階層の民衆を迫害するための口実に過ぎません。とはいえ、史実は曲げることはできません。中共当局自身も誤りを訂正し、トーンを落とし、その後「騒動」と定義を改め、今では「事件」と称しています。将来必ず六四事件の名誉回復が図られるでしょう。六四事件は中国の悲劇であるにとどまらず、中共党内の悩みの種でもあるのです。

 もし当時六四大虐殺の暗黒が無ければ、もし中共当局が中共総書記の趙紫陽のように六四民主化運動の輝きを受け入れていたならば、今日の中国は経済面で今以上に富強であるのみならず、政治的にも文明的な民主国家になっていたでしょう。少なくとも今日のような道徳災害、人権災害、環境災害は発生していないでしょう。自己改革を進める中共は必ずや人民に支持され、その政権基盤を固め、たとえ民主化の過程で一旦政権を失ったとしても台湾の国民党のように再度政権に復帰したでしょう。

 ですが、歴史に仮定はありません。当時の結果は六四大虐殺でした。六四の惨事は世界を驚愕させ、国際社会は共産党政権の残虐行為を容認できませんでした。そのため六四事件はソ連、東欧諸国が迅速に独裁社会から民主社会に転換することを促し、中国を見習ったルーマニアの独裁者は失敗し、軍隊は人民を鎮圧しようとせず、逆に独裁者を断頭台に送りました。しかも、「六四」式の武力鎮圧はもう少しで中共政権をも破滅させるところでした。「六四」武力鎮圧と引き換えに20年の安定を得たというのは、長い間流布してきた偽りです。実際は、「六四」武力鎮圧後、国内では武力に対する恐怖と改革の全面的な後退により、体制内のエリートと一般民衆は全ての希望を失い非協力の態度をとりました。また、多くの体制外に追いやられた体制内のエリートが反対派のエリートとなり、89、90、91年には海外の中国民主化運動は大規模に広がり、人材も資金も豊富に集まり、共通の敵への憎しみによって団結していました。それに加えて国際社会の力添えがあり、主な民主国家はみな中共政権と一線を画し、中共政権は未曽有の孤立に陥り、崩壊の危機に瀕していたのです。

 小平は誰よりも先に自分の失敗に気付き、1992年の「南巡講話」でなんとか荒れ狂う波を押しとどめ、中国改革開放の全面的後退を制止し、再び経済体制改革に力を入れ、内外の圧力を取り除き、中共政権を救いました。

 「六四」の民主化運動とその理念は今日の30代、40代、50代、60代の人々に深い影響を与えています。これらの年代の人々はすでに体制内でも、在野の反対派陣営内でも、中国の発展に影響を与える指導的人物になっています。しかも、「六四」事件はますます多くの社会のエリートに反対派陣営に加わるよう促し、中国の在野の力を高めています。中国ほど国内外に膨大な数の豊富な反対派を抱えている国はありません。30年間の経済体制改革は、すでに中国経済を市場化・多元化し、資本主義に変えて、個人の自由の経済的基盤を作り、今日では多くの人が自由に自分の仕事をし、自分の意見を言えるようになっています。これは中国政治体制改革の基礎です。中共も変化しつつあり、民衆の圧力を受けて、おずおず、こそこそと政治体制改革を進め、法制度を整備し、徐々に「六四」運動の要求を実現しつつあります。もちろん、中共はいまはまだ言うことは多いが実行していることは非常に少ないです。

 こうした中国の変化に基づき、私は中国の未来に十分自信を持っています。現在中国国内で日増しに高まる中国国民の人権運動は、法に定められた人権を実質的な人権に変え、08憲章の理念を実現し、自由・民主・法治・人権の尊重の新中国を建設することを主張しています。これは「六四」民主化運動の継承であり、中共党内の憲法と法律を守り、「人を以て本とし、民の為に執政する」政治路線を支持する改革派と、在野の多くの人権派弁護士、独立知識人および数千万人の人権請願民衆が共同で推し進める政治体制改革です。そしてこの人権運動は中国の進歩の希望です。

2009年6月4日東京