『資本論』学習資料室

泉州で開催された「『資本論』を読む会」の4年余りの記録です。『資本論』の学習に役立たせてください。

第34回「『資本論』を読む会」の案内

2011-04-12 05:31:44 | 『資本論』

『 資  本  論 』  を  読  ん  で  み  ま  せ  ん  か 

                                    
                                    
                                     
 東日本大震災から一カ月が経過したが、福島第一原子力発電所の事故は、深刻の度を加えこそすれ、いまだに核の暴走を完全に防ぐ見通しさえ立てる事が出来ないでいる。放射性物質はすでに地球全体に振りまかれてしまい、原発周辺の土地や海洋の放射能汚染の被害は甚大であるが、さらに深刻な事態を迎えないとは誰も断言できないありさまである。

無残にも崩壊した福島第一原発 

 今回の原発事故は、直接には大地震と大津波という自然の猛威によるものであるが、しかしそれだけを理由にすることは出来ない。なぜなら、同じ第一原発でも5・6号機は同じように外部電源がすべて途絶えながらも、何とか非常用ディーゼル発電機が作動し原子炉を冷却する水の循環を回復することが出来たからである。また同じような地震と津波に晒された福島第二原発や東北電力の女川原発では何とか重大事故に至らずに済ますことが出来ているからである。

 福島第一原発は60~70年代にかけて建設され、国内ではもっとも古い部類に入るのだという。だから安全設計もずさんであったというわけである。しかしそんなことが果たして理由になるだろうか。その後に建設された原発がより安全な設計指針にも基づいたものなら、そうした新しい安全指針によって、古いものを見直すのが当然ではないのか。しかし東京電力はそれを怠ってきたのである。

 06年に新たに改訂された原発の耐震指針では津波対策も明記され、福島第一の中間報告を審査した09年の専門家会合では、今回のような大津波「貞観(ジョウガン)津波」(869年)を考慮するよう指摘されたが、結局、東電は「学術的な見解がまとまっていない」などと屁理屈を述べ、最後まで最終報告を出さなかったと指摘されている(3月31日『朝日』)。結局、東電は「安全とコストを天秤にかけた」のである(4月9日『サンケイ』)。要するに儲けのために、コストのかかる安全対策を怠ってきたわけである。これが今回の深刻な事態を招いた最大の理由であろう。

 人類がこれまで使いこなしてきた化石燃料に代わって、原子エネルギーによって高度な生産が必要とする膨大なエネルギー需要に応じることを可能にしたのは、資本主義的生産の偉大な成果の一つである。しかし原子力の技術自体は、まだまだ未成熟なものであり、膨大な放射性廃棄物を生み出す等の問題も抱えている。しかも今回の原発事故が示したように、危険極まりないこうした技術が、ただ利潤(儲け)だけを唯一の目的とも推進動機ともする資本主義的生産によって担われていることには、深刻な矛盾があるのである。

 新しい技術は、新しい社会によるあたしい人たちによってこそ、十分に管理し、運営することが出来るとマルクスは次のように述べている。

 〈われわれのあらゆる発明や進歩は、物質的な力に知的な生命をあたえる一方、人間の生命を愚鈍化して物質的な力に変える結果となるようにみえる。一方における現代の工業と科学、他方における現代の貧困と衰退のこの対立、現代の生産力と社会関係のこの対立は、明白な、圧倒的な、争う余地のない事実である。ある党派はこのことを嘆き悲しむかもしれない。また別の党派は、現代の衝突をとりのぞくために現代の技術をとりのぞきたいと望むかもしれない。あるいはまた、こうも顕著な工業の進歩を、それに劣らず顕著な政治の退歩で補う必要があると考える者もいるかもしれない。われわれとしては、これらすべての矛盾にたえず印を残しているすばしこい妖精の姿を見ちがえることはない。社会の新しい力をうまくはたらかせるには、新しい人問がこの力を支配しさえすればよいことを、われわれは知っている。--そして、そういう新しい人間とは労働者である。〉(全集12巻4頁)

 今回の事故は「人災」であると同時に、資本主義という生産のシステムそのものにも起因するものである。そうした問題を理解するためにも『資本論』の研究が是非とも必要である。貴方も、一緒に『資本論』を読んでみませんか。

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第34回「『資本論』を読む会」・案内


  ■日   時    4月17日(日) 午後2時~

  ■会  場   堺市立南図書館
          (泉北高速・泉ヶ丘駅南西300m、駐車場はありません。)

  ■テキスト  『資本論』第一巻第一分冊(どの版でも結構です)

  ■主  催  『資本論』を読む会


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