@未成年の犯罪、警察官も見逃す犯人像が増えている。未成年だから犯罪は、嘘は付かないという思い込みが事件を複雑化させ、冤罪となる。この小説でも子供なりの犯行動機があるということだ。結局、大人(親)が作った犯罪のキッカケが子供の心に悪影響(生活環境)を残すという事。大人は子供の前での暴言、暴力行為はできる限り慎むべきだろうが、TV・SNSなど外からの悪益情報はもはや止めれないのが現状だ。それと中学生女子でも化粧を施すことで一人前の大人になりきる事ができ、生活保護無しに生き抜くことが可能な世の中、それを思うだけで寂しく、侘しく、恐ろしい。
『ヒトリシズカ』誉田哲也
見えそうで見えない。手が届きそうで届かない。時と場所、いずれも違うところで起きる五つの殺人事件。その背後につらつく女の影。追う警察の手をすり抜ける女は幻なのか。いまもっとも旬な著者の連作ミステリー。
「闇一重」上司の娘を現場で目撃、報告書には記載しなかったことで後々仕事上の問題になる
殺された体内の弾丸に疑問が浮かぶ、それは心臓に何かで弾丸を推し進めたことを発見する。
「蛍蜘蛛」一目惚れしたバイトの女性を疑うことなく黙秘したことで上司からの忠告を受ける
「腐屍蝶」自殺と他殺、上司の娘が行方不明になってから数ヵ月後遺体が山林で発見されるが狂気が見つからず学生服の証拠しかなかった。ところが虫歯の有無でその娘ではない事がわかる。
「罪時雨」長年同棲したが暴力を振るわれ別れたいと思ったが、男の方が離れたがなく付き纏うようになった。部屋の鍵を変えたことで怒りが爆発、ドアの前でイザコザが起きるとその男が瀕死の重傷を負っていた。イザコザを知っていた部屋の中にいた娘がとった行動。それは犯人を庇う行動だった。
「死舞盃」ヤクザの武力抗争で五人が殺され三人が重症となる事件が発生。その殺された親の9歳の子供と拳銃1丁が発見できなかった。 子供が大人に変身し、敵となる男と結託、親を見限った。
「独静加」17年前に消息が分からなくなった元警視の娘(養女)が一連の事件の発端だった。唯一同じヤクザの父親で生まれた妹を愛し、その孫を最後に交通事故で庇う事で人生を全うしてしまう。