泉山の草木花

ひそやかに咲く花々や、やさしさに溢れた植物を皆さんに紹介したいと思います。

まめづた

2012-03-02 | 雑感
  まめづた/豆蔦  ウラボシ科 
春先の、まだ静けさに満ちた林の中の、
常緑樹の幹に緑濃い丸い葉を並べているのは、
羊歯(シダ)植物のマメヅタです。

ほんの1センチほどの葉は厚くて、寒い冬でも緑を保っています。
中に細い葉がところどころに見えますが、
それは胞子葉で、裏にびっしりと胞子嚢がついています。

羊歯を見るといつも思い出すことがあります。
それは二十歳の頃、市内周辺の山を、
羊歯植物を訪ね歩いていたときのこと、
ある山道で、このあたりでは大変珍しい羊歯を見つけたのです。

さっそく採取し、家で栽培を始めました。
それから数年後、またその場所に行ってみると、
ダム工事によってその山道は跡形も無くなっていたのです。

結果的にその珍しいシダを救出したことになりますが、
通常、野生植物を採取することは、小さな自然破壊とも言えるのです。
しかし、人間の欲望と言うものは、自我を優先してしまうものです。
盗掘とも言われるように、植物泥棒は時として、
環境や他の人々を傷つけることにもなります。

注意深く、その周辺の植生を観察しなければと、いつも思うのです。

のちに、この羊歯の市内での過去の記載場所を図書館で調べると、
まさに自分が採取した場所だったのです。
その羊歯は現在もなお、30年余り、庭で生き続けています。

なにが良くて、なにが悪いのか、人知ではなかなか量ることができませんね。




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