白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

ローラのクリスマス

2010-12-20 | 画廊の様子
ローラは夕ごはんのあと原っぱの星明りの中でとうさんの弾く
バイオリンの音を聴くのが大好きでした。
大きなお星さまがゆれながら降りてきてローラに歌ってくれるのです。

夜がとても長くなって寒くなってきた冬の日にとうさんは森の奥から
一本のちいさなもみの木を切って帰って来ました。
暖かな部屋に良い香りが漂いました。
もみの木のてっぺんは十字の形をしていてローラはそこに一つ
大きなお星様を銀紙で作って飾りました。
三人の博士を導いたベツレヘムの星です。
紅いりんごとキヤンドルそれからきらきらのベルもつるしました。
あとは真っ白な雪を待つだけです。

クリスマスの前の晩というのに森のそばのクリークは烈しい雨で
ゴーゴーあふれそうです。
とうさんの友達のエドワーズさんは独り者なのでかあさんは
ディナーに招待していたのです。
こんなお天気ではエドワーズさんもサンタクロースもあのクリークを
渡れっこありません。
でもとうさんはお祝いの七面鳥を森で撃って帰ってきました。
ローラはもうクリスマスは来ないわとあきらめてメアリーねえさんと
ベッドに入りました。
私たちにはとうさんとかあさんがいるし暖かな家やご馳走もいただけるし
幸せなのだと自分に言い聞かせました。
かあさんはそれでも洗いたての靴下を片方ずつベッドのはしに
つるしてくれました。

夜が明けた頃にガタガタと音がしてずぶぬれのエドワーズさんが
やって来たのです。
頭には着ていた物をくくりつけ体が浮かないようにお土産の9本の
さつまいもを股引のあいだに挟んでクリークを渡ったのです。
クリークの向うで赤い服のサンタクロースに会ってローラたちへの
贈り物を預かって来たというのです。
かあさんは夕べの靴下にその包みをそれぞれに積めて渡してくれました。
甘い棒のキャンデーやハートのクッキー、ブリキのコップを一つづつ
それに銅貨が一枚づつ入っていてまるで夢のようでした。
二人はあれやこれやエドワーズさんを質問攻めにしてしまいました。

みんなで七面鳥の丸焼きとホカホカのさつまいもとふかふかのパンを
お祝いにいただきました。

なんて幸せなクリスマスなのでしょう。
サンタクロースのおじいさん、エドワーズさんありがとうございます。
ローラとメアリーねえさんはささやかだけど温かな愛に包まれた
クリスマスに感謝でいっぱいでした。
   
     大草原の小さな家  ローラ インガルス ワイルダー 作 より
       もうひとつのローラのものがたり  by s・y
  
   この地球が今も未来も世界中の子ども達にとって愛に満ちた場所で
                          ありますように。