眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

誓い

2010-07-03 | 
泣きたい夜に
 独りきりでお酒を飲むの。
  少女はウイスキーで溶けた氷を
   ざらついた舌の上で転がした
    周辺の言葉は
     余白を許さぬ大人達の領域で
      彼女はふと怯えた表情になる
       大丈夫
        全部記憶の残渣さ
         怯えなくても君は素敵な大人になる
          素敵な恋をして
           緩やかにお母さんになるんだ
            君のお母さんがかつてそうだったように

            じゃあ
           あなたとこうしている世界はどこに消えるの?
          記憶は磨耗されるんだ
         古臭いネガフィルムの記憶の断層は
        やがて薄れて灰になる
       君はそうやって僕を忘れるんだよ
      あらゆる事象がそうであったように
     少女は哀しげな目つきで憐れむように僕の瞳を覗き込んだ
    あなたは
   そうしてあなたは何処に消えるの?
  鯨は
 死期が近ずくと鯨の墓場に消えるんだ
或いは
 捨て猫の姿が急に消えて無くなるだろう?
  あの類さ
   少女はグラスのウィスキーの角で僕の額を冷やした
    馬鹿みたい。
     あなたは居なくならないし
      わたしはまだあなたと過ごす時間が必要なの
       誰も消えてなくなりはしないわ
        どんなに哀しくても?
         はっか煙草に灯をつけ
          深く深呼吸をしながら少女は微笑んだ
           どんなに哀しくてもよ
            あなたもわたしも消えてなくなりはしない
             そんなこと絶対に許さない

             少女はボトルに残った記憶を飲み干した
            ねえ。
           わたしは馬鹿なのかな?
          君が馬鹿なら僕はさらに付け加えて大馬鹿だ。
         はっか煙草の先端が彼女の前髪を焦がした
        質問していい?
       どうぞ。
      僕はワインのコルクを抜くのに手間取った
     
     「絶対に正しいことはないし絶対に間違ったこともない。」

    あなたはこの答えに反論できる?

   絶対に間違ったことはない、には同感だけど。

  絶対に正しいことがあるの?
 少女の茶色の瞳が僕を審査する

誤解を怖れずあえて云うとしたら

 「詩」はどんな人にも訪れる

  貧富の差も人種の壁も正しい人にも罪人にも
   愚かな権力者にも貧困の子供らにも
    
   「詩」は必ず平等に訪れる

    そこには決して妥協がない
     そうして其れは救いなんだ、と想うんだ。

      そう。
   
       少女はにっこり微笑んで
        僕がグラスに注いだ赤いワインを舐めた

         変化する努力を
          変化しないものを受け入れる勇気を

           ねえ。

            救われた気持ちになるの。

             哀しい夜にお酒を飲むと。

              大丈夫。

              青の月夜

              哀しい夜に



             あなたがここにいて欲しい






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