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伊東良徳の超乱読読書日記

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「小さな政府」を問いなおす

2006-10-05 21:29:46 | 人文・社会科学系
 表題や、本書ではこうした「小さな政府」の光と影を歴史的かつ経済学的に問い直してみたいという「はじめに」の書きぶりから見れば、小泉構造改革批判の本かと錯覚します。
 しかし、実際には、スウェーデン型福祉国家は生き残っていると評価している(しかし日本はスウェーデンを目指せとはいわない)第6章を除き、全体に「結果の平等」を目指す「大きな政府」を批判し「機会の平等」を目指す「小さな政府」と(新)自由主義経済学を礼賛しています。著者は規制緩和小委員会のメンバーですから、まあそういう意見になるのは当然でしょうね。

 私は、弱肉強食・金持ちのやりたい放題を促進する新自由主義経済学と「構造改革」には賛成しませんが、著者の立場からも以下のような指摘があることは勉強になりました。
 サッチャー・ブレア政権下のイギリスでも資力調査を重視して受給者の選別は強めたが社会保障制度自体はそれほど縮小していない。
 「機会の平等」を保障するためにも職業訓練の機会の確保・援助は重要である。小泉改革では非正規社員や失業者が再挑戦する機会の創造は2003年の「若者自立・挑戦プラン」が発表されたがほとんど手がつけられていない。


岩田規久男 ちくま新書 2006年9月10日発行
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