Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

東京藝大美術館「夏目漱石の美術世界」展を見る

2013年06月02日 23時27分31秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
   

 本日は上野の東京藝術大学美術館に「夏目漱石の美術世界」展を見に出かけた。朝は良い天気であったが昼前から雲が厚くなり、正午前に出かける直前にはすっかり曇ってしまった。午後から雨が降るかもしれないような天気であったが、30分しないうちに晴れ間が再び顔をだすようになった。
 実は本日のNHKで放映された日曜美術館はこの「夏目漱石の美術世界」展であったので、混雑するのかと心配しながらおもむいた。上野駅の改札口を出るとものすごい人出。国立西洋美術館前にも大勢の人がいた。予感的中と思ったが、ラファエロ展が目当ての人たちのようだった。ラファエロ展は本日までの予定であったので、この混雑はその影響らしかった。
 国立博物館前では大神社展もあったがそれほどの人ではなく、とりあえず一安心。芸大美術館は確かに人出は少なくなった。しかしそれでも展示されている絵の前では、首を長くしたり前の人の間から首を出さなくては見えない場面もなくはなかった。
 3階と地下2階の広い会場に
序章 「吾輩」が見た漱石と美術
第1章 漱石文学と西洋美術
第2章 漱石文学と古美術
第3章 文学作品と美術「草枕」「三四郎」「それから」「門」
第4章 漱石と同時代美術
第5章 親交の画家たち
第6章 漱石自筆の作品
第7章 装幀と挿画
の8つのセクションに分けての展示はなかなか見ごたえがあった。また漱石の全生涯にわたって詳細な解説が行われているように感じた。
 全体をまわるのに13時15分から正味3時間かかった。それでもまだ見足りない思いもあり、再度訪れるつもりになった。しかし大変疲れた。それだけの見ごたえのある展示だと思った。
 分厚い図録が2300円、全体を作品リストだけで記憶はとても出来ないので今回は思い切って、久しぶりに購入した。はっきりいって消化不良になるほどの展示であり、ブログにまとめるのはなかなか難しい。
 もう少し、頭の中でこなれるまで時間がかかりそうだ。本日の所は取りあえずの報告ということにさせてもらう。

 ただ、漱石の同時代の絵画に対する評価はとても鋭い。今回、坂本繁二郎の牛の絵2題(「うすれ日」、「海岸の牛」)に久しぶりに対面できたことはうれしかった。また初めて知った画家佐野一星の「ゆきぞら」という作品、とても印象に残った。

   

 漱石の評は、前者の「うすれ日」について「荒涼たる背景に対して、自分は何の詩興をも催さない事を断言する。それでも此画には奥行があるのである。そうして其奥行は凡て此一疋の牛の、寂寞として野原の中に立っている態度から出るのである。牛は沈んでいる。もっと鋭く云えば、何か考えている」という有名なものである。



 後者については「其屏風はべた一面枝だらけで、枝は又べた一面鳥だらけであった。夫が面白かった」と評している。私はこの「ゆきぞら」が忘れられない。この「ゆきぞら」、明日以降は展示替で見ることができなかったようだ。
 
 詳細は明日以降、掲載しようと思う。