眠りたい

疲れやすい僕にとって、清潔な眠りは必要不可欠なのです。

切れた弦

2009-09-16 | 
一弦が突然切れた
 そこにある筈の弦に触れようとする度に
  指先は空虚な空間を空振りした
   そこにある筈のもの
    何時しか無くなった弦の感触を擬似し
     鳴る筈の無い主旋律を奏でようとする
      弦が一本切れただけの事だ
       だがしかし
        この指先の先に触れることの無い弦の存在は
         哀しくて空虚で不安だった

         無くなった主旋律を探して
          僕は何度も指先に触れる事無い弦に空振りをする
           無くしてから気付く存在の重み
            もう戻れない
             そこにある筈のもの

          全体僕等はこの惑星に於いて
         一体何を失ってしまったのだろう?

        野良猫は不意にその姿を消した
       何の前触れも無く
      まるであの気の置けない仲間達の様に
     音が聴こえない
    夜中の二時に君がささやいた歌が聴こえない
   クラッカーを齧りながらビールの缶を机の上に並べた

  君は不意にその存在を消した
 まるで白墨で描いた悪戯書きを黒板消しで消失させるが如く
あるべきものが無い事
 弦の切れたギターを抱えて
  僕は深いため息をつき
   失った世界にウイスキー臭い呼吸を発す
    
    連絡のつかない携帯電話

    この廃墟の21世紀に於いても
   人は安易で用意にその存在をマンホールの地価に埋葬する
  そうしてこの狭い世界の中ですら
 二度と会えないのだ

あるべきものが無いという午前二時の空腹は
 奇妙に切ない
  皆が眠る深夜
   僕は切れた一弦を創作する
   
   そこにあるべき筈のもの

   呼吸の音と

   失った一弦に捜索願を出す

   見つかるはずに無い机の上の

   大切な人


   記憶は容易に消え去る

   まるでいなくなった友人達の様







 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする