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泉山の草木花

ひそやかに咲く花々や、やさしさに溢れた植物を皆さんに紹介したいと思います。

おにどころ

2012-11-02 | 雑感
  おにどころ/鬼野老  ヤマノイモ科
オニドコロの黄葉を見つけました。
朝陽が射して、その部分が金色に輝く様は、
心惹きつけられます。



「草紅葉」(くさもみじ)という言葉があります。
標高の高いところにある草原が、
赤や黄色のパッチワーク状絨毯を作っている画像をよく見ますが、
身近にも色づいた草々が見られます。

11月7日に立冬を迎えます。
秋の陽に映える草紅葉をもう少し、楽しみたいですね。

のぶどう

2012-10-26 | 雑感
  のぶどう/野葡萄  ブドウ科
秋の陽に照らされて、まるで陶器のように見えるノブドウの実を見つけました。
陶器と言うよりも、むしろ磁器製の果実のようです!

このような青が、自然界に存在することを、
奇跡のように感じます。

それは、一瞬の光に姿を見せる、この地球上の命の宝石のようです。

感動をこれからも探していきたいと、この実を見て、強く思いました。


しおん

2012-09-23 | 雑感
  しおん/紫苑  キク科
秋の陽に揺れるシオンは、幼児期の庭を思い出させます。
たくさんの花の中で、ひときわ高く咲き出でて、
堂々とした立ち姿は、子供の眼に強く印象を残しました。

「しおん」と言うと、すぐに「四恩」が思い浮かべられます。

「四恩」には色々な恩を当てはめて言いますが、
・神佛への恩(自然や神佛に対して)
・社会への恩(国や地域や他の人に対して)
・物の恩(食べ物や器具や機械やあらゆる物品に対して)
・先祖の恩(親や先祖に対して) を、
忘れないようにしたいものです。

恩を知り、恩を感じ、恩に感謝し、恩に報いる。

自己中心的な考え方ではなくて、
人として、当たり前の事を行なう。
それが社会をより良くする第一歩だと、
この紫苑の花を見て、思うのです。



やまのいも

2012-08-25 | 雑感
  やまのいも/山の芋(ジネンジョ)
フェンスにヤマノイモの雄花が咲いていました。

人工物を利用する野生の植物に、
したたかさや、たくましさ、可愛らしさを感じます。

私たちは、常に環境に適応して行かないといけません。
適応を強いられているとも言えます。

適応しないとストレスが溜まり、
心身に悪影響を及ぼすことになります。

進化とは適応の歴史ともいえます。
人も植物も、それぞれの世界で、
適応と、淘汰を繰り返しながら、
進歩していくのでしょう。




あさがお

2012-07-21 | 雑感
  あさがお/朝顔  ヒルガオ科
「あさがお」、いい名前です。

名は体を表す。
早朝開き、午前中には閉じてしまう、朝顔。

花を、顔と見る詩的表現は、とても日本的ですね。
桔梗(キキョウ)も槿(ムクゲ)も別名朝顔と呼びますが、
朝顔の名は、この花にもっとも似合っている名前だと思います。

朝顔は、奈良時代後期から平安時代初期頃に日本に渡ってきました。
牽牛子(けにごし)と呼ばれる種子が薬用として使われました。
江戸時代には、園芸植物として庶民の間で大流行し、
300近くの品種があったとも言われています。

元禄を中心に園芸文化が隆盛し、
幕末に日本を訪れた西洋人を驚嘆させています。
長き平和は、文化を熟成させるものですね。

のぶどう

2012-07-05 | 雑感
  のぶどう/野葡萄  ブドウ科
梅雨の真っただ中、他の木々にからみつき、また樹上から枝を伸ばして、
目立たないうす緑色のちいさな花を咲かせているノブドウに、
なぜか惹かれるのです。

人が植物に興味を持つのは、花が美しいとか、
実が食べられるとか、人のために役立つ時でしょう。

このノブドウは、花はささやかだし、
他の植物を蔽って、少々邪魔になるし、
これと言って、強いてあげる特徴も無く、
秋の、青や紫や、緑色の実は、淋しさを誘うような…

そんなノブドウに惹かれるのは、
むしろ特筆すべき特徴も無く、目立たない植物だからこそ、
かもしれません。

世の中の役に立つ事が存在理由である私達は、
他のものにもその価値観を当てはめて見がちですが、
役立つ度合いが極小だと、見えないかもしれません。
しかし、それぞれの分に応じて、社会(環境・地球)に貢献していることを考えると、
けっして、無視も否定もできないものです。

人に役立つ度合いの大きい植物も、役立たない植物も、
優劣は無いと、ひっそりと花を咲かせ、世代をつないで行く彼らを見て、
そんな風にいつも思うのです。

まめづた

2012-03-02 | 雑感
  まめづた/豆蔦  ウラボシ科 
春先の、まだ静けさに満ちた林の中の、
常緑樹の幹に緑濃い丸い葉を並べているのは、
羊歯(シダ)植物のマメヅタです。

ほんの1センチほどの葉は厚くて、寒い冬でも緑を保っています。
中に細い葉がところどころに見えますが、
それは胞子葉で、裏にびっしりと胞子嚢がついています。

羊歯を見るといつも思い出すことがあります。
それは二十歳の頃、市内周辺の山を、
羊歯植物を訪ね歩いていたときのこと、
ある山道で、このあたりでは大変珍しい羊歯を見つけたのです。

さっそく採取し、家で栽培を始めました。
それから数年後、またその場所に行ってみると、
ダム工事によってその山道は跡形も無くなっていたのです。

結果的にその珍しいシダを救出したことになりますが、
通常、野生植物を採取することは、小さな自然破壊とも言えるのです。
しかし、人間の欲望と言うものは、自我を優先してしまうものです。
盗掘とも言われるように、植物泥棒は時として、
環境や他の人々を傷つけることにもなります。

注意深く、その周辺の植生を観察しなければと、いつも思うのです。

のちに、この羊歯の市内での過去の記載場所を図書館で調べると、
まさに自分が採取した場所だったのです。
その羊歯は現在もなお、30年余り、庭で生き続けています。

なにが良くて、なにが悪いのか、人知ではなかなか量ることができませんね。



杉の雄花

2012-02-10 | 雑感
  杉の雄花
よく見ると、造形的に興味をそそる杉の雄花…

スギ花粉情報がマスコミを飛び交うようになって、
どのぐらい経つのでしょうか…
きめ細かな観測がなされるようになり、
花粉症の方々は、余計に心理的圧迫を感ずることも、
あるのではないでしょうか。

花粉というものは、数が多いからこそ、
雌花に到達できる確立も高いのですが、
まして、杉のように風によって受粉するものは、
なおさら大量の花粉を撒かなければなりません。

その花粉が湖底や湿地の底に降り積り、
何千年、何万年も残って、その地域のかつての植生を教えてくれる、
花粉分析なるものが存在します。

花粉膜にはそれぞれの植物特有の模様があり、
硬くて壊れにくいので、酸素の少ない湖底の泥中に化石となって残り、
それを丁寧に調べることで、環境の移り変わりを知ることができます。

また、湖底だけでなく、マンモスの胃の中に残っている花粉を分析することで、
その棲息地帯の植生を知ることもできます。

一枚の葉っぱの上に、何千という花粉が降り積っていることさえあるのです。
昔から大量の花粉にまみれてきた私たちが、突然に、花粉症になるのは、
量の問題だけでなく、別の原因があるようにも思えますね。

このお話で、くしゃみが出そうになった方、申し訳ありません!

いぬざんしょう

2012-02-03 | 雑感
  いぬざんしょう/犬山椒   ミカン科
今日は春の節分。
先ほど、保育園の前を通りかかると、
保育士と鬼さんが、螺旋階段を隠れるようにして、降りていきました。
たぶん園では豆まきの真っ最中。
園児たちのあまりの豆攻撃に、退散中だったのかも!

このイヌザンショウの幹は、鬼さんの棍棒に見えますね!

明日は立春です。
「立春」という言葉はなぜか、前向きな、明るい響きがあります。

現代は、春というと3月を思い浮かべますが、
昔の人は、時候に敏感だったのでしょう。
まだまだ雪のちらつく日々ですが、
そのようななかでも鋭敏な感覚と眼で、
春を感じ、発見してきたのでしょう。
多くの歌が立春に詠まれています。

花芽や葉芽は、ゆるやかだけれども、しだいにふくらみを増し、
蕗の薹(ふきのとう)も、むっくりと起き上がり、
水仙の花が、冷たい風にのって、香りを届けてくれる、
この季節は、春への待ち遠しい気持ちを、
立春という響きに載せて、
過ごしたいものですね。

ふゆのはなわらび 

2012-01-27 | 雑感
  ふゆのはなわらび/冬の花蕨 
フユノハナワラビの「花」である胞子葉が、
雪のつつじ園の通路に、ふたつ、三つと、
顔を出して、よろこんでいるように見えました。

羊歯植物に「花」はないのですが、
種子植物の「花」が繁殖のために咲くのと同じように、
羊歯植物の胞子葉も繁殖のために伸び上がり、
胞子をいっぱい詰め込んだ穂を咲かせて、
雪の上で楽しそうにしています。

冬と、花と、蕨が、言葉の持つ力の和を成して、
寒さに耐え、雪に耐え、生き続けている姿は、
この星の不思議と、もの言わぬ啓示を、
私たちに与えているように思います。