詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

詩はどこにあるか(40)

2005-05-09 23:46:29 | 詩集
森鴎外「寒山拾得」(「森鴎外選集 第5巻」岩波書店)


 閭は小女を呼んで、汲立の水を鉢に入れて来いと命じた。水が来た。

 三島由紀夫が「文章読本」で取り上げていたと思うけれど、この「水が来た」という素早いことば運びに「詩」がある。余分なものを削ぎ落としたことばの素早い運動。精神の素早い運動。

 「詩」とは、精神が素早く運動し、いきなり本質をつかみとることである。いきなりつかみとられた事実が「詩」である。
 余分な装飾は「詩」を汚す。
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