内村特殊法務事務所、ただいま営業中

免許取消の回避&軽減、つまり免許停止にしたり処分無しにすることに関しては日本一を標榜しています。

誰がための制度?

2015年01月15日 | 拡張型心筋症の話
6歳未満の脳死判定 両親「少しでも光がともせたら」とコメント(産経新聞) - goo ニュース

NHKニュースにはもう少し詳しい記事があります。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150114/k10014677781000.html


最近ちょっとしたニュースになっていますが、
実はこの女の子『優希ちゃん』のお父さんは僕の友人の格闘家
日本最強柔術家の一角、杉江アマゾン大輔選手です。

彼はSNSでこの話を数か月前から綴っていました。
仲間の格闘家たちも募金やサポートに名乗りを上げ
ジムや道場に募金箱を設置しようとか、救う会を立ち上げようとか
いろんな動きが良い方向に向かおうとした矢先の出来事でした。

ニュースだけだと上辺の話しか報道されませんし
すぐに風化してしまいます。

特に僕が憤ったのがこの記事
移植ネット、両親のコメント一部削除
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150114-00000128-mai-sctch

一番大事なことが抜けてますよね?
ざっくり言えば、子供用の人工補助心臓というのがちゃんとあるのに
大人用の、それも簡易的なものしか使えなかったって話ですよ、

胡散臭い行政書士事務所のブログが
社会にどの程度の影響力を持っているかなんて分かりませんが
多少なりとも直接のやり取りをして関わって、いろんな話を聞く中で
生の声を伝えて、何かを感じて欲しいと思ってブログにしました。

当初は杉江アマゾン大輔(以下アマゾン)氏には
「顔出ししない範囲で何枚か写真を使わせてほしい」と申し出ました。

彼の答えは「写真は伝えるものだから顔出しで構いません」というものでした。

この場をお借りして感謝の言葉をお伝えしたいと思います。

以下、
人によってはショッキングな写真もあるかもしれませんが、
事実をお伝えしたいと思います。

事の起こりは去年の秋ごろ
体調不良から受診した病院で『拡張型心筋症』という病名を告げられました。
それまでは元気に遊んでいたのに、
幼稚園にも入園してこれからだったのに、

入院してほどなく
アマゾンはそれまで触ったことも無かったカメラを手に取りました。
それは大切な時間を綴じ込めようとしたのか、正気を保つために何かが必要だったのか
僕にはわかりません。

でもそこに写っている写真は
一枚残らず見る人の心を揺さぶるものでした。

入院してしばらくは普通に歩き回ったりもできたのですが

やがて移植以外に助かる選択肢が無いことが判明します。
しかし例によって日本の移植医療はなんかおかしい制度ばかり、
結局渡米して移植することになるのですが
それに係る莫大な費用など、問題は山積みでした。

ただ、
そこは格闘技界に多大な功績を残したアマゾンです。
すぐに周りの格闘家たちが立ち上がり『救う会』の設立や
ジムや道場での募金活動など、様々な形のサポートを名乗り出ました。

ですが、
救う会の準備も整いつつあった矢先、
残念ながら優希ちゃんは脳死判定されてしまいました。

およそ報道されるとしたらこんな感じだと思います。
(でも本当はもう少し書きたいことがあります。)

この病気では人工補助心臓というものをつなぐのですが
多少報道されていますがこの優希ちゃんにつながれたのは『大人用』の人工補助心臓です。

大人用というのがあるのですから当然【子供用】も存在します。
しかし、いろんなしがらみがあってその機械は使えないのです。
しがらみというのは要するに法制度だったり、
患者不在の政治的な部分です。

厳密にいえば本来の用途ではないのですから不具合も起こります。
しかもその不具合はそれほど珍しいものでもないそうです・・・

何より悔しいのはこの人工補助心臓はもうすぐ認可されるような段階だったとか・・・

スポーツ選手を日本代表で出場させるための帰化申請は普通の外国人よりも
あからさまに早く、スムーズに通す癖に
命に係わることでなにをチンタラやってるのか?

こんな時こそ政治的な判断が必要になってくるんじゃないですか?

さらに募金に関しても
誰でも彼でも勝手に始めていいというものではないということも今回初めて知りました。

結果、血栓ができてしまって開胸手術をしたり
何度も何度も管をつなぎ直したり、
幼稚園に上がったばかりの小さな体にはどれだけ苦しかったかは想像に難くありません。

人工透析が苦しいというのはよく聞きますが
同じように全身の血液を外部に循環させる補助心臓が楽なはずはありません。

それでも優希ちゃんは
お見舞いに来るアマゾンに「お父さんは柔道辞めちゃったの?」「ゆうちゃんが心配で柔道やめちゃったの?」とたずねていたそうだ、
自分の方がずっと苦しいだろうに大好きなパパの事を心配するような、そんな優しくて強い子だったそうです。
※柔道ではなくブラジリアン柔術の事ですが柔道と表現しています。

大量のチューブにつながれ、抱っこをせがまれても
触れられるのに抱しめられない、
日本で、世界で、並み居る強敵を撫で斬りにしてきたアマゾンの剛腕なのに、軽く触れる事しかできません。

こんなに近いのに
果てしなく遠いことを実感するのはどんなにか辛かったろうか?

アレルギー反応や炎症が出たり
抗生剤の影響で苦しい思いをしたり、
それでも遅ればせながらのクリスマスプレゼントを渡して
「元気になったら一緒に遊ぼう」と約束したり

それなのに
「よくあること」の血栓が脳の血管に回ることで脳梗塞を起こし
「障害が残るかもしれない」⇒「脳幹を圧迫すれば命も危ない」⇒「脳はほとんど機能していない」
この間わずか数日です。

小さな希望が芽吹く度に吹き飛ばされ、
何度も絶望に叩き落とされます。

医療制度に対する怒りもあったと思います。
でも優希ちゃんの前ではそんなそぶりも見せず、
「誰のせいでもない」と今できることを精いっぱいやってくれるドクターを信頼して
それでも【出来るはずの事ができない辛さ】【今そこにある小児用の人工補助心臓を使えない辛さ】は身を切られる思いだったと思います。

脳死という判定が下った時、まだ体温を感じられる最中に
他にも同じように移植を待っている子供たちのためと臓器提供の意思を伝えたそうです。

理由は「困っている人がいるなら助ける、それだけ」

本当に強いなと思います。

命のリレーという言葉があります。
綺麗な言葉だと思います。

誤解を恐れずに言えば『飾った言葉』だと思います。

リレーなら
バトンをつないだメンバーは最後に一緒に笑えます。

でも命のリレーは文字通り一人だけをつなぐことに他なりません。
そのバトンは、生きたかったけど生きられなかった
助けたかったけど助けられなかった、そんな気持ちの結晶なんだと、

単なる美談で収めるのではなく、助かるはずの命を助けられるように
制度っていうのは誰のためにあるのかって、

もっと考える機会になってほしいなと思いました。



一生懸命に頑張った優希ちゃんの御冥福をお祈りし
写真の使用を許可してくださった杉江アマゾン大輔氏の心意気に感謝します。









本当はもっと辛い写真もあります、
開胸手術の痕だったり
体から太いチューブが2本出ているところだったり・・・
でもそれは載せません。
やっぱり女の子ですから、
人前で肌を出すのは出来るだけ控えよう。と思ったのです。

人口に対する割合は低いかもしれない、
治療方法を確立しても儲けにはならないかもしれない、
でも子供を思う親の気持ちは誰でも同じだと思うんですよ。

政治かもしれない、
大人の事情かもしれない、
伝統とかそんな訳の分からないものかもしれない、
細かいことはどうでもいい、助かるはずの命ならまず助けて、方法が正しいかはそれから論じれば良いはずです。

現在進行形で苦しんでいる子供たちには『今』以外の時間なんて必要ではないんですから。


内村特殊法務事務所
http://www.seiki-office.jp/


こっちが停止していた間の公式ブログ
http://www.seiki-office.jp/blog/uchimura/