せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

日本古来の木造建築の凄さ 建っていた環境を想像してみる

2020年03月02日 | 模型・実験・見学・講習・イベント


「出雲と大和」展のポストカードより、左上が発掘された古柱の根元、
中は、出土した鏡、右上は出雲大社模型の写真

新型コロナウィルスの影響で、
様々なご準備や対応に追われている方も多い、昨今かと存じます。

我が家も、子どもの早めの昼休みには戸惑いますが
家族、ご近所、友人知人、仕事関係の皆様などに
何とか感染がないように、祈るような気持ちでおります。

また、世界中での広がりに、医療関係者の方々始め
対処くださっている方々には、感謝申し上げます。

当方でできることを考え、
この週末は、建主様とお会いするのを見送りました。
お子さんもおられるので、
少し、落ち着いてから伺うことに致しました。

今日のテーマは、皆様にぜひ観ていただきたい
と考えていた展示会の紹介です。

子どもの受験が終わり、気が楽になり
先週、早速足を運びました。満喫しました。
しかし、その後、ウィルスの影響で、閉館になってしまいました。

そこで、感動したことについて、お伝えできればと思います。

木のことと、かなりマニアックですが、笑。

ブログ最後に博物館の
紹介リンク先を貼り付けておきますので、もう観れませんが
展示の様子を、少しでも感じていただければと思います。

東京国立博物館(平成館)にて開催されていた
「出雲と大和」展の
出雲大社心御柱(しんのみはしら)と宇豆柱(うずばしら)
日本古来の木造建築の凄さを見ました。
(上記のポストカード写真参照)

この杉を3本束ねて用い、
高層の木造建築が過去に出雲にあったことが
現実味を帯びた世紀の発見、
発掘調査で地下から見つかったのが2000年と言われています。

一度この古柱を拝見したいと考えていたことが
今回の展示会で実現しました。

実物を見るとその迫力に圧倒されます。
ポストカードの写真では、直径約1.3Mの木も
ただの茶色の塊としか見えないかもしれません。

展示では、不足している分は、模型になっているのですが、
すぐに違いがわかりました。

実物は、その木目一つ一つに
悠久の時代が刻まれています。
塊から、出ているバイブレーションが違います!

これらを束ねて、実に高さ48Mの神殿を
建てていたらしいのですから
凄すぎます。(あくまでシュミレーションということですが)

現在でいえば約15階建てくらいでしょうか。
階段の長さは、109M

模型を眺めながら、高所が好きな私でも
ここを恐怖感なく、登れただろうか。。。
慄く高さと長さです。

ギリシャのパルテノン神殿を思い出します。
人は神に近づきたい一心で、高いところに建物を建てる
と学びました。ですので、古代でも高い山の上に苦労して建てたのです。

日本人も同じ!?
神話では、天の神(天照大神の使い)が、地の神(大国主神)に、
国譲りを要求した際の条件として、「立派な神殿を建ててくれたら」
ということになっていますね。

オオクニヌシは幽界を治めることになるので
空高くなくても良い気がいたしますが、
やはり上を目指したのですね。

このような感じで、この「古柱」から想像したこと、
学んだことに絞って綴ります。
(ごめんなさい。全体の展示紹介ではございません)

1)日本古来の、木の風景を想像してみる

それにしても、これだけの太い杉の木があったということです。

私の知る樹齢3000年と言われている
大杉が高さ60Mですから
48Mといえば、樹齢1000年以上でしょうか???

素晴らしく、杉に恵まれた環境であったことが想像できます。

流れてきた木を使った説もあり、実際は分かりません。

縄文時代から、杉と共にあった日本人の生活ですから
(これは分かっている)杉は、日本独特の樹種であることも鑑みると
やはり、杉林があったのではないか、、、と想像してしまいます。

2)施工技術の高さ、知恵=日本人の誇り

設計の仕事では、建物の高さが変わると
風圧計算が変わります。上空は風がとても強いからです。
超高層マンションの窓も開かないのもそのためです。

ですから、どうやって施工したのか?
茅葺き屋根など、飛ばされないのか?
足場はどう組んだのか?

と不思議に思ってしまうのです。

持ち上げるクレーンなどは存在しませんから
神社を地上で作って、吊り上げたとは考えにくい。

大きく長い階段を作ったのは、もしかして、
足場、資材を運ぶためか?などなど。

テコの原理を使って、大木を引き上げるには
多くの人力が使われたでしょう。

そんなことを考えていくと

日本人の建築への情熱と技術労力は凄い
誇らしくなってくるのです。それが感動というものですね。

バーチャルな映像展示(想像)では、
大きな森の中に
神殿がそびえていました。

大きな森の中にあったのであれば
少しは風を遮ったかもしれませんね。

きっと、研究者はいろいろな仮説があるでしょうから、
私はこの辺にしておきます。

3)記録(図面)に残すことの大切さ

それでも、この古柱は、鎌倉時代に
再建されたものなのです。

古代ではもっと高かった?らしいのです。
96M説あり、どれだけ高いの!?

私は、これはちょっと怪しいな〜と思うのですが
世界中には、古代の建築はどうやって作ったのか分からないものが
沢山ありますから、あり得るのかもしれませんね(UFO説!?)

48Mがさもありなんなのは、
この柱が、宮司を務める千家(せんげ)家に残っていた図面の
3本柱とが一致したから、なのです。
そこで、
建設されていたことが、現実味を帯びたということです。

う〜む。図面が残っていなかったら、
この3本の木は、建築だったかどうか、
分からなかったかもしれないと思うと、
残してくれた方にも感謝ですね。

ここで、自分の生業に置き換えるのですが、
設計事務所は図面を数年残すことが、義務づけられています。

今は、データという方法があります。
ただ、未来、そのデータが呼び出せるかどうか
分からないとも言われ、書面でも残しています。

期間を過ぎても、保管しています。
増改築に必要ですしね。

今の所、保存はPDFデータが一番良い
説に従い、CDにデータも焼いています。

が、溜まる一方ですね〜。

しかし、記録を残しておくことの大切さを知ったので
面倒がらずに、保管する前向きな気持ちになりました。

まぁ、私の設計監理の建築が遠い将来まで残っているかは
不明ですけどね、笑。今は、建主さんのためですね。

最後に博物館のブログを貼り付けておきます。
しばし、悠久の時間を、感じていただければと思います。

長文、マニアックにおつきあいいただき、
ありがとうございました。

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これからは、内部も、外壁もオール杉板張りが可能に!

2020年02月17日 | 模型・実験・見学・講習・イベント


先週末、板倉構法と防火性能、講習会に参加して、
防火構造の認定書を頂きました!

これまで、街中(防火地域)では、
外壁を杉板板張りにする場合

1)モイスや、ダイライトなど、
防火認定を取得しているメーカーのパネルを設置
(家一軒当たり約30〜40万円up!)

2)薬剤注入による不燃木材を使用(高価、環境にどうか?)
のいずれかで対応しなくてはなりませんでした。

それに準じて設計してきました。

加えて、第三の選択がありました。

3)平成19年に、板倉構法を研究している「伝統木造研究会」が取得した
防火構造の認定設計施工方法です。

この認定書は、一般には入手できず、講習会費用を払い
その構造と施工の注意ポイントを理解したもののみ受け取れるというものです。
今回、熊本の講習会でお会いした板倉構法の第一人者であられる、
つくば大学名誉教授の安藤先生より案内をいただき、
この度講習会でしっかりと学び、
この構法を用いることができる建築士として、
お仲間に加えていただいた次第です。

平成26年には、新たに耐力壁倍率3.3と3.4の倍率を
スギの落とし込みパネル方式で取得されています。

これまで、構造耐力が少ないと言われてきた板壁。
建築基準法の告示では、0.6倍でした。(初期値が低いため)

実験と検証に実に10年を有したと、安藤先生に熊本ではお聞きしました。
大学の先生方、そして、伝統的な構造の研究者、
実験材料を提供された材木関係者、
実験パネルを施工された工務店の大工さん方に感謝して、
認定番号を使わせてもらいたいと思います。



講習会では、

侘び寂びの文化として有名な千利休の茶室「待庵」は、
戦国時代に焼け野原になり、森林の木材不足で、
小径木のスギを活用した復興住宅へつながる建築だった!?
という解釈や、

昨年の令和天皇の大嘗祭の中心儀式「大嘗宮の儀」で
茅葺の屋根が使われなかったのは、
日本古来の伝統建築(木と草の建築)を損なう行為であった
(初めて板葺きに)など、

日本文化と木と、建築の関わり方、在り方まで
話が及び、大変勉強になりました。

木造は、毎日が学び直しです。
神社仏閣も、出先での合間に、見て回っているところです。

これからの建築を考えるためにも
古来からの木の建築の良さ、伝統を学びつつ、
最新技術、環境との共生も踏まえて
木の建築のものづくりに邁進して参ります。

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建築と異分野、重力のない世界のお話

2019年04月22日 | 模型・実験・見学・講習・イベント


日頃、地上へ根を下ろした仕事が生業なので、
空や宇宙など
重力と関係のない世界というものに、
無性に憧れがある。

建築は、常に地面との関係性を考慮しなければならない。
風土や気候にはじまり、
地盤、耐震、など
立地条件を紐解く仕事と言ってもいいかもしれない。

だから、宇宙の話は、すべてが新鮮なのであるが
話題のJAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」の動きなどは
エンジニアリングとしての可能性みたいに思うところがあって

頑張ってるなぁ。凄いなぁ。という感嘆はあるものの、
その技術的仕組みというよりはむしろ、
宇宙全体の仕組み、不可思議さというものへの探求に憧れがある。
(そのための技術なのですけれどね)

いわゆる、宇宙の本質とは何か?

ということへの興味である。

これまでは、特に今の生活や仕事の現実と
直結していない(いずれその時がくると思いますが)ため、
密かな興味程度で、
雑誌や図鑑を眺める程度で、学習まではしてこなかった。

それが、知識を得るというチャンスは
突然にやってくるもの。

今年のJIAトークは、小松英一郎氏の
「宇宙の始まり、そして終わり」

JIAトークとは、日本建築家協会の主催する
勉強会みたいなものである。

JIAは、建築家という専業職能集団なのだが、
過去には、映画監督、日本画家、劇作家など、
その道の一流の方々を招いて話を伺うということが、
行われてきた。

しかし、参加するのは、初めて。

子どもが幼いうちは、仕事と家庭の両立を目指すなかで
捨ててきたものが、夜のお出かけとテレビ鑑賞。

仕事の必要性にかられない限りは、
夜開催されるイベント講演会等は、欠席してきたので
実に、一度も参加したことがなかったのである。

会費を納めている割には、欠席で
もったいなかったのかもしれないなぁと、
貧乏根性も湧くほど、豪華メンバーの一覧。

今回は、偶然にも熊本から横浜へ戻る移動日の夜ということもあり
すでに、子どもも添い寝の必要性もなく、
羽田から直行して、参加できたのである。

嬉しすぎました。面白すぎました!

会員の皆さんにとっては、いつもの夜なのかもしれないが
私にとっては初体験の夜。(笑)

好きなことを聴きに行けるというだけで
もう幸せなのであった。

我慢があったからこその、喜びってあるものだなぁ。(余談)

講師の紹介では、ノーベル賞候補の若手という小松氏。

宇宙をみてきました!」(分析できました)
という自信と明るさが、眩しい限り。

20年、天文学の研究一筋に、日本、アメリカ、ドイツと
研究の場所を移しながら、宇宙研究の最先端を歩まれている。

小松氏のトークは、なかなかユニークで
宇宙は、実は味噌汁です」という話には、のけぞってしまった。
スープみたいなものらしい。

そのほかにも、宇宙パワースペクトルのエネルギー波長を解析して
音源にしてみたとか、

ビッグバンならぬ、ビックリップがある
(前者は、宇宙の始まり、後者は終わり)の説明。

宇宙は5%がヘリウムと水素でできているが、
23%は、暗黒物質(ダークマター)
72%は、暗黒エネルギー(ダークエナジー)でできているとか、
暗黒エネルギーは、何者かは不明。

だが確実に存在し、それが大きすぎると
宇宙の破滅になるそうな。。。どこかのSFの話になってくる。

子どもにも聴かせたいなぁ。。
科学館で講演が行われるらしいが、本人を誘ったら、
部活試合前で「練習休むとペアに迷惑かけるから、行けない」の返事。

まぁ、親の興味に付き合わせてもねぇ。
でも、ビックリップだけは来てほしくないねぇ。

ということで、異分野の専門家の話は、
子どもたちの未来も考えるきっかけにもなり、

探求の心を忘れないって気持ちにもさせてもらえて
ありがとう==の気持ちが高ぶったのでした。

小松さんもおっしゃっていました。
好きなことして、お給料もらって感謝の日々だそう。

いえいえ、そんな面倒で、引きこもって
粘って計算すること、尋常ではできませんから、
博士よろしくお願いします!という応援の気持ちです。

詳しくは、書籍「宇宙の始まり、そして終わり 」日経プレミアシリーズ
好評発売中とのことでした。
もし、興味のある方が、おられたら、お読みくださいませ。
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情報や知識のインプットとアウトプット

2019年02月18日 | 模型・実験・見学・講習・イベント


旧暦新年に掲げた、今年の事務所の目標、「学びと実践」
の行動指針を駆け足で、実践中です。

今月は、まさに講習会の月。出来る限りの参加を決めています。
先週、建築士の法改正の講習のことを綴りました。

今日は、

目標の「伝統と本質」「革新と本物」に
関連する講習会を2つ受けてきたので、ご紹介します。

最初に、インプットとアウトプットの話を。

人間の本当の学びは、アウトプットして初めて身につく
ということが、昨今言われています。

本を読むときも、要約しながら、
人に話すつもりでポイントを掴む
というのが、大人の読書術と、昨年プライベートで学びました。

これを、ブログにも活かします。

夜の講習会に参加するということは、子育て世代にとっては
かなりハードです。
日中の仕事量を減らすわけには行かず、

夕食の準備を整えて段取りしてから家を空け、
子どもが寝る前に、急ぎ帰って片付けをし、
明日のお弁当や朝食の準備。

ですから、懇親会はご遠慮してます。

本当は、講師との本音トークや、
仲間と議論したいのですけれど。。。

ここは、もう少し、子どもの手が離れてからですね。
ということで、夜中にブログに綴ってます、笑。

一つ目は、神奈川県建築士会の勉強会
「被災歴史的建造物の調査・復旧方法の対応マニュアル」
について、



文化財ドクター制度の第一人者 後藤治先生と、
静岡県ヘリテージセンターの塩見 寛氏から

具体的事例と、取り組みを紹介いただきました。

二つ目は、日本建築家協会、再生部会の
「ロングライフビル、営みをサポートする手立てとしてのLEEDとそのしくみ」

GBJ(一般社団法人グリーンビルディングジャパン)理事の大村紋子氏から
米国のビルの評価制度「LEED」の具体的な日本やアメリカでの事例紹介。



私の中では、キーワードは、前者が「伝統」で、後者が「革新」
そして、「本物、本質」に迫る。ということで受講しました。

前者の課題は、マニュアルは、まだ地震についてしかなく
昨今の土砂災害や津波に関しては、まだまとまっていないとのこと。

後者の課題は、耐震に関する評価軸がないので、
日本での普及が進まない一つの要因かもしれないとのこと。
(日本にはCASBEEという制度があり、そちらは耐震も基軸の一つ)

GBJの仕組みの「Arc」や「WELL」などは
環境負荷、省エネ、利用者の健康状態など、
をきちんと測定し、常に改善を測るというものでした。

GBJのHPはこちら
https://www.gbj.or.jp/

まさに建物の環境を人と、地球で見ています。
このことは、これから非常に重要なことです。

さすが、米国はデータ化する術に長けていると感心しつつも、

一方で、データの見える化で、
建築の価値はもはや意匠や構造の価値ではなく、
データが優秀かどうか、データで常に管理されている時代に
突入したことには、ショックも受けました。

「そのデータが投資の対象になる。」のだそうです。

経済と直結する建築の不動産価値を目の当たりにし、
設計者の役目が、
時代とともに変わって生きていることを感じました。

前者の伝統的な木造や組積造の歴史的建物を守っていこうという活動と
後者の時代最先端技術でコンクリートや鉄骨、ガラスによる高層ビルを
企画運営管理する仕組みと、私には、振れ幅が大きすぎました、笑。

思い返せば、その方がかえって思考の柔軟性が持てるし、
選択肢の幅も増えるかなと、講習を受けてみて思います。

まずは、知ることからですね。

例えば、後者のような評価の仕組みを、
文化的価値のみで評価している
木造の歴史的建物には活かせないのだろうか。。。
違う視点での価値評価の仕組みを加えても良いかもしれない、、、などなど。

最後に、各講習会の私の掴んだ要点
(各自で違うとは思います)をまとめます。

一つ目の、災害時に、歴史的建物を守るには、

1、 常日頃の建築士のネットワークが大事。
有事に他県からもかけつける体制の整備(九州地区では有効に働いた)

2、 建築士のスキルアップと、事例の経験が必要(木造を知らない建築士が来てもアドバイスできない)

3、 早急な解体を免れるよう
危険度応急判定で「危険」の赤紙が貼られた横に
「歴史的価値がある建物」の張り紙もすべき(静岡の事例)

熊本でも、3ができれば良かった。しかし、実務でも大変な時にボランティアでの活動の限界もあるなぁと、体験したからこそわかる実感もありました。

二つ目の、評価の仕組みを生かして、価値ある建物を保存していくには、

1、 制度そのもの、時代の流れを、
建物のオーナーも、設計者もまずは情報共有する。

2、 日本にある制度と、海外の制度と、
良いところを取り入れ、補い合うことができれば、
もっと活用されるのではないか。第三の道があるかもしれない。

3、 使う人の意識(米国では評価が高いと家賃が高くなり、人も集まるとのこと)もアップする活動が、良い建築を残し、活用していく
後押しになるのではないか?

そんなことを考えた先週です。

自身の設計活動や専門家としてのボランティア活動にも、
随時取り入れて参ります。

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設計事務所の新しい業務報酬基準

2019年02月13日 | 模型・実験・見学・講習・イベント


実に、10年ぶりに、設計事務所の業務報酬基準の法改正が行われました。
昨日は、その説明&講習会、第1回目でした。

建築設計事務所の業務内容が多様化し、
さらに業務時間も増え、基準通りでは
あまりにも報酬が少ないという昨今の事情からです。

有識者に加え、各専門家の組織団体での検討委員会が設けられた結果
今年の1月21日に「平成31年国土交通省告示98号」が誕生しました。

設計事務所の実質の業務内容のアンケートが取られ(私も回答)
そのデータをもとに、必要な業務時間や
様々なケースでのそれにかける係数や複雑な建築への対応、
これまでよりも、細分化した印象です。

私たちは設計監理の業務を請け負う時に
業務内容と見積もりを提示する義務があります。

建築士にしかできない、
設計事務所登録がなされていなければできない
独占業務があり、

そのために不当に請負金額が高かったり
不当に安く引き受けて、業界の質を下げたりしないように
私たちには努力義務が課せられているのです。

講師は、国土交通省の建築指導課企画専門官
の方でした。

国から、200ページを超えるガイドラインの本を
設計事務所には無料で提供され、
以前の法からの改正部分の説明が詳しくなされました。

会場から、簡単なようで複雑な計算に関して
質問も多く出されました。

なぜなら、基準は設けられたものの、
マニュアル通りに当てはまる建築の仕事ばかりではないのが実情だからです。

ある程度は、私たちの裁量。

しかしながら、基準があいまいなために
過去に0円入札などという社会問題も起きたし、
疲弊する設計事務所への救済策でもあるのです。

逆に、建築士の使命(命を守る建物とする)
仕事であるという社会認識をしっかり、持てるようにする
という背景もあります。

兎にも角にも、質の良い仕事をするには
やはり、キチンとした報酬があってこそ!

私たちは、図面やパースといった成果物以外にも
ヒアリングや、コンサル的業務、書類作成、敷地や環境の調査など

建築士という職能に付随する業務の占める割合も
割かれる時間も非常に大きいです。

そんな中で、どうやって質の良い仕事をするのか、
設計料の中から工面するのか、非常に悩ましいもの。

国の基準に則りながら、
経営者として、運営者として、これからも手探りつつ

依頼主のため、事務所運営のため、そして社会のためになる
仕事量と質、そして報酬のことを
これからも真面目に考えて、取り組んでいきたいと、
会場で氣を引き締めたのでした。

余談:
全国的な建築士の高齢化が問題になっているという。
年々、建築士の受験人数が減っているのだそう。

10年で2/3まで落ち込んだという。

そこで、一度厳しくなった受験資格も、
この2年間で見直されるらしい。



少子高齢化は、どの業界でも抱える課題ではあるが、、、
最後の担当者の情報提供が
悲痛な叫びに聞こえたのは、私だけだろうか。。。

データの集計や解析に関して、国会でも盛んに問われている
行政の不祥事を思い出しつつ、

このデータは大丈夫よね?
と心でツッコミを入れながら、(笑)

「建築士人材の安定的な確保を目指したい」

という国の方針には、もちろん賛成です。

報酬の割には責任は重く、業務時間も多く
勉強することも限りなく、
それでも、やれているのは何故だろう?

と、時々自分を見つめることもしばしばです。

「建物を建てられるのは、皆さんだけですから!」

と、担当官も念を押すように話されていました。

やはり、そこの使命感なのでしょうね。

今回の法改正では、検討からマニュアル作成、
そして、説明会の会場設営から、運営、
全国の建築士会はおおわらわでしょう。

事務局を始め、関係者の皆さんには、感謝して。
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