『資本論』学習資料室

泉州で開催された「『資本論』を読む会」の4年余りの記録です。『資本論』の学習に役立たせてください。

第26回「『資本論』を読む会」の案内

2010-06-27 03:06:37 | 『資本論』

『 資  本  論 』  を  読  ん  で  み  ま  せ  ん  か 

                                    

 参院選が公示されました。

 菅直人首相は、所信表明演説や記者会見のなかで、「『強い経済』『強い財政』『強い社会保障』の一体的実現を、政治の強いリーダーシップで実現していく」と訴え、「経済成長を大きな軸に置き、2011年度予算編成に当たりたい。成長を支えるには強い財政が必要だ。日本の債務残高は国内総生産(GDP)比180%を超えている。ギリシャの例を引くまでもなく、財政が破綻すれば人々の生活、社会保障が破綻する」と消費税率引き上げの必要性を強調。「早期に超党派で議論を始め、自民党が提案した税率10%を一つの参考にしたい」と具体的な数値にまで言及したために、俄かに消費税の引き上げが、参院選の大きな争点として浮上してきました。

 2010年度の国債発行は、総額162兆4139億円を計画。09年度当初より30兆1285億円増。10年度末の国債発行残高(財投債除く)は637兆円の見込みで、国民1人あたり499万円の借金になる計算です。 国家財政が早くからすでに破綻していることは明らかです。そしてそのツケがやがては国民に押しつけられるだろうということも容易に予測できました。しかしそれがよりにもよって民主党政権によって実行されようとしているのです。

 理念先行の美辞麗句だけの鳩山内閣に代わって、庶民派宰相・菅内閣の誕生で少しはましな政治になるのかと期待しましたが、とんでもありません。菅政権は、“現実主義”の名のもとに、財政破綻のツケを庶民に押しつける大増税に先鞭をつける歴史的役割を果たそうとしているかです。まったく酷い内閣が誕生したものです。

 現在の財政破綻に国民が何か責任があるのでしょうか。決して否です。歴代の自民党政府が膨大な赤字国債を毎年毎年発行してきたのは、資本の危機を救済するがためです。特に90年代のバブル崩壊後の深刻な不況では、銀行などバブル時に“濡れ手に粟”のぼろ儲けをした資本家たちを救済するために膨大な資金を提供してきました。何度も景気浮揚策と称して無駄な公共事業にカネをつぎ込むために赤字国債を垂れ流してきたのです。現在の財政破綻に責任を負わなければならないのは独占資本なのです。ところが現在の独占資本は税金をほとんど払っていません。税収に占める法人税の割合は極めて少なくなっています(図表参照)。

 にも関わらず、菅政権は、そうした独占資本には法人税の減税を約束する一方で、財政破綻のツケをすべて国民を押しつけようというのです。消費税は、所得税のように国民が直接その痛みを感じることなく収奪できる、政府にとって都合のよい税制です。だからこれに一度手をつけると止めども無く、それに頼る財政が累進的に進むのです。

 マルクスは国債と税制は不可分の関係にあり、生活手段に課税する消費税を軸とする財政は、それ自体に自動累進の萌芽を含んでいると次のように指摘しています。

 《国債は国庫収入を後ろだてとするものであって、この国庫収入によって年々の利子などの支払がまかなわれなければならないのだから、近代的租税制度は国債制度の必然的な補足物になったのである。国債によって、政府は直接に納税者にそれを感じさせることなしに臨時費を支出することができるのであるが、しかしその結果はやはり増税が必要になる。他方、次々に契約される負債の累積によってひき起こされる増税は、政府が新たな臨時支出をするときにはいつでも新たな借入れをなさざるをえないようにする。それゆえ、最も必要な生活手段にたいする課税(したがってその騰貴)を回転軸とする近代的財政は、それ自体のうちに自動的累進の萌芽をはらんでいるのである。過重課税は偶発事件ではなく、むしろ原則なのである。それだから、この制度を最初に採用したオランダでは、偉大な愛国者デ・ウィットが彼の筬言(しんげん)のなかでこの制度を称賛して、賃金労働者を従順、倹約、勤勉にし……これに労働の重荷を背負わせるための最良の制度だとしたのである。》(『資本論』第1部全集23巻b986-7頁)

 増税押しつけの菅民主党政権には、この参院選挙でキッパリとノーを突きつけなければなりません。貴方も国債と税制のからくりを見抜くためにも、ともに『資本論』を読んでみませんか。

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第26回「『資本論』を読む会」・案内

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  ■会 場   堺市立南図書館
          (泉北高速・泉ヶ丘駅南西300m、駐車場はありません。)

  ■テキスト  『資本論』第一巻第一分冊(どの版でも結構です)

  ■主 催   『資本論』を読む会


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