眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

しゃぼん玉

2022-04-14 | 
君の琥珀に触れた時
 君の為にしてあげられることが
  なにひとつ無かった真夏の午後
   炎天下の日差しの中で僕はただ
    哀しみを咀嚼していた
     口の中で苦い記憶がこびりついて取れない
      ポケットウィスキーの瓶でうがいをした
       虚脱した僕の存在
        いつかの少年の時間
         君の為にしてあげられることが
          なにひとつ無かった

          僕は馬鹿で冷淡で皮肉屋で無知だった
           
          レストランのステーキのソースが美味しかった
         君はゆっくりと肉を咀嚼し嚥下する
        僕は夢を咀嚼しワインで飲み干した
       店を出て
      僕らは路面電車に乗り込んだ
     石畳の街並みに電車は各駅停車した
    その度に
   僕らは旅を降りるべきか考察し
  結局街の何処にも降りることは無かった
 路面電車の中には乗客が居なかった
夜が知覚され用意周到に僕等は最果ての国に到着した

 握った手を離さないで と君が囁く
  街の中では握った手は離しちゃいけないの
   手を離すと貴方は迷子になって
    永遠に会えなくなるの。

    永遠?

     そう。永遠。

      僕は永遠を見た事がないよ
       それに永遠よりはプラネタリウムの星空が好きだよ。

       好き嫌いではどうしようもないのよ。
        好むと好まざるにかかわらず
         貴方は永遠を知るのよ。

        でも、僕は牛乳が飲めないしチーズも嫌いなんだ、
         たぶん「永遠」もあまり好きじゃない。

         皮肉屋の僕の言葉を無視して
          君はもう一度云った

         人はすぐに消えるわ。
          手を離すと貴方は迷子になる。
           そうして私達は永遠に会えなくなるの。

           人はそんなに簡単に消えるのかい?
            僕ははっか煙草に灯をつけた

            そう、まるでしゃぼん玉のようにね。

            君がそっと歌った

           しゃぼん玉とんだ
          屋根までとんだ
         屋根までとんで
        壊れて消えた

       それが僕らだった

      まだ少年の頃

     僕には君にしてあげられることがなにひとつ無かった

    握った手を離さないで

   耳元で君の声が木霊する

  いまでも





         

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