泉山の草木花

ひそやかに咲く花々や、やさしさに溢れた植物を皆さんに紹介したいと思います。

きんみずひき/金水引

2010-08-30 | 雑感
  きんみずひき/金水引  バラ科

「金色の水引きとは、よい名を頂きました。

  ‘ミズヒキ’というタデ科の、風雅な花がございまして、

      とてもわたくしなどは、彼女とくらべものにならないほどの、
 
  ささやかさで、咲いておりますが、

     もしも皆様のお目に留まりますれば、少しのま、足をとどめて、

                  ご覧いただけたら、幸せに存じます。
                        
                                かしこ」

こまつなぎ/駒繋ぎ

2010-08-23 | 草花
  こまつなぎ/駒繋ぎ  マメ科
いにしえの鎧武士が、しばしの休憩に、馬をこの草につなぎ、
望郷の風に吹かれている…
そんな情景を想像してみます。やさしい桃色の花が、妻を、子を、
そして母を、思い起こさせるでしょうか…

ほんとうにやさしげな草で、でも馬をつないで置けるほどに茎は丈夫なのでしょうか、
それとも至る所にあって、馬の餌にもなるし、しばし想いを寄せる人のところの垣根から、
そっとのぞいてみるには、都合のよい草だったのかもしれません… 

くさぎ/臭木

2010-08-16 | 雑感
  くさぎ/臭木  クマツヅラ科
ああ、この花が咲き始めると、思い出すことがあります。
あるご婦人から、このクサギの実で染めたという、美しい布を見せていただいたことを…



ほんとうに感動しました。
この色合いは、まるで平安のうすぎぬのようですね。
媒染剤によって、このように色の違いが出るそうです。


このご婦人は、山間に住まわれ、稲を栽培しながらこのような風雅な手仕事をされています。
草木染めの作家でもなく、詩人でもなく、ただ、重ねられた人生の経験のなかの、
ちょっとした、自然に対する詩情を、さりげなく現されている姿には、
感動を覚えます。

頂くお漬物も絶品なんです。
いつまでもお元気で、そのやさしい笑顔を見せてください。

おしろいばな/白粉花

2010-08-09 | 草花
  おしろいばな/白粉花   オシロイバナ科
熱帯アメリカ原産の可愛い草花です。
夕化粧とも呼ばれるように、花は夕方開いて、朝まで咲いています。
古く江戸元禄にはすでに渡来していました。

おしろいばなの語源は、黒い種子のなかの胚乳がまるで白粉(おしろい)のようだからです。
黄に絞りや、赤い花が一株から咲くさまは、
思わぬ才能が発揮されたようで、面白いですね。

夏休み、友達のうちを尋ねての帰り道、
おしろいばなの真黒い種子を、ひとつとって、爪ではじいて、飛ばしてみました。
友達家族は、どこか出かけて、留守でした…

やぶつばきの実

2010-08-02 | 樹木
  やぶつばきの実   ツバキ科
山口県萩市に行った折、まるでりんごのようなツバキの実を見かけました。
確かに、リンゴツバキなる品種があるそうですが、
泉山のヤブツバキの実もけっこう立派ですね。

夏の時期、はちきれんばかりの真ん丸い姿の果実は、
なんだか豊かな気持ちにさせてくれます。

ちなみに萩市の笠山には、ヤブツバキの純林が整備され、保護されています。
江戸時代、毛利氏の城のあった指月山から、この笠山は鬼門の北西にあたり、
開発されずにきました。
明治以降は、薪(まき)のために伐採を繰り返し、
そのため、根元から伐られたヤブツバキは、色々な個性を現し、
今ではさまざまな品種を見ることができます。
(ツバキの育種業者に聞いた事があるのですが、交配して目的の花が咲かなかった場合、
処分せずに、株もとから切り取り、萌芽してくる枝に咲く花を見るということでした。
前とは違った花の咲くことがあるそうです。ヤブツバキでも突然変異が起こるのでしょうか…)

笠山は、海に突き出たちっちゃな火山で、市女笠のような形に見えるので、そう呼ばれています。
海岸には、黒い溶岩石がごろごろしており、かつて火山であったことがわかります。
指月山と同じく、植物相の面白い場所です。