泉山の草木花

ひそやかに咲く花々や、やさしさに溢れた植物を皆さんに紹介したいと思います。

マートル

2012-06-29 | 樹木
  マートル/銀梅花  フトモモ科
植栽されたマートルの花が満開です。

地中海沿岸原産のハーブです。
葉をもむといい香りがします。

フトモモ科は、日本にも九州南部以南にアデクという樹木が自生していますが、
世界には155属3600種以上の種類があります。
コアラの食べる、オーストラリアのユーカリも同じ仲間です。

いずれも香り成分があり、有用植物が多くあります。
丁子~チョウジ、いわゆる香辛料のクローブもこの仲間で、
胡椒や丁子などの香辛料を求めて、大航海時代、大国が海を渡りました。

肉を好む西洋人にとって、その臭みを取る香辛料は欠かせなかったのです。
そのために植民地を次々に増やし、有用植物など資源を求めて、
世界中を廻ったのです。

高価な値段で取引される丁子~花のつぼみ~の事を思うと、
その価値を生まれながらにして持っている、植物の使命に、
感動します。


やまもも

2012-06-22 | 樹木
  やまもも/山桃  ヤマモモ科
甘くて美味しい実は、いくら食べても食べ飽きません。
ただ、アクも強いので、食べ過ぎには注意!

種子から植物を栽培していると、
いろいろな種子の形に興味を持つものです。

そこで、食べた後のヤマモモの種子を綺麗に洗って見てみると、
茶色の毛で被われた硬い種子でした。 

想像とは少し違っていました。
本で調べてみると、これは核と呼ばれるもので、
このなかに種子が一個入っているということです。

核とは、内側にある果皮が硬くなって、
種子を包んでいるものをそう呼んでいます。

たとえば、梅とか桃の硬いタネは、核です。
中のジンと呼ばれる部分が種子なのです。

くるみも中の食べる部分がほんとうの種子なのです。
なかなか種子であるか、核であるかを見分けるのはむずかしくて、
専門家の書いた本によるしかないのですが…

専門的なことはさておき、様々な種子に魅了されている毎日です!

うめもどき

2012-06-15 | 樹木
  うめもどき/梅擬  モチノキ科
淡い藤色の小さな花が、葉陰に群って咲く様子は、
とても可愛いですね。

梅に葉が似ているところから、ウメモドキと呼ばれています。

ウメモドキの木は、子供の頃の庭を思い出します。

植物に興味を持ったのも、様々な草木が植えてあった、
その庭が出発点だったのです。

木々のそれぞれの季節の変化は、風や光や、匂いとともに、
感性に作用して、読書や、音楽のなかの情景を、
より深くさせるものです。

ふと、眼を上げた窓の向こうの、ウメモドキの赤い実が、
明治期の小説の陰影を、濃くするような…

その赤い実をひとつ、また、つぶしてみたくなりました。

ひめしゃら

2012-06-08 | 樹木
  ひめしゃら/姫沙羅  ツバキ科
インドに生育する「沙羅双樹」(フタバガキ科)は仏教の聖樹です。
日本ではナツツバキを沙羅の木と呼び、
沙羅双樹の代わりとして、植栽します。

ヒメシャラはナツツバキより小さな花ですが、
15メートル以上の大木となり、
自らの垢を脱ぎ捨てるように、
樹皮が剥がれて、すべすべの赤い肌となります。

以前愛知県のヒメシャラの林のある神社を訪れましたが、
いくつもある木からは、たくさんの花が散ってきて、
一面に花の絨毯を作っていました。

また、神社裏の森の中で、異様に赤い樹皮を真っすぐ伸ばして、
ヒメシャラの大木があちらこちらに印象的に立っていました。

樹木を訪ねる旅も、また楽しいものです。











ほらしのぶ

2012-06-01 | 羊歯
  ほらしのぶ/洞忍  ワラビ科
ホラシノブはとても身近な羊歯植物のひとつです。
見慣れているので、日頃は気にも留めないのですが、
よくよく見ると、その繊細で規則正しい切れ込みの葉は、
きわめて美しい形をしています。

この細かい切れ込みの、それぞれの葉裏には、
胞子を作る袋が付いていて、
繁殖の装置を隠し持っているのです。

生き物のそれぞれの形は、
遺伝子を後世に伝えるために、
さまざまな変化を遂げてきた究極の造形といえます。

その造形に感動することがまた、楽しいですね。