泉山の草木花

ひそやかに咲く花々や、やさしさに溢れた植物を皆さんに紹介したいと思います。

ふゆのはなわらび 

2012-01-27 | 雑感
  ふゆのはなわらび/冬の花蕨 
フユノハナワラビの「花」である胞子葉が、
雪のつつじ園の通路に、ふたつ、三つと、
顔を出して、よろこんでいるように見えました。

羊歯植物に「花」はないのですが、
種子植物の「花」が繁殖のために咲くのと同じように、
羊歯植物の胞子葉も繁殖のために伸び上がり、
胞子をいっぱい詰め込んだ穂を咲かせて、
雪の上で楽しそうにしています。

冬と、花と、蕨が、言葉の持つ力の和を成して、
寒さに耐え、雪に耐え、生き続けている姿は、
この星の不思議と、もの言わぬ啓示を、
私たちに与えているように思います。

こばのみつばつつじ

2012-01-20 | 雑感
  こばのみつばつつじ  ツツジ科
冬芽を見る楽しみは、冬の森の醍醐味のひとつです。
いろいろな形と色と、花芽と葉芽の見極め、
これは何の冬芽なのか、頭をひねる、楽しみ…

落葉樹だけでなく、常緑樹にも様々な冬芽があり、
それぞれに、春の息吹を包み込んで、じっとしています。

裸のまま(葉がそのままにかたまっているもの)や、よろいを着たもの、
艶のあるものや、粘つくもの、ふかふかの毛をまとったもの…

ああ、春が待ち遠しくなりますね。

芙蓉の実

2012-01-13 | 樹木
  芙蓉の実   アオイ科
花の少ない冬景色の中、「なにもわたくしどもは、変わっておりませぬ」と、
静かに、独り言して、かすかに風に揺れながら、冬の色彩に融けている印象的な実は、
芙蓉の残り果です。

夏の大きな桃色の花と、この物静かな果実との対比を、
いつも面白いなと思って、見ていました。

芙蓉には、白い花、白から桃色に変わる酔芙蓉(すいふよう)、
南国に咲く、先島芙蓉(さきしまふよう)、
海岸に咲く黄色い花のハマボウ、よく庭木にされる木槿(むくげ)などがあります。
また、園芸品種が多く作られている、ハイビスカスも芙蓉の仲間です。
どれも花が美しく、古来より親しまれてきました。

フヨウ属は、熱帯や亜熱帯に200種以上の種類があり、
草本では、紙漉きにかかせないトロロアオイや、オクラがあります。

アオイ科には、人類にとって非常に重要な植物「綿(ワタ)」があります。
5000年前から栽培されてきたとも言われ、
衣類はもちろん、コットン100%の紙も作れています。

人と植物のかかわりは、明と暗の歴史を刻み、
今もなお、脈々と紡がれていますね。

しきみ

2012-01-06 | 樹木
  しきみ/樒  シキミ科
本来は春先から花を開くのですが、
たまに、こうして春が待ちきれずに、咲いています。

シキミと言うと、仏前の花、お墓に供える木として有名ですが、
サカキ(榊)にしても、このシキミにしても、
長く保つ葉の緑が、実に美しいのです。
昔の人は、永遠性をその中に見たのでしょうか。

シキミの枝を他の花と一緒に挿しておくと、
水が腐りにくく、花が長持ちするのです。
香り成分が水を消毒するのでしょう。

シキミの仲間は、アジアと北アメリカに隔離分布する植物のひとつです。
中国にも赤い花のシキミがありますが、
アメリカ大陸のものは、まるでヒトデのような動物的印象を持つ赤黒い花が咲きます。
参考にこちらを⇒「デンパーク」

ハナシバ(花柴)とは、このシキミのことです。
「はなしば持っていかんとなぁ」…