くちなし

　　くちなし／梔子　　アカネ科
雨のそぼ降るある日のこと、大内義弘の菩提寺の裏道をたどり、
滝へ向かう藪の中、重い空気を伝い、甘い、とても甘い香りが…
野生の梔子が咲いていたのです。

忘れえぬ香り。白く、うす黄色く、しずかに咲いている、梔子の花。

泉山の梔子も、あたり一面によい香りを漂わせて、
梅雨の曇り空を、かぐわしくしていました。

さつき

　　さつき／皐月　　ツツジ科
皐月に咲くサツキは、季節の移り変わりのなかで、
重い大気に被われるこの時期を知らせ、
薄絹のとばりのように、景色をいろどりて、
人と、植物と、
生きていることと、その命のつながりと、
花のやさしさと、家族の安らぎと、
自然の持つおおらかさと、人々の歩く道と…

とりとめのない想いを、わが胸に、連れてくるのです。

梅雨のこの時期、もの思いにふける最後に、
多くの人に支えられている自分を、思い出して…

ねずみもち

　　ねずみもち／鼠黐　　モクセイ科
モクセイ科の植物は、こころ惹かれるものが多いのですが、
子供の頃、このネズミモチの黒い実を、
竹筒鉄砲に詰め込んで、飛ばせて遊んだものです。

モクセイ科で香りの強さでは、キンモクセイですが、
ライラックも素敵な香りですね。

オリーブの花もよい香りがします。
ジャスミンももちろん強香！

そして、ナンジャモンジャの木として有名な、ヒトツバタゴ（一つ葉タゴ）。
花期には、枝いっぱいに咲きつめて、まるで白い幣を掛けた様になります。
長野県や、愛知県、岐阜県に点々と見られますが、
長崎県対馬の自生地では、山の斜面に一面に咲き誇り、
まるで海を照らしているごとく見えるので、
ウミテラシという名で呼ばれています。
一度見てみたいものです。