思いつくまま

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中国における国家暴力の拡大

2005-06-16 19:06:59 | Weblog
6月11日の河北省定州市縄油村での国有電力企業用土地収用を拒否していた農民に対する襲撃事件で、ついに6名もの死者が出た。90年代から党員幹部による農民からの暴力的な負担金の徴収により死者が出ることが続発していたが、これほど大規模になったのは初めてではないか。
http://www.washingtonpost.com/wpdyn/
content/video/2005/06/14/VI2005061401932.html

党中央は13日に定州市党委員会書記と市長を罷免したが、15日には指導部が入れ替わったはずの定州市当局が直ちに収用を開始し、工事を開始すると表明しているので、あるいはこの襲撃には党中央の意向が働いたか、少なくともこの機会を利用しようとする意図があるようだ。
http://www.thebeijingnews.com/
news/2005/0614/12@034427.html

この動きは国家利益のためならば農民の命など何の価値もないという、国家主義的な共産党の体質を反映しているだろう。そして、それは2003年の西北大学における日本人留学生襲撃事件をあたかも一部の日本人留学生の下品な衣装(学校当局発表)のせいにし、襲撃学生には何の処分もなく(一部の外部から参加した人を刑事処分にしただけ)逆に、3名の留学生を退学処分にするという本末転倒の対応にもよく現れている。つまり、西北大学では国家の体面が留学生の名誉と安全に優先し、定州では国家の経済的利益が農民の生命に優先したのだ。
2003年の襲撃事件を共産党は取り締まらなかったことによって、2005年の日本人および日系商店への襲撃を許容するというサインを送った。そして、2005年の襲撃事件もデモそのものを計画した党中央に近いであろう人間たちには全くてをつけていないので、再び日本人襲撃は許容される行為であるというサインを送ったことになる。そして、6名もの農民を殺しておいて、収用と着工を宣言したことで、党の開発政策に反対する農民は殺されても文句はいえないという明確なサインを送ったことになる。
この国家主義的暴力の拡大の動きはしばらく止まらないだろう。農民の犠牲者は増えるだろうし、日本人の犠牲者も出るかもしれない。中国に行く日本人は気をつけよう。