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ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 135ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は?  

2012-06-22 00:02:05 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【135ページ】


「見事だ! 何てすばらしい手さばきなのだろう」


和音は、感嘆して言った。


「深川博士、彼女の手を触ってもいいですか?」

「ええ、どうぞ!」


和音は、女性ソムリエ味川の手を取り、触ってみた。


「とても柔らかい手ですね? そして温かい?」

「36.5度ぐらいかな」と深川博士が答えた。

「深川博士、彼女の体も触っていいですか?」

「ええ、触ってみてください!」


和音は、味川のバストを触ろうとすると、彼女はスルリと身をかわした。

さらに彼女のヒップを触ろうとすると、彼女はうまく和音の手を避けた。


「深川博士、セクハラ対策もしているのですね?」

「はい」深川はうなずいた。

「でも強引に触ろうとするとどうなりますか?」

「触ろうとした人が悲鳴をあげるほど怖い顔に変身します。」

「ソムリエロボットのボディに興味があったのですが、それは止めておきましょう。」

「和さん、シャトー・マルゴーのオールドヴィンテージを飲んでみてください」

「それでは、いただきます」

 
 和音は、ワイングラスを手に取り、色を見、香りを嗅ぎ、そして口に含んだ。


「とてもすばらしいワインだ! このワインを飲んで、たとえ名は判らなくても、おいしさに感嘆しない人はいないだろう。」




ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 134ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は?  

2012-06-20 22:16:42 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【134ページ】


 深川博士は別室の方へ目を向けた。


「味川さん! こちらの部屋に来てください!」

「はい」


 隣の部屋から女性が入って来た。


「和さん、紹介します。女性ソムリエの味川さんです。」


和音は、ソムリエロボットにどう挨拶したらいいのか戸惑っていた。


「味川さん、こちら和音 通さんです。」と深川博士が先に紹介した。

「初めまして、和音さんのお話は、深川博士からよくお聞きしています。ワインのテイスティングにかけては

トップソムリエも敵わないそうですね?」 

「いや、それはうわさだけでしょう。」

「味川さん、ワインセラーの3段目の右端のシャトー・マルゴーを持ってきて、和音さんと私のグラスに注いでください。」

「承知しました。」


 味川は、ワインセラーに向かって歩きだした。

和音は、彼女の後姿を眺めながら、人と見分けがつかないと思っていた。

彼女は、ワインセラーの前に立つと、扉を開けて、上から3段目の右端のワインを手に持った。


「深川博士の指示通りに、ワインを手に持ちましたよ!」

「そのようですね」


 味川は、ワインセラーの扉を閉め、二人の所に戻ってきた。


「そのワインを抜栓し、ワイングラスに注いでください」と深川博士が言った。

「はい」彼女は返事すると鮮やかな手つきでシャトー・マルゴーを抜栓した。

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 133ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は?  

2012-06-19 22:36:26 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【133ページ】


「承知しました。アジミーの実力が発揮できるワインを選びます。」

「それから、アジミーのソムリエとしての立ち振る舞いの完成度をさらに高めてほしい。」

「わかりました。」と味川が言った。


 二ヶ月後、深川博士のプライベートワイン会が開催され、和音が招待された。

そして、テイスティング対決も申し込まれているが対戦相手のことは聞かせれていない。

和音が、博士の自宅を訪れると、居間に通された。



「今夜は、シャトー・マルゴーを楽しんで頂きたいと思います。」と深川博士が言った。

「それは、楽しみですね。それと博士の開発した新型ロボットも見せていただけるのですね?」

「はい。私は人型ロボットで機能を限定させたロボットを開発し、家庭教師ロボットや受付ロボットをヒットさせ、

最新の大ヒット作はコンビニレジロボットです。」

「コンビニレジロボットですか? そんなに需要がありましたか?」

「予想以上に。コンビニのレジのアルバイト料を自給900円とすると、1日24時間で21,600円になります。

一年間だと7.884.000円になるのです。」

「高価なコンビニレジロボットでもコスト的にペイするわけですね?」

「その通りです。」


深川博士は、少し自慢げな表情を見せた。


「今日、和さんに見て頂く新型ロボットは、商用ロボットではなく、私のプライベートロボットとして開発したものです。」

「そのプライベートロボットはどのような機能を持っているのですか?」

「30万件のワインのデータをインプットされた人型ソムリエロボットです。

今彼女を呼びますね!」

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 132ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は?  

2012-06-18 22:33:58 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【132ページ】


 深川博士はテーブルに置かれたシャトー・マルゴー2,000年のグラスに近づき、


「味川さん、我々もシャトー・マルゴー2,000年をいただきましょう。」と言った。

「はい」


 深川博士は、ワインを一口飲むと、本題の話に入った。


「味川さん、2ヶ月後にプライベートワイン会を開催するので、ワイン選んだりするのを手伝ってほしい。」

「ええ、もちろん」


味川は即座に返答した。


「アジミーの披露ですか? 何名招待されるのですか?」

「アジミーの実力を試そうと思っている。 招待は一人で、彼にテイスティング対決を申込みます。」

「招待客は男性で、その方とアジミーが勝負するのですね?」


味川は、ちらっとアジミーの方に目をやった。


「その方はトップソムリエ?」

「いや、和音 通という名前を聞いたことないかな?」

「深川博士が以前話をされていたトップソムリエもテイスティングにかけては敵わない人ですか?」

「そうです。」


深川博士は、シャトーマルゴー2,000年のグラスを飲み干した。


「さすが、このワインはボルドーの格付けシャトーの同業者もシャトー・マルゴーの2,000年は最高傑作だと

褒め称えるだけのことはある」


深川博士は、マルゴーが入ったワインセラーを指さしながら、


「プライベートワイン会で飲むワインは、あの中から選びます。テイスティング対決に使うワインは味川さんが選んでください」

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 131ページ目 第四話 人型ソムリエロボットの実力は?  

2012-06-12 21:18:38 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【131ページ】


「はい、テイスティングをさせて頂きます。」


アジミーは、ワイングラスを手に取り、色を確認した。


「色は濃い紫色です。」


彼女は、次に香りを確かめた。


「ブラックベリー、クレーム・ド・カシス、新樽のような微妙な香り、そして亜鉛のようなアロマも感じることができます。」


そして、グラスを口に近づけ、一口飲んだ。

アジミーの口にワインが入った瞬間に、ワインの成分、タンニン、酸味等が即座に分析された。


「このワインは、カベルネ・ソーヴィニヨン90%、メルロ10%の比率です。

タンニンはとてもしなやかで、舌触りはセンセーショナルで、口に含むとそびえ立つスカイツリーのようなワインで、

重かったり、ちぐはぐだったりすることはない。シャトー・マルゴー2000年は、すべてのヴィンテージの中でも

最高の出来栄えのひとつだと思います。」


「アジミー、シャトー・マルゴー2000年の公表されているテイスティングコメントはそびえ立つ

摩天楼のようなワインじゃなかった?」


味川がアジミーに訊いた。


「深川博士がイメージしやすいようにアレンジしました。」


「味川さん、摩天楼をスカイツリーと置き換えても、高名なワイン評論家のテイスティングコメントは、

結局どんなワインかよくわからないなあ?

アジミーが、分かりやすいテイスティングコメントをできるように改善してほしい。」

「承知しました。 少しづつ改善していきますので、数か月時間をください。」

「わかった! よろしく頼みます。」