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『知性を磨く』(田坂広志著、2014年5月刊、光文社新書)

2014年09月29日 | 書評
著者も本書で記している通り、当然ながら書籍を読んだだけでは「知識」は身についても「知恵」は身に付かない。

「知識」とは「言葉で表せるもの」であり、「書物」から学べるものである。
「知恵」とは、言葉で表せるないもの」であり、「経験」からしか学べないものである。
(同書54ページより)

それでも「知識」という基礎がなければ「知恵」は身に付かんよね。
さらに「経験」も「体験」にまで昇華せんと何にもならんわけだ。
「体験」にまで昇華せんと、若い人達を育てることもできん。
短絡的な人達は、単純にベテランを若手育成に「利用」しようとする。
ベテランも若手に「利用」されるが、若手に「スキル」が身に付く、つまり「育つ」ということは難しい。
「スキル」の伝承というのはシステマティックにはいかんもんだからだ。
人様への批判だけでなく、自戒の意味を込めて言ってる。
ベテランと言っても(自分も含めて)「経験」を「体験」にまで高めてる人って、そう多くはない。
本当に若手を育てたいなら、自分はあまりしゃしゃり出ないこと。
若手の人に内発的に「学ぼう」という意識を持ってもらわないと、その場しのぎの「稼ぎ」になるだけだ。。
あと、極端な方法にはなるが、時と場合、相手にもよるけど、とても効果的なのは、まず若手に「失敗」させること(笑)。
これは本書に書かれてることではなく、自分の持論でしかないが、相当、相手に対する愛情とそれなりの関係性がある場合に限られるけど。
自分がこの本を読んでの感想だけど、「経験」だけのベテランは、若手から「凄いですね!」と言われても、自分の「経験」を語り出すとウザがられるだけ。
対して、「経験」を「体験」まで高めた人は、あれこれ言わなくても若手がついてくる。つまり「背中を見せられる」人ね。そんな感じじゃないかと思う。

閑話休題。
「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という「七つのレベルの知性」。
それらが「垂直統合」されると「一つの知性」となる。

<個人的に切迫した課題について(メモ)>

(1)「言葉」が世界を分節化してしまう怖さ。そして、それが「心」を支配してしまう怖さ
⇒ 「自己限定の意識」からの解放へ

(2)「自分の心」の動きを理解しなければ、「他人の心の動き」「集団の心」の動きも理解できない
⇒ よく営業の心得とかでクライアントの心の動きを、なんて言われるが、その前に自分の心だね。自分のことが一番わからん。

(3) 「多重人格のマネジメント」が抑圧している「深層意識」の解放とマネジメント
⇒ よく定性調査とかで「深層意識」とか気軽に言うけど、まずは自分自身ということかな。

ヘーゲル、マルクス(弁証法)をはじめとした哲学を愛し内面化しつつ、ビジネスパーソン向けの書籍を数多く出版している。
こんな人はなかなかいない。

知性を磨く~「スーパージェネラリスト」の時代~ 光文社新書
田坂 広志
光文社


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