白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

秋の風

2009-10-09 | 画廊の様子
大きな空に浮かぶ白い雲、風に唸るポプラの力強い枝、そしてどこまでも何を追いかけているのでしょうか、牧草の波が走って行きます。

唐黍畑の向こうに大きく四角に囲われた畑がありました。
小さな看板に”亜麻”と書いてあります。

小さくて、まるくて硬い種子の実を付けて絡み合った茎が揺れています。
その中に小さな水色の五弁の花びらをたくさん見つけました。
可愛いお花です。少しづつ秋が深まって刈り取りも間もなくでしょうに一生懸命に咲いているのです。

亜麻は遠く聖書の時代から主にイスラエルで栽培されていました。
茎からは亜麻布を、種子からは亜麻仁油を絞って薬などをつくっていました。
日本では明治の頃に北海道の開拓使が栽培をしていたようですが今は殆どみられなくなりました。

亜麻糸の色は明るい灰黄色でflax color またはstraw colorと呼ばれます。
ドビッシーの”亜麻色の髪の乙女”はその可憐さを想像させてくれます。


 堀 辰雄       美しい村 より
        
     乳母車の中から
     亜麻色の毛髪をした
     女の児が私の顔を見て
     にっこりとした

              月寒にて   s.y