せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

災害列島日本「水害被害に遭ってしまったら?」 〜災害に備える06〜

2021年03月08日 | 災害に備える2021_23

震災がつなぐ全国ネットワークのパンフレット表紙
本文にリンクがあります。


前回予告の、
「水害被害に遭ってしまったら?」を綴ります。

実際に、被災にあった知人友人の話や、
昨年7月の故郷の豪雨災害の支援で伺ったこと、

専門家向けのセミナーやシンポジウムから
具体的な建築の処理について、ご紹介します。

まず最初に、何と言っても、安全確認と避難です。

友人は、川の水位がどんどん上がるのを見て
急いで、車にパソコンを積んで仕事場から逃げたそうです。

本人が災害に逢うのは初めてですが、
過去に水害が起きた地域だったからです。
熊本の方です。

一方、避難しなかった方もおられます。

それは、水害が起きると思われていなかった都市部の地域です。
神奈川の方です。
河川の氾濫の前に、水路から内水が溢れたとのことでした。

「分かっていたら、車だけでも、避難させた」
と、おっしゃっていました。

この明暗を分けたのは、何かというと
洪水が起きるかどうかの正確な情報と、
近隣で危機を共有することだったようです。

後者の方は、一度水が引いて、大丈夫かなと思った
ということでした。何が起きているのか、
確かめることはしなかったことを
とても悔やまれていました。

まさか、自分のところが!?

ですよね。本当にそうだと思います。

災害にあうはずないという心構えで過ごすのか

次は、自分のところかも?と、意識して過ごすのか

この違いは、とっさに行動できるか
にかかっているように思います。

いつも心配して過ごすのではなく、
大雨や台風時に気にかける。
天気予報や自治体の出す情報を
まめにチェックする。

その時が近づいてきたら、用心するということです。

そして、このエピソードは、
私自身も、日頃どう行動するか
シュミレーションが必要だなと思いました。

家族に津波の話をしたら、
「ここには来ることないから〜」と、一笑に。
しかし、近くの川の氾濫は、ハザードマップにもあります。

近くで起きれば、当然、上下水道、ガス、
電気何かしらに影響が出てきます。

私は、この「ココでは起きない」も、
良いとは思えない考え方です。

近くで起きた場合の備えもいると思っています。

電車で帰れない。病院に行けないなど、
様々な不具合が生じるからです。

それでは、具体的な話に移ります。

水害にあった時の、その後の行動のことが
詳しくイラスト付きで書かれたパンフレットがあります。

こちらのボランティア団体に掲載されているので
ぜひ、ご参照ください。

震災がつなぐ全国ネットワーク(震つな)
ボランティアの方々のノウハウは素晴らしいです。

日本各地を回り、手助けしながら、災害日本列島の
蓄積された情報と知恵が詰まっています。

罹災証明や、被災状況の写真撮影、保険のこと、
まで、網羅されています。

建築士でも、被害にあったことがなければ
まず、どう対処したら良いのか、知識がなければ
慌てふためきます。

その具体的内容は、こちらを読んで頂くとして、

この中から、私が特に、住宅でお伝えしたいのは、

大きく2点。

1)壁、床下の浸水を見落とすな!
2)十分な乾燥を!

これが、実際被害にあった場合の対処法、2本柱です。

断熱材など、水を含んでいるものが
後から悪さをします。

十分に乾燥していないと
壁のボードを貼り直しても、後からカビが発生します。
   (理想は、1年間の乾燥)

これは、熊本で実際にあったことですが、
改修工事のコストダウンのためと、
大工ボランティアさんが
浸水ラインで、ボードをカットしていかれました。

内部の木下地などは水を吸ってしまっているので
実際は、浸水ラインよりも、
上でカットし、乾かさないといけません。

少なくとも、30センチ。

この話は、以前も綴っていますが、
やはり再度記載しておきます。

また、床下の浸水を見落とし、床を張り直しても
カビ臭さが取れず、おかしいと思って覗いたら、
排水できていなかった!なんてことも。

やはり泥が入っていないと思われるお宅でも
床下の確認は必須です。

そのための床下点検口や
基礎の人通孔は、建築時に備えておきたいですね。

そして、お泥水が入った場合には、消毒。

その薬剤が揮発するためにも、
十分に乾燥させて頂きたいですね。
温風機やや扇風機を使って。

薬剤が心配な方は、高圧洗浄などで、
こべりついた泥も落とせると良いですね。

水の反対は、「乾燥」と覚えると良いと思います。
お肌の乾燥は大敵で、水分の潤が必要ですが

水害の時は、逆で、乾燥に消毒と覚えておきましょう。

何を持ってしても、
被害に合わないに越したことはないのですが

昨今の気候変動では、いつどの地域で、洪水が起きるか
本当にわかりません。

特に、事前に、津波や洪水の
ハザードマップを確認されますように。

そして、意識も、ご準備ください。

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