定年後は旅に出よう/シルクロード雑学大学(シルクロードを楽しむ会)長澤法隆

定年後もライフワークのある人生を楽しみたい。シルクロード等の「歴史の道」を調べて学び、旅して記録する楽しみ方を伝えます。

「幕末の探検家 松浦武四郎展」へ自転車で散歩

2018-12-09 19:19:55 | 国内サイクリング
  

12月9日(日) 世田谷で開催されている「生誕200年記念 幕末の北方探検家 松浦武四郎展」に自転車で散歩に出かけた。天気がはっきりした10時過ぎのスタートとなった。会場は、世田谷にある静嘉堂文庫美術館で、今日が最終日だった。

先日、北海道出身でシベリア抑留の事をテーマとしている2名の友人と都内で会った「たった独りの引き揚げ隊」(角川文庫)の著者・石村博子さん、もう一人は最近「知られざるシベリア抑留の悲劇」(芙蓉書房出版)を出した長勢了治さん。神楽坂にある「モーリー」というバーだった。

  

その時に、長勢さんが「『松浦武四郎展』に行ってきた。駅から歩いて20分もかかった」と言っていた。世田谷区は広いからなあと思っていた。北海道の命名者、名付け親だということは学校で習っている。だが、「北海道」と命名されて今年で150年だということは、知らなかった。
北海道では、北海道博物館で展示会をするなど、大々的に動いているらしい。

私は、テレビもないし新聞も取っていない。そんなことから知らないのかと思ったら、区内に住んでいる石村さんも都内で「松浦武四郎展」が開催されることを知らなかった。石村さんは、その場で「必ず行きます」といって、場所などを詳しく長勢さんに訊ねていた。

長勢さんが松浦武四郎と語る言葉で「博物館の床に、松浦武四郎が測量して作った北海道地図がタイルにして展示されている。北海道の縁がをぐるっと回るようにして地名を書いている。アイヌの人に地名を聞いて『音』をそのまま描いたのだろうが、すごい数だよ」「美術や骨とう品の収集家としてもすごいと思うけれど、そのお金はどこから出ていたんだろう。すごい好奇心だし、そのために日本を周ったエネルギーもすごい」というようなことを話していたことが印象に残っていた。

  

会場の床に描かれた北海道地図。これはすごかった。海岸線を覆うようにして、びっしりとカタカナで地名が書かれている。その数がすごいのだ。海岸に隙間なくカタカナが並んでいる。現物を見たいものだ。複製でもいい。こんな地図を持って北海道をサイクリングしたいと思った。
シルクロード雑学大学に新しく入会した会員の中には「北海道を自転車で廻りたいけど、どんなコースでどこへ行ったらいいんですか」と聞いた人がいた。定年後、仕事を離れるとともに生活の目的も見失ったようだ。目的があるから北海道へサイクリングに行くのではなくて、目的地を教えてほしいというのだ。定年後、「どうしてもシルクロードのここへ行きたい」とか、「人力の旅としたいので、自転車で行きたい。シルクロードを通じてユーラシアの東西世界が交流していたことを実感したい」とか、本を読むなどしてもっと積極的に過ごし方を計画して、「自分らしい定年後」を描いてほしい。他の人と共有すれば、夢の実現はぐっと近づく。日本一周でもいいのだけれど。

わたしは大学で日本文学を専攻していた。卒論は「武田泰淳『ひかりごけ』における罪の意識」だった。卒論は、北海道新聞と羅臼町史で公表されている史実を調べた上で、武田泰淳がこの事件の主人公が罪の意識をどのように受け止めているのかを、つまり武田泰淳の考える罪の意識を、小説を読んで論じた。だから、一度は小説の舞台となった羅臼へ行ってみたいと思っている。まだ実現していない。また、JACC(日本アドベンチャーサイクリストクラブ)のメンバーの中にキリスト教徒の人がいる、「塩狩峠」という三浦綾子小説の舞台を自転車で行ったようなことだった。そこで、「塩狩り峠」を読んだ。読み終える前から、小説の舞台へサイクリングに行きたくなった。記念館もあるようだ。三浦綾子の作品はこれからも読んでみたい。
武田泰淳の「ひかりごけ」は、Amazonで100円くらいより。三浦綾子の「塩狩峠」は、Amazonで1円より。北海道へのサイクリングに興味のある人は、読んでみてください。

こんなことから、文学を通して北海道に関心を持っていた。だが、松浦武四郎展を見て、彼の描いた探検や地図の世界、アイヌを道案内にして描いた地図の舞台も巡ってみたいと思った。まずは、松浦武四郎を知ろうと思う。

松浦武四郎展の会場は静嘉堂文庫美術館で世田谷にある。国立の団地から多摩川サイクリングロードを通って羽田へ往復する際に、通ったことも何度かあった。世田谷区の地域は高台を走ろうとしたときに、この美術館の前を走ったように思う。

  

松浦武四郎の作った地図がとても気になっている。複製を売っていないので、地図を掲載している本を買った。複製があれば買って、持参してサイクリングに出掛けたい。尚、「松浦武四郎 入門」は、Amazonで1100円くらいより購入できる。関心のある方は、この本を読んで、他の本にも手を伸ばしてから北海道を旅行してはどうだろうか。定年後、目的をもって旅行することを勧めたい。探検家を知ることで、日本から世界へと好奇心が広がるにちがいない。
自分自身の中にある好奇心に気づくチャンスにもなると思う。人生にも旅にも、目的が大事だと思う。人生で大事なのは、出世や地位や名誉ではないはず。

美術館への行きの話、国立の団地を出て多摩川のサイクリングロードに入った。寒い中で多摩川の川原でバーベキューをしている家族を何組かみかけた。テントの脇にマウンテンバイクを置いているサイクリスト、大きなテントの上には煙突のあるグループ。楽しみ方もさまざまだ。静嘉堂文庫に到着したが、入口から先が長い。しかも上り坂。世田谷だというのに、林に囲まれている。周囲の岡本公園ものんびりと歩きたいものだ。私が返る時にも、沢山の人が美術館に入っていった。うれしいことに若い人も多いのだ。

  

帰りには、野川沿いのサイクリングロードを通った。風が強かったので、川原ではなく住宅の多いルートを選んで風邪を避けたかったのだ。寒いせいか人は少ない。子供が釣りをしていて、小さな魚を釣り上げていた。魚をどうするのか。途中に道祖神を見付けた。花は飾ってあるけれど造花だった。造花のドングリには驚いた。一年中花があるのはいいことだ。ワンカップがあったがをよく見たら、封は切られていないままだった。ただし片方の道祖神にはワンカップがなかった。おこぼれを頂戴した人がいたのだろうか。高速道路のインターチェンジの工事が進められていた。遺跡がいくつも見つかったところだ。野川をまたぐ道路が造られて、遺跡は鉄板に覆われて見えない。川に鳥もいなくなった。

  

野川の両側にはサクラの木が並んでいる。春の花の時はきれいだ。
先日の風で倒れたサクラもあった。浮き上がった根を見ると、川と反対側はセメントの壁でをふさがれていた。サクラもつらいなあ。「ウサギ小屋」で生きているのは、人間だけではなかった。サクラの木よ、お前もか。

 

小金井市内だろうか、遺跡から人の住居の痕跡が見つかったとの案内板がある。1万2千年前頃らしい。ということは、この辺りには遺跡がたくさん埋もれているらしい。アフリカで発生した人類が日本列島に到達したのは、8万年以上前という説もあれば、4万年くらいという説もあるようだ。どちらにしても、どんな暮らしをしていたのか興味深い。掘ってみたくなる「案内板」だった。
国立に戻ると、駅前にはイルミネーションが飾ってあった。並木の銀杏は、黄葉を残している。イルミネーションは、駅前に5つほどしかないのだが、大学通りのずっと先までイルミネーションが並んでいるように見える、夕暮れ時だ。時間のある方は、日没前の大学通りを見に来てはいかがでしょうか。大学通りは、JR国立駅の南側です。今日の走行は50キロだった。明るいうちに帰宅することができた。