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ワインバーでのひととき

フィクションのワインのテイスティング対決のストーリーとワインバーでの女性ソムリエとの会話の楽しいワイン実用書

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 154ページ目 ロワール川巡り② 

2012-08-06 20:48:51 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【154ページ】


「このワインのおおかみのような力強さ、迫力に一瞬圧倒されそうになったの!

しかし、このワインの余韻からは、若々しさや初々しさが感じられ、おおかみではなく、

おおかみのこどもだったのです。」


良子は、再びワイングラスを手に取り、飲み干した。


「これから熟成すれば、すばらしいおおかみになりそうだわ!

マスター、このワインをマリーナヴィレッジのハウスワインとして使いたいから、

大量に仕入れできないかしら?」


マスターは、笑っているだけであった。


「このワインもボルドーのプレミアム? もしかして、メドックの格付け・・・・?」

「メドック五大シャトーワインのひとつシャトー・マルゴー2005年です。」

「これが最高評価を受けたというシャトー・マルゴー2000年?

マスター、貴重なワインありがとう!」


マスターは、笑顔でうなずいた。


「良子さん、今夜もロワール川巡りしませんか?」


和音が、良子にロワールのワインを誘うと、


「ええ、ぜひ。 さっそく船長に案内してもらいましょう。」

「今夜は、ロゼワインのアンジュ地区から上流に上って、ソーミュール地区を案内します。」


マスターは、スパークリングワインを一本取り出した。


「ソーミュール地区では、36の村から赤、白、スパークリングワインと多彩なワインが

造られています。最初の一本はソーミュール・ムスーという軽いスパークリングワインです。」



ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 153ページ目 ロワール川巡り② 

2012-08-05 21:40:59 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【153ページ】

和音は、スロヴェニアの地場品種ソーヴィニヨナスの白ワインのラベルを見せた。


「マスターは、おしくて、珍しいワインを見つけるので感心するわ!」

「褒めてもらったので、赤ワインで珍しいワインをサービスします!」


マスターは、和音から馴染みのお客にサービスしてあげてと手渡された

シャトー・マルゴー2005年を抜栓し、グラスに注いだ。


「田辺さん、どうぞ!」

「私だけいただいてもいいのかしら?」


和音とマスターは同時にうなずいた。


「では・・・・」


良子は、グラスを手に取り、一口飲んだ。


「とてもおいしいワインだわ! これボルドーワイン?」


マスターは、笑みを浮かべてうなずいた。


「ここに入る前に、店内でおおかみのこどもが映されているのしばらく見ていたの。

今このワインを飲んで、あのおおかみのこどもに似ているとふと思ったわ!」

「おおかみのこどもですか?」

「おおかみのこども?」


 マスターは、どうしておおかみのこどもに例えたか知りたいと思い、

和音は、彼は話題の映画が映されているのを見たのだが、良子さんは何を見たのだろう?と

疑問に思った。


ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 152ページ目 ロワール川巡り② 

2012-08-03 20:49:14 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【152ページ】


 良子が奥のドアを開けると、そこはワインバーになっている。


「いらっしゃい!」


美紀が挨拶をした。


「こんばんは! おおかみのこども可愛いわ!」

「和音さんもじっと見ていたわよ!」

「そう?」


良子は、カウンターの奥に座っている和音に近づき、笑顔で話しかけた。


「こんばんは! 横に座ってもいいかしら?」

「もちろん!」


良子は、和音の隣に腰かけた。


「何のワインを飲んでいるの?」

「マスター、グラスをひとつお願いします。」


マスターがワイングラスを二人の前に置くと、和音はボトルを手に取り、グラスに注いだ。


「飲んでみて」

「アンズ、トロピカルフルーツの香りにミネラルや草のスパイス。」


良子は、グラスを口元に近づけ、一口含む。


「はつらつとしたとした酸味、フレッシュな柑橘のような爽やかでバランスのとれた味わい、

これはスロヴェニアのワインかしら?」

「さすが、勉強家の良子さんだ!」

「いえ、このワインは初めてだったの。 店内に入った時、今日のお奨めのボードのワイン名が

ちらっと目に入って、それでは?と思っただけ」

 

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 151ページ目 ロワール川巡り② 

2012-08-02 22:30:59 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【151ページ】


「スーパーでの話で、お客が若い店員に、『鷹の爪ありますか?』と聞いたらしい。

すると店員は、申し訳なさそうに『置いてありません』と答えたそうだ。」

「それで?」

「彼女は、バックルームに下がると、吹き出しながら仕事仲間に話しかけ、

『お客が鷹の爪ありますか?』って聞くのよ! 『ここはスーパーよ、鷹の爪なんて置いているわけないわ!』と言った。

すると仕事仲間の女性が『ああ!』と叫び『そのお客様はどこ?』と捜しにいったそうだ。」

「鷹の爪って唐辛子のことだけどね。」


丸山と仲間が、テレビ番組の話題を話し終えた頃、美紀が彼らが注文していたワインを持ってきた。


「今日のお奨めのレブラです。」


ボードに書かれたお奨めワインは、スロヴェニア特集で、

スロヴェニアの地場品種レブラとソーヴィニヨナスとシャルドネの白ワインであった。


「僕らがかってに注ぐから、テーブルに置いといて!」


美紀が、レブラをテーブルに置くと、丸山が話しかけた。


「美紀さん、この店に鷹の爪置いてある?」

「いいえ、オオカミの爪ならあるけど?」

「オオカミの爪か、そうだよね、ここはオオカミグッズ売っている店だった!」


その時、入店を知らせるライトが光ったので、美紀はモニターの所に戻った。

オオカミグッズが並べられている店内に入って来たのは、田辺 良子であった。


「あら? おおかみこどもが映されているわ!」


彼女もしばらく、おおかみこどもを見入っていた。

ワインバーでのひととき ファースト(改訂) 150ページ目 ロワール川巡り② 

2012-07-31 23:10:40 | ワインバーでのひととき1改訂四話 完
【150ページ】


「そうだね!」


丸山の仲間はうなずき、自分の体験を述べた。


「俺も、先日こんな経験したよ! お昼に仲間4人と中華の店に行った時の話だけど、

混んでいて、しばらく待った後、席に通された。」

「それで?」

「テーブルには、まだ前に食べた皿やラーメン鉢が残っていて、若い女性の店員さんが片付けに来た。

かわいい子だったなあ!」

「話がそれていない?」

「悪い!悪い!」


丸山の仲間が謝った。


「ラーメン鉢は2鉢あって、それらにはラーメン汁が多く残っていたんだ。

そこで、店員さんはどのように片付けようとしたと思う?」


「どのようにって、皿は重ねて、ラーメン鉢はそのままトレイに乗せるしかないでしょう?」

「そう思うでしょう? ところが彼女は汁のたっぷり残っているラーメン鉢を重ねようとした。

『あっ!』と叫んだがおそかった。」

「たぶん、後片付けの方法が皿や鉢を重ねるようにとマニュアル化されているのだよ。

まあロボットと一緒だね、自分で判断ができないんだよ。それでどうなった?」

「当然、ラーメン汁が溢れ出し、彼女は何やら中国語で叫んでいた!」


彼らは、よく話し、よく飲み、最初のワインのボトルが空になった。


「そうそう、昨日の番組で同じような話をしていたよ!」と丸山が言った。