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伊東良徳の超乱読読書日記

はてなブログに引っ越しました→https://shomin-law.hatenablog.com/

新時代の法人税調査の着眼点

2006-10-27 18:59:43 | 実用書・ビジネス書
 元国税調査官による会社に対する税務調査についての本。
 事例編ということで項目別の解説がわかりやすく書かれています。
 課税当局の立場で書かれているので、税は常識的な判断を尊重していると何度か書かれているのですが、読んでいると実態に合わせた柔軟な処理と思えるのは最初の事例の売上の計上時期を取引先との契約に応じて各別にできる(21~23頁)ことと最後の事例の社葬の場合にも香典は会葬者が遺族宛に出せば遺族のものとしてよい(203頁)ことくらいで、あとはせこいというか重箱の隅をつつくような感じの話が多いように感じました。税務調査ってこんなことをあげつらって経理担当者をいじめて少しでも税金を多く取ってやれって姿勢でやってるのでしょうか。私は会社の側の代理はほとんどやらないし税金問題にはタッチしないので、あくまでも一般的な興味として読みましたけど、こういうの仕事にしているとむなしいでしょうね。


宮下裕行 大蔵財務協会 2006年9月8日発行
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クラゲのふしぎ

2006-10-27 18:24:59 | 自然科学・工学系
 クラゲ愛好家のグループの手によるクラゲの生態等についての本。
 ベニクラゲは傷つけると若返る、分化を終えた細胞がさらに分裂した上別の組織の細胞に変わる(72~75頁)という話にはビックリしました。生物の神秘ですね。
 他にもミズクラゲにも毒があるし弱毒のクラゲもアナフィキラシー反応(2回目以降に生じる急性アレルギー反応)の危険があるから油断できない(156~157頁)とか、クラゲが傘から分泌する粘液が海水中のゴミを固めてマリンスノーにして沈め海水を浄化し海底の生物の餌を供給している(200~203頁)とか、クラゲのコラーゲンは保湿力・吸湿力に優れ免疫物質を促進する効果があるようでその供給源としてエチゼンクラゲが注目されている(204~207頁)とか、知らないことがいろいろ書かれていて勉強になりました。海でミズクラゲなんて平気でつかんでましたけど、危ないことだったんですね。
 カラー写真も多くてわかりやすく書かれています。全ページカラー版だともっとうれしいのですが。


ジェーフィッシュ 技術評論社 2006年9月1日発行
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ドキュメント検察官

2006-10-25 22:30:18 | ノンフィクション
 検察官の近況について広く浅く書かれた記事をまとめた本です。
 「はじめに」の「私たちは、これだけの取材を積み上げた検察連載は初めてのものだと自負している。」との言葉に、少し期待しましたが、私にはガッカリ感ばかりが残りました。少なくとも調査報道で新たな事実を発掘したと思われる点はなく、検察の自慢話や聞けば教えてくれるだろうという話ばかり。幅広く書かれているとは思いますが、明らかに突っ込み不足。新聞連載をまとめたためエピソードがぶつ切りで、通し読みには今ひとつです。

 「ドキュメント弁護士」では懲戒処分を受けた「悪徳弁護士」にページを割いていたのに検察官の問題事例にはほとんど触れていません。触れるときももちろん、既に明らかになっていることを及び腰で書くだけ。検察の裏金問題(調査活動費疑惑)について、「あとがき」で「これらの詳しい経緯は本書で紹介したとおりだ」(185頁)なんて書いてあるけど、それに触れているのは141~144頁だけで、事実としては裁判で明らかになったことだけで後はあくまでもあいまいに語られ、裏金疑惑を告発した三井元大阪高検公安部長については異端だとか人事上の不満があったのではないかと、そのすぐ後で別の話としつつけなすことを忘れていません(147~148頁)。東京高検検事長の女性スキャンダルでの辞職については、人事問題の1つのエピソードとして触れただけで匿名(146頁)。その人物が国会議員の逮捕許諾請求を語る自慢話では実名なのに(98頁)。
 マスコミ、特にタカ派マスコミにはいつものことですが、検察・警察の権限拡張、厳罰化には拍手喝采。1つ1つ指摘する気にもなれませんが、最後の方で裁判員制度に向けて偽証罪摘発に検察が積極的に動くということを手放しで評価していますけれど、刑事訴追を検察が独占している中でこの動きは検察側証人が偽証しても立件される可能性はないに等しいけど弁護側に有利な証言をした証人は偽証を疑われ追及される、つまり検察側証人はウソを言っても怖くないが弁護側証人は検察に不利なことを言うのには勇気がいるという、証人がそういう気分になることにつながるリスクがあると思います。マスコミがそういう指摘をするのを見たことはありませんが。


読売新聞社会部 中公新書 2006年9月25日発行
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ぼくと1ルピーの神様

2006-10-24 23:10:41 | 小説
 教育を受けていないインド人ウェイターがクイズ番組で13問連続正解して不正を疑われ、その13問の答が偶然にも彼の人生と深く関わっていたことを解き明かすという構造で、貧しい生まれのインド人から見たインド社会をコミカルに描いた小説です。
 クイズと絡めて人生のある時期を切り出していて、前後関係がバラバラなので、ストーリーのつながりを押さえるのにその都度章の最初の年齢を確認しなきゃならないのが、ちょっと読みにくくて、その分減点。

 でも、インドの庶民・貧民の生き様が描かれているのが、私には心地よく読めました。ハイテクバブルに踊る富裕層や、ジュンパ・ラヒリの描くような在外インド人もインドの現状の1側面ではありましょうが、この小説で描かれているような庶民の生き様、悲哀、たくましさこそ、やっぱりインドと私は思うんです。思いこみが強すぎかも知れませんが。
 厳しく悲しい人生が、基本的にはコミカルに書かれていますが、友人の少年シャンカールが狂犬病で死にかけるシーン(333~335頁)は涙ぐみました。「号泣」を売りにする日本のお気楽な青少年の小説なんかとは比較したくないくらい。
 ただ、この小説、インドの外交官が片手間に書いたという訳者あとがきにはビックリ。テーマが私にはエキゾチックなインドだから評価が甘いかも知れませんし、インド人が読んだらしょせん上流階級の作り事と読むのかも知れません。それでも、やっぱり読んでみて損はないと思いましたけどね。


原題:Q and A
ヴィカス・スワラップ 訳:子安亜弥
ランダムハウス講談社 2006年9月13日発行

追伸:朝日新聞が10月29日の朝刊に書評を掲載しています。久しぶりに私の感想とおおかたマッチする書評でした。
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あなたに逢えてよかった

2006-10-23 08:14:58 | 小説
 角川書店のキャッチコピーによれば「純恋小説3部作、完結編!」「衝撃のラスト12頁にあなたは号泣せずにいられるだろうか。」だそうです。
 ラスト12頁というよりも、プロローグの21頁を読んだだけで、明るいのが取り柄の少女が理想的な男性に好かれて「私でいいの?」とか言って進むまるっきり田渕由美子ワールドの乙女チック漫画の路線が明示され、プロローグの終わりで彼がいないことが示されていますのでこのパターンからするとセカチュウ路線か、しかしアルツハイマーと取り組む心理療法士という設定から行くと「私の頭の中の消しゴム」路線かと想像がつきます。途中純也が夏陽との約束を忘れるシーンが出てきて(144頁)「消しゴム」路線が確定。あとはラスト12頁まではだいたい予想できる展開がそのまま続きます。
 主人公の夏陽が、嫉妬深くてすぐ泣くし、なんか私には感情移入できないもので、見え見えのストーリーを夏陽の主観につきあいながら400頁も読まされるのは結構苦痛でした。売り文句のラスト12頁(エピローグ)は、内容は予測はしませんでしたが、でも夏陽に感情移入できない読者には、だからどうしたのって感じ。ええ、号泣はおろか目頭が熱くなることもありませんでした。
 私は、結構この手の話弱いはずで、恥ずかしくも思いますが、セカチュウも私の頭の中の消しゴムも泣きました。それなのにこの本で全然泣けないのは、やっぱり夏陽に感情移入できないからでしょうね。こういう田渕由美子路線の少女主人公を40歳くらいの男性作家が書いてるのって不思議に思いましたが。田渕由美子ワールドの支持者なら楽しめる作品だろうと思いますけど。


新堂冬樹 角川書店 2006年10月5日発行
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風に舞いあがるビニールシート

2006-10-22 07:38:17 | 小説
 短編集を読まなくなって久しいのですが、子どもと読んでなじみの森絵都の直木賞受賞作なものですから、読んでみました。直木賞受賞後に予約を入れると順番が来るまでに結構かかりました。
 児童文学の方でなじんでいるので、性的なことや仕事の愚痴が書かれているのを見ると、そうか、児童文学を書いてるとこういうこと書けないから欲求不満がたまるのかなとか、文藝春秋の読者層に媚びてるのかなとか、ついうがった見方をしてしまいます。

 表題作は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の専門職アメリカ人男性と一般職日本人女性の夫婦のすれ違い・葛藤、離婚、男性のアフガニスタンでの殉職と女性の悲嘆→復活を描いたもの。
 公共心というか使命感を、照れからかどこか突っ走らせずに戯画的にあるいは性格的な欠陥を感じさせるように描いているような感じがします。エドと里佳の関係も体の相性がとんでもなくよかったから一緒になったみたいな描き方だし、いくら難民支援に燃えるUNHCR職員だからって、難民の不幸をあげつらった上で「自分の子どもを育てる時間や労力があるのなら、すでに生まれた彼らのためにそれを捧げるべきだって。それが、富める者ばかりがますます富んでいくこの世界のシステムに加担してる僕らの責任だって」(290頁)なんて言います?
 そのことは「犬の散歩」で捨て犬の里親探しの間の仮親のボランティアをする主人公の主婦がその費用のためにホステスをしたりするところにも現れていると思います。
 テーマには共感するのですが、そのあたりもう少しストレートでもよかったと、私は感じます。大人の小説読みのためにひねりが必要と感じたのでしょうけど。


森絵都 文藝春秋 2006年5月30日発行
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戦争大統領 CIAとブッシュ政権の秘密

2006-10-21 08:58:40 | ノンフィクション
 ニューヨーク・タイムズ記者によるブッシュ政権の内幕レポート。匿名の情報源によるものでどこまで信頼してよいかという問題は残りますが、この本に書かれているレポートの一部はピュリツァー賞受賞してますし、たぶん信じていいんでしょうね。

 この本を読んでいるとブッシュ政権というのはヤクザの親分のような感じを受けます。ブッシュが意向を示すと子分たちがあうんの呼吸で親分の意向をくみ取って事を進め親分に詳しいことは言わせず詳しいことも聞かせず、いざとなったら親分は指示もしていないし知らなかったと言えるよう累が及ばないようにする、子分は親分の聞きたい情報だけを知らせ聞きたくないようなことは知らせない、法律は無視して正規の手続は踏まずに側近だけで決断して勧める・・・。
 捕まえたアル・カイダ幹部はジュネーブ条約やアメリカの法律に反してCIAが国外で秘密の場所に令状もなく無期限に拘束し続け同盟国の情報部を使って拷問する、NSA(国家安全保障局)の国内盗聴活動はFISAの令状が必要だが9.11以降は令状なしで電気通信事業者やIT企業の積極的な協力を得て国内の交換設備にアクセスして電子メールや電話を第三者の監視なく好き放題に傍受している(著者はこの報道でピュリツァー賞受賞)など。

 捕虜の拷問についてブッシュは知らないことになっているが、アル・カイダ幹部のアブグレイブ・ズバイダの尋問についてCIA長官のテネットの報告に対してブッシュが「だれが鎮痛剤の投与を許可した?」と言ったとか(30頁。ただし、これについては疑問視する声も紹介して、事実かどうかはさておきとしている)。
 CIAはイラクについての調査能力はほとんどなかったが、イラク戦争開始の数ヶ月前には、イラクが以前マンハッタン計画に沿った古い方法で独自にウラン濃縮を進め「ニジェールからの買い付け」など必要なくウランを所持していたが1991年初頭にアメリカ空軍パイロットが気まぐれに落とした爆弾がたまたまその施設に当たりそれに対するイラク側の反応から重要施設と判断したアメリカ側からさらに空爆を受けて完全に破壊されその後核開発プロジェクトはストップしたままになっていたことを突き止めていたが、CIA幹部は無視した(112~127頁)。
 「生物兵器移動研究所」があるというパウエルの国連での演説の元情報は国外追放イラク人の1人がドイツ情報機関に話したことのまた聞きでドイツの情報機関はCIAのヨーロッパ工作部長に事実とは思えないし情報提供者は精神状態に問題があり神経衰弱を起こしてからは全く信頼できなくなったと伝えていた(136~141頁)。
 他にもアメリカの後押しする新政権樹立後アフガニスタンはケシの栽培面積20万6000ヘクタール、世界のアヘン供給量の87%を占める麻薬国家になった、アル・カイダとサウジアラビア要人の関係は調査されないなど興味深い話が色々ありますが、この本に書かれている事実で最も衝撃的だったのはイランの話です。CIAが担当者のミスでイランの諜報員の1人にイラン国内のCIAスパイ網の全貌の情報を送信してしまいその相手が2重スパイだったためにイランの治安当局がCIAのイラン国内のスパイ網を一網打尽にしてCIAのイラン国内のスパイ網が壊滅した(227~228頁)、それ以前からイランの核開発について断片的な情報しか得られなかったCIAはイランの核開発の状況を探るためにロシアの科学者を使ってロシアの核爆弾の起爆装置の設計図を一部誤った情報を入れてイラン側に渡したがその後設計図がどう使われたか全くフォローできなかった(228頁~)。1990年代、アメリカは裏チャンネルでイランと対話しようとしイランのテロ関与疑惑をもみ消してきた(250~251頁)。
 ありそうな話ではありますが、ディテールの情報がいろいろとあって大変楽しい本でした。


原題:STATE OF WAR
   THE SECRET HISTORY OF THE CIA AND BUSH ADMINISTRATION
ジェームズ・ライゼン 訳:伏見威蕃
毎日新聞社 2006年9月15日発行

朝日新聞は10月8日に書評を掲載しています。私としては、ずいぶんと久しぶりに、朝日の書評を読んで、この本を読もうと思って予約しましたからね(ブログに書いた後で書評が出ることが多いですから)。
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みんな誰かを殺したい

2006-10-20 00:45:19 | 小説
 よくも悪しくも表題通りのミステリー。
 次々と登場する人物がそれぞれに事情を抱えて殺人を犯す、それが込み入ってきて、ちょっと読んでいて後半バタバタする感じがします。交換殺人のミステリーで進んでいたのが真ん中ぐらいであっさり犯人が逮捕されちゃって、どうなるんだろうと思ったら後は次から次と殺人事件が並んで忙しい。
 どんでん返しと展開重視で、味わいとか人物描写が二の次になっているようで、余裕とか深みを感じにくい作りです。淡々とカラッとしたミステリーというのもありとは思いますが、それならそれでもっと滑稽味があってもとも思いますし。まあ、デビュー作ですからそこまでの余裕がなかったんでしょうね。
 著者は、今年になって、短期間に次々と次回作を出す予告をしていますが、狐久保朝志シリーズも、もう少し溜めて書くといいんじゃないかと思うんですが・・・


射逆裕二 角川書店 2004年5月31日発行
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ケッヘル(上下)

2006-10-18 20:54:33 | 小説
 あぁ、もったいない・・・というのが正直な読後感です。
 極限的な設定、物語そのものがいつ破綻するかとハラハラさせられながらの緊迫感ある展開、登場人物の運命への切ない思い。こんなにも美しく幻想的に紡がれた文章とストーリーなのに・・・。連続殺人のミステリー仕立てにせずに、(辰巳直道くらいはストーリーの必然として死んでもらうとしても)遠松鍵人と藤谷美津子の、安藤アンナと木村伽椰の愛憎ドラマ・悲恋物語として最後まで語ってくれたらきっと何倍も感動的な物語になったでしょうに。

 作品としては、はっきりと、30年前のある事件に関わった者に対する連続殺人事件を軸としたミステリーとして構成されています。
 しかし、ミステリーにありがちな陥穽ではありますが、どんでん返しを作ろうと無理をしてストーリーが不自然になっています。どんでん返しとしてもとても中途半端ですし。
 最終的に主犯とされた犯人を前提に考えると連続殺人の動機はあまり説得力がないですし、殺人がモーツァルトの作品番号(ケッヘル番号)にこだわって実行されている理由も理解できなくなります。読んでる途中はさほど気にならなかったのですが、犯人が犯行とモーツァルトを結びつける動機が説得力がなくなると、その設定も「ダ・ビンチ・コード」の2匹目のドジョウでも狙ったのなんて思えてきます。
 安藤アンナがヘロイン中毒になるいきさつが書かれてないのも、ミステリーとしても人間ドラマとしても欲求不満が残りますし。読者の視点からは殺すまでの必然性を感じない者が3人も殺されているのにその犯人を許すことに何の説明もないし。そのあたりの葛藤を自分の中でどう処理したかの叙述さえないことが語り手の伽椰の人物像をさらにあいまいにしている感じがしますし。

 連続殺人事件が前に出てこないところは、エキゾチックな、趣味のいい、切ない読み物なんです。遠松鍵人の数奇な生い立ち、鍵人と藤谷美和子の異常にストイックな愛と破滅的な性格(性癖)故に成就しない悲恋、張りつめた獣のような安藤アンナを思いつめる伽椰・・・。このあたりの人間模様を、連続殺人事件をなくして、代わりに例えば30年前の忌まわしい事件後の葛藤、辰巳直道とアンナのヘロイン中毒の関係、篤之と千秋の逃避行、辰巳直道の死とそれをめぐる関係者の思いと行動なんかを書き込んでいって、悲恋物として完結していたらなあ・・・そういうの読みたかったなあ、惜しいなあと思ってしまいました。
 「これはミステリーじゃないんだ!」と割り切って読めば、そこそこ美しい物語ではあります。


中山可穂 文藝春秋 2006年6月10日発行
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読みかけの「ケッヘル」

2006-10-16 22:44:39 | Weblog
 またしても分厚い小説に手を出しています。中山可穂「ケッヘル」上下2巻組。幼いときからひたすらピアノとモーツァルトをたたき込まれて育った男と有力政治家の妻を寝取って駆け落ちした上その女性からも逃げ続けるレズビアンの女性のお話。幻想的な小説で、外国経験もなくクラッシックなんて聞かない私には、とてもエキゾチック。上巻まで読んだところでは(第3章あたりまで)よさそう。ありがちなパターンの1人の話、その次もう1人の話、また最初の人に戻って・・・ていう展開で、男の話に戻った第4章が上巻の終わり151頁はちょっと長すぎて飽きてきたけど。
 たぶん、とってもいいか、ハズレかどっちかになりそう。下巻に期待して今日は娘も呼んでいるのでもう寝ましょう。
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