せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

女は愛する人のために建築を創り、男は自分のために建築を創る

2018年01月08日 | デザイン


女は愛する人のために建築を創り、
男は自分を愛するために建築を創る

のかもしれない。

『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』

そんな風に思わせる映画だった。

本日、成人式を迎えられた皆様はおめでとうございます。

今日までお正月休みの方もおられるでしょうか。
ちょっと、コーヒーブレイクのネタを本日は綴ります。

昨年、どうしてもこの映画だけは、観たかったのです。

仕事と家族のケア、自分の通院などで、
ただでさえ、少ない自分時間がほとんどなくなり、
趣味も、運動も、朝散歩さえ諦めていた昨年暮れ。

這ってでも行く、、、と誓い、
実際、腰痛を押しての移動でしたが
それを、実現させました。

映画で何が観たかったのかと言えば、
それは、建築の空間です。

孤高の女性建築家アイリーン・グレイ(故人)が設計した
実際の住宅の空間(フランスにある)が、撮影に使われたとのこと。

一般公開は、これまでされてこられず、
謎にも包まれていたその建築。

ドキュメンタリーも先行上映でしたが、これは観に行けず。
物語性の強い映画の方の鑑賞でしたが、
その中で、感じたのが上記のことです。

1)空間を感じる

まずは、建築の話から

映画の中で、湖畔からの風で揺れるカーテンが、
開放的なワンルーム空間の快適性を醸し出し、

白い壁の外観、内観に
光の入り方、使いやすい動線、輝くようなモダンな家具。。。

全てが計算された心地良さ。

写真集や、本の2次元の世界ではなく、
この目で、立体で感じることができるのは、
ファンにとっては、まさにヨダレものの至福のひと時でした。

うっとりと見とれ、そして、その場所に、自分も身を置く
疑似体験をさせてらえた喜び。

彼女の住まい、家具、インテリアの作品を映像の世界とはいえ、
見ることができたことは、本当にありがたい思いでした。

2)時代に翻弄される女性デザイナー

次に、この映画で知りたかったのが、
この時代に活躍した女性建築家のことです。

アイリーンと私との出会いは、1冊の洋書。

黒漆のパーティションが衝撃的な表紙。
1993年のプリントとあります。
20代で東京に出てきた際に、デザイン専門の本屋で手に取り、
その作品の写真に衝撃を受けました。
(映画の中でコルビジェもショックを受けており、嫉妬もする)

建築の教科書にも出てこない彼女の存在にも驚きました。

洋書の中の作品は、
モダンで、洋風の中にも、和で言えば
禅の要素も取り込んだシンプルさ。
独特の世界観に、圧倒されました。

英語、ドイツ語、フランス語(多分)で書かれており、日本語はなし。

語学が苦手な私は、
作品は理解しても、デザイナーの彼女の生き方は???のままでした。

その頃に、洋書以外で得た情報では、
インテリアデザインで成功してはいたものの、
女性建築家としては認めてもらえていなかったこと。

建築家コルビジェにが彼女を批判したため
建築家生命を絶たれた。あるいは、活躍する場を奪われた。
という程度。

女性蔑視の建築家は嫌いだ===、と憤慨したものです。

ところが、この映画で真実が明かされるのですが、、、、

彼女が愛する人と住むために設計した家を
長いこと、コルビジェが設計したことになっていた!
というのです。(真実はいつもねじ曲げられる)

しかも、まるで自分の家のように、
インテリアも改造し、作画しと、我が物顔。
空間はもうめちゃくちゃな扱い。
それだけ、この家を気に入っていた証のようなのですが。。

彼の建築論をアイリーンが影響を受け、
実際に形に生かした経緯もあり、
お互いが良い刺激になっていたようです。

根底には両者のねじれた愛憎もあるようです。

ただし、

男(コルビジェ)が、家は、住むための機械 論者に対し、
女(アイリーン)は、家は、暮らしを包む器

という考え方は、真逆ですけどね。
私は後者だな。。

コルビジェとアイリーンの建築家同士の確執が、
映画のテーマとして描かれており、身につまされます。
(私が設計した空間にされたら、許せないな〜と思う内容で、苦しすぎます)

それでも、執着しないアイリーンが凄い。
葛藤を抱えたまま、次に自分のためだけの家を設計します。

3)ものづくりへの姿勢

アイリーンは、高級家具のデザインで成功し、
次に建築にも興味を持ち、建築を教えてくれた恋人と住むための家を
愛を持って設計します。

髭を剃りやすくするための2面鏡や、
ベッドで仕事(執筆)をすることを好む恋人のために
サイドテーブルを設計し、

書斎が欲しいという彼のための
使い勝手の良いコンパクトな家具を配置し、、
と、それは、愛情から発生しているデザインなのでした。

(その彼も、建築雑誌への発表時には、
アイリーンの名前ではなく、自分の名前と、
アドバイザーとしてのコルビジェの名前で発表してしまうという、
愛への裏切り行為もあり、辛すぎる〜)

一方、自分の建築理論を掲げるコルビジェは、というと

もともとコルビジェは、自分の理論が正しいと証明するために、
建築を創ろうとしていた印象があります。

加えて、
彼女の建築に執着し、空間の心地よさに我が物顔で、
その空間をまるで貪るような始末。

映画での描きかたの影響もあります。

コルビジェ批判ではないのですが、
そこで、私が、感じたのは、最初にあげたことになるのです。

4)アイリーンから学ぶこと

デザインすること、自分を貫くこと、
それは時として苦しく、批判される恐れが多いにあるということ。

時には、愛する人からの裏切りもあるということ。

そんな状態に追い込まれても、ひたすら自分の死の直前まで
目を患っても、デザインすることをやめなかったアイリーン・グレイ。

生きている間に、どのような喜びがあり、何に報われていたのか
そんなことは、映画では描かれていません。

それでも、自分を諦めないということでしょうか。

産みの苦しみを、創造的な喜びに変えるには、、、
やっぱり愛だな。と、ベタですが、思います。

受容の気持ちといっても良いかもしれません。
それは、男女問わず、ものづくりの基本のように思います。

映画の上映とともに、日本語訳の本も出版されました。
遅ればせながら、改めて日本語の本を購入しました。



私も、諦めない生き方ができるように
少しでも、先輩に学んで生きたい。

成人の日に、私も貫ける建築家を目指しての所為表明となりました。
マニアックな話を、お読みいただき、感謝です。

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最高の出会い!?

2013年02月18日 | デザイン

先のブログの続きです。

実は、引っ越す直前に、ガソリン車の新車購入なら、昨10月に発売されたばかりのフォルクスワーゲンの「up!」と密かに決めていました。

2012年のカーオブザイヤーに輝いたニュースで知った時は、デザインもコンセプトも価格設定も私にぴったり!

と勝手に惚れました(笑)

また、相棒が以前乗っていた車もVWだったので、車にうるさい家族も説得出来るだろうと考えてのこと。

作戦はうまく行きました。うふふ。週末試乗につき合ってもらいました。

性能、機能、安全性は事前の専門誌とカタログでチェック。相棒も合格点。

実際の乗り心地は?運転のしやすさは?

それが、それが、

一目惚れは正解でしたねぇ。

私にとっては、運転の感じが最高!!

だって、マニュアル車が好きなんだもん。(今は、ミッション車というようですが)

横浜では仕事では車を使っていません。(子どもの病院と買い物には乗ってます)

表向き理由)エコではない。移動時間の正確さがない。眠れない(笑)
本当の理由)乗りたい車がない。オートマでないと街中走りつらい。飛ばせない(笑)

up!のドライビングは、私の運転魂に火をつけてくれました(←大げさです)

コンパクトカーなのに時速200kmも出ます。(←そこまでは出しませんが)

試乗しながら、アクセルを踏む時のグ~ンと力がup!して行く感じ(国産のオートマ車にはない感覚)シフトダウンしてエンジンブレーキをかける時の感じ。ギアを使いこなせば、マニュアル運転出来るんですよ~。

3気筒なのにエンジン音は静か。後ろで子どもが寝てしまう程振動もないし、アクセル踏みながら足裏に伝わるギアチェンジの感じを「いい!、いい!」と興奮して運転する私の後ろで、相棒は変化を「全然感じなかった」そうです。

つまり、運転者は運転自体を楽しめて、同乗者は心地よさを味わって。最高じゃないですか!

気に入るものが滅多にないと言う理由で、物欲はさほどない私ですが、久しぶりに物に感動しました。

↓仕事用なので「白」に乗りたい私と「赤がいい」という家族。人気は赤だそうです。130218up

注:オートマ車に慣れている方はこの運転がとても合わないそうです。坂道発信では2秒で車体下がります。up!は賛否両論ありますので、このブログでのべた褒めは、あくまで変わり者のドラーバーの一意見として下さいませ。

「up!」は私のHPの「ニュースページのup!」ともネーミングからしてリンクしており、とても合う気がしております!

見た瞬間も思わず「かわいい~」と発してしまいました。(女子高生か!と自分で自分に突っ込みを入れた程です)

難点は納車に最低3ヶ月~かかることです。

さてさて、私の元にやって来てくれるでしょうか・・・。

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さようならINFOBAR

2012年05月20日 | デザイン

今、とても寂しい。

長年愛した携帯電話「INFOBAR」とお別れだからだ。

9年目で、携帯会社の都合で使えなくなる。

出来れば使い続けたい。

最初で手にして、最後の携帯電話となった。

携帯が普及し始めた頃、手にしたいものがなく、Appleが携帯電話を開発中の情報を得ていたので、それを待つとかたくなに拒んでいた。

しかし、当分開発は先になると言う情報と、このINFOBARの発売で私の携帯人生が始った。

(Andoroid系でINFOBARのスマートフォンも出ています。
使いやすそうです。)

同じスマホなら、当初の予定通り、やはりApple。
シンプルさを重視してiPhoneに。(←遅れたデビューです)

INFOBARの良かったところを、ここに記して弔いとしたいと思います。

1)シンプルデザイン!
  シーンを選ばない、時代を選ばない
2)タイルキーの押しやすさ、見やすさ
3)チタン使いのフラットボディ

コンパクトタイプ(折りたたみ式)が大の苦手な私としては、もうこれ以上の相棒はいない訳です。

また、金属フェチとしては、最高のチタン!強さの中に軽さのある大好きな触感。ハード使いにも耐え続けたタフさ!

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本当に惜しいことですが、これまでありがとう。私を支えてくれて。
デザイナーに敬意を払って。

余談
チタンようなタフな男性が理想(笑)恋人を失う心境。
iPhoneは白に。若くて初々しい年下の恋人のイメージでしょうか。

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最新デザインに触れて

2010年11月05日 | デザイン

これは何でしょうか?ただの紙。
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実際は、こうして四角形に近いかたちで運ぶらしい。
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組み立ててみると、イスの出来上がり。
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TOKYOデザイナーズウィークで見つけた、なかなかGoodなもの。

外国のデザイナーによるのですが、折り紙がヒントになっており、学生の時のアイデァが商品化されたとか。実際に子どもでも折れました。

これは、ミニモデル。実際の製品は6色展開、価格15,000円で販売予定出そう。

軽いし、かさばらないので、会議場によいなぁ。濡れてもOKなら外部に使えるし、屋外イベントにはモッテコイ。それにしては価格も抑えめで、これは便利!とつい仕事での採用を考えてしまう。

TOKYOデザイナーズウィークでは、最新のトレンドの一部や、学生さんのアイデァ、または、建築に関連するもの、これからの様々なデザインが世界から日本から集結することに、なっている。

まぁ、子どもでも楽しめるかなぁ、と招待券を頂いたことを良いことに、祝日に出かけた。

久しぶりに足を運んだら、ほぼ学生の祭典と化した印象の強いTOKYOデザイナーズウィークであった。スポンサーも学生向け商売の企業だったりして、妙に納得。

先のものは、その中でも目に留まったもの。

あとは、廃材利用のマテリアルに興味が湧く。しかしながら、質問すると燃えやすいそうで建材には出来ないとか。

情報収集とデザイン情熱には触れられたが、建築部分は残念ながら少なめ。

やっぱり、ベネチァビエンナーレのようにはいかないなぁ。ああ、外(外国)に出たいなぁ。そのうち。そのうちと。

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建築雑誌

2009年01月10日 | デザイン

ちょっと残念なニュース。建築雑誌「DETAIL JAPAN」が休刊するという。

昨年暮れに定期購読の請求書が来て2年分予約したばかりというのに、この1月号で休刊の案内と急な展開である。

詳しく問い合わせると、本社の方針だそう。ドイツ、ロンドンでの判断だとか。

ドイツ語、英語、スペイン語、中国語が出版されている中、日本語版の廃止である。世界的に見て日本の建築界の将来を危ぶまれたようでがっかりである。

「DETAIL」はドイツの老舗雑誌で写真ばかりの建築雑誌と違い、図面が掲載されており、とても興味深い雑誌。その名のとおり、ディテール(=詳細の納まり、ビス一本まで描かれいる)が売り。でもちょっとマニアックかも。

英語版は以前から日本でも手に入ったが、日本語版はここ数年刊行されたばかりで、語学が不得意な身としてはありがたい存在だった。

一方で、このような外国の詳細な情報が今の日本で求められているか、どれだけの人の実務に役だっているか疑問も持ってはいた。店頭ではもっと実用的かつ欲しい情報が手に入る。

それでも定期購読を決めた理由は、「視野を広く持っていたい」という理由である。写真や図面から、ヨーロッパの空気、時代感、建築づくりの視点などを感じるのが好きなのだ。

今後、定期購読を英語版へ移行するかどうか出版社で検討中だと言う。そこに希望を見いだすか、潔く見送るかもう少し情報を得て見極めようと思う。


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