午後からは、晴れて調査日和。
梅の花が美しく咲く、建物解体跡。
難を逃れた近隣の蔵が見えるほど空が広くて。
道路際でひときわ危険で、地震直後に自力解体なさったとのこと。
思い出深いお住まいと、ご先祖からの蔵を
解体されたご家族の気持ちを思うと、胸が詰まります。
それでも、前を向いて明るく振る舞う皆さんに
私は頭が下がる思いです。
敷地内には、まだ残る蔵と、
ご主人が子どもの時からあるという建物は、
被災しながらも、補強しつつお使いになっています。
本日は、残った蔵や建物の復旧を
どう行っていくか、お悩み中のご相談でした。
すぐに、方針は決められませんが、思い出や状況を伺いながら
私もご家族の明るい未来づくりに尽力できればと思った次第です。
建築的な視点で見ますと、
こちらは、昭和初期頃の建物の小屋組み。
「和小屋」でした。
よそから譲り受けたという土壁の仕上げの上に
モルタルで壁を覆った元米蔵は「洋小屋」。
多分、時代がこちらがより若いと思われます。
構造の作り方の時代変遷が見受けられます。
そして、おそらく土壁の上にモルタルを塗った水切りがうまくいかず、
一旦壁に入ってしまうと、なかなか乾きませんから、
土台の腐食が見られました。
それでも、倒壊を免れた理由の一つは、こちらにあると思われます。
生の木を使った土台です。
辺材部分(いわゆる白太)はシロアリ被害はあったものの
心材(赤みの部分、シロアリが食べられない部分)がしっかり残っています。
無垢の木の強さは、ここにあり!です。
乾燥すればするほど強度も増す無垢の木材ですが
体の外は食われても、芯までは食わせないぞ!
と言っているようで頼もしい。
長期的にみれば、ジャッキアアップして取り替えたい土台ですが
他に復旧を急ぐ場所もあり、ここはもう暫くこのままとなりそうです。
建物、地域性、ご家族の年齢構成やご職業、、、
それらの諸条件をもろもろと整理しながら、
地域での建物、場、のあり方も見据えて
将来の展望なども盛り込んだ復旧に取り組めたら幸いです。