マネーロンダリング(資金洗浄)についての読み物。事例を挙げながら広く浅く軽いタッチで説明しているので軽い読み物として楽しめます。マネーロンダリングという言葉が、本来の資金洗浄という意味で使われている部分と地下経済全般を指して使われる部分(後半)があり、「地下」の度合いも様々なものを一緒くたにしているのと、事例の挙げ方や論調が規制当局サイドからのあおり的な感じがすることもあり、緻密さは感じられず娯楽的な読み方をしておくのが無難です。
地下経済について様々な数字を推計していますが、例えば、地下銀行からの不法就労外国人による海外送金額をミャンマー人不法就労者へのアンケート調査で月平均4万5010円であったことを用いて、出身国の所得・生活レベルに応じて母国への送金額は変わると推測されるとして他国籍の者については母国の1人あたりGDPの比を掛けて推計し不法就労外国人の平均的な1人あたり年間海外送金額は213万2743円(90~91頁)というのはかなり無理があると思います。日本での不法就労者の海外送金は母国での経済じゃなくて自分がいくら稼げて生活費にいくらかかるかで決まるはずです。母国のGDPが大きい国の人が日本でたくさん稼げるという関係にあるわけではありませんし、そもそも平均的な不法就労外国人が日本で生活費を除いて年間213万円も余裕資金が稼げるなんて私にはとても考えられません。こういう推計を見せられると、挙げられている数字全般が眉唾物に思えます。
地下銀行が利用される理由として国内金融機関の海外送金サービスより手数料が圧倒的に安いこと(87頁)、違法カジノが利用される理由として公営ギャンブルの還元率の低さ(胴元の取り分の高さ)(98頁)が挙げられているのは、なんとなく納得してしまいますけど。

門倉貴史 青春出版社 2006年9月15日発行
地下経済について様々な数字を推計していますが、例えば、地下銀行からの不法就労外国人による海外送金額をミャンマー人不法就労者へのアンケート調査で月平均4万5010円であったことを用いて、出身国の所得・生活レベルに応じて母国への送金額は変わると推測されるとして他国籍の者については母国の1人あたりGDPの比を掛けて推計し不法就労外国人の平均的な1人あたり年間海外送金額は213万2743円(90~91頁)というのはかなり無理があると思います。日本での不法就労者の海外送金は母国での経済じゃなくて自分がいくら稼げて生活費にいくらかかるかで決まるはずです。母国のGDPが大きい国の人が日本でたくさん稼げるという関係にあるわけではありませんし、そもそも平均的な不法就労外国人が日本で生活費を除いて年間213万円も余裕資金が稼げるなんて私にはとても考えられません。こういう推計を見せられると、挙げられている数字全般が眉唾物に思えます。
地下銀行が利用される理由として国内金融機関の海外送金サービスより手数料が圧倒的に安いこと(87頁)、違法カジノが利用される理由として公営ギャンブルの還元率の低さ(胴元の取り分の高さ)(98頁)が挙げられているのは、なんとなく納得してしまいますけど。

門倉貴史 青春出版社 2006年9月15日発行