泉山の草木花

ひそやかに咲く花々や、やさしさに溢れた植物を皆さんに紹介したいと思います。

すだじい

2011-12-31 | 雑感
  すだじい  ブナ科
平成22年1月3日のスダジイの空です。
この小さな森の下には、さまざまな営みがありました。
今年のこの小さな森も、また、さまざまな命を包み、
空にたくさんのたましいを飛ばすのでしょうか。

私たちの一年は、このスダジイにとっては、
ほんのわずかの時間かもしれませんが、
永く命をつづけるものに、見守ってもらえる喜びを感じながら、
またこの樹木と、その空を見上げて、
今年一年を前進していきたいと思います。

宜しくお願い申し上げます。

そよご

2011-12-23 | 樹木
  そよご  モチノキ科
ソヨゴの名前は、「そよぐ」から来ているとか。
なんとも素敵な名前ですね。

その昔、裏山にスケッチに出かけるごとに、
そのそばを通り抜けていた…ソヨゴ。

葉は少しうねって、つやがあり、花は目立たぬとも、
雄株ではたくさん付けて、青リンゴ色に染まって、
赤い実は、長い柄の先で、揺れている、
そんなソヨゴを見るたびに、あの時の、
光と、風が、よみがえって来るのです。


初雪

2011-12-16 | 日記
  初雪
一週間前の12月9日、東鳳翩山(ひがしほうべんざん)に雪が降りました。
今日、再び雪模様。

二十四節気の大雪の頃、

閉塞冬と成り(そらさむくふゆとなり)

熊穴に蟄りて(くまあなにこもりて)

鮭の魚群る(さけのうおむらがる)

と申します。

もうすぐ冬至。

南瓜を食べて、寒さに身体が完全に慣れるまで、
元気に行きましょう。



霜の花

2011-12-09 | 雑感
  霜の花
12月7日、大雪。
立冬から1ヶ月、陽射しも弱まり、
朝、霜の花を見ながら、歩む坂道の、
息白くて…。

物の色に、白が加わると、
とても印象が変わるものです。
鮮明な、清純な、無垢な色合いに感じます。

霜の白、雪の白、雲の白…

人は、風の流れと、匂いと、色彩に詩情を溢れさせて、
古代より、詩を紡いで来ました。

一年を二十四の節に分け、
さらに七十二候の詩情豊かな言葉で表現する、
感性を、われわれも身体のなかに秘めていて、
わずかな空気の変化に反応し、
体調も変化し、こころも揺れ動いているのです。

忙しくても、疲れていても、
ふとした時、風の匂いと光の濃淡を敏感に感じ取り、
この地球の大気に包まれて、詩情を忘れず、
この星に生かされていることを、感謝して、
前をしっかりと向いて、生きて行きたいものです。


こしあぶら

2011-12-02 | 樹木
  こしあぶら/漉し油(別名/ゴンゼツノキ)  ウコギ科
日本固有の優雅な樹木です。
山のたくさんの樹木のなかにあっても、
その独特のゆったりとした姿はよく目立ち、
それとすぐに見分けることができます。

黄葉はこのようにレモンイエローで、
陽が当たると、はっとするほどの美しさです。

「漉し油」とは、変わった名ですが、
樹脂を漉して、ウルシのような塗料としたからだそうです。
ゴンゼツノキは、「金漆(ごんぜつ)」と呼ばれる、
鉄の錆止め用の塗料を作ったからです。

昔の人は、里山の植物を様々に利用して来ました。
薪にするもの、柿渋や漆のように塗料としたもの、
稲のはぜ掛け用に田の周りに植えて、さらには、
その果実を染色の材料とした樹木や、
飢饉に備えての食料として、葉を乾かし、
貯蔵していたものなど、
長く培われてきた経験によって、
たくさんの価値を植物たちのなかに見つけ、
生活を豊かなものにしてきました。

石油製品や模造品、化学物質の海に生きている私達にとって、
かつての人々の生き方は、季節の匂いと色彩のなかで、
時候の波を肌で感じて自然体のように見えて、
少しまばゆいのです。