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トンデモ判例

2009年08月02日 | 交通違反
裁判官のかなりの割合は世間知らずとまでは言わないが、
誰がどう考えてもおかしい様な判決をよく出す。

おそらく、法条の文字だけしか見ず
自分の頭で考えることのない人が多いのだろう

もちろん少ないながらも画期的な判決が出ることもある

まぁ、おかしな判決の方が結果的に目立つということもあるだろう
ただ原告にとって、きちんと考えられた判決が出るのか
それとも流れ作業で有罪の判子が押されるのか
すくなくとも、その裁判官が過去に出した判例などを見ることができて
合議制(裁判官が複数)の裁判なら、少なくとも一人は
原告側が指名できるようにしてほしいものだ
もしくは、裁判官が3人いるなら、
原告と被告が裁判長以外の一人づつを選べるとか、

今回紹介するのは交通違反のトンデモ判決である。

昭和47年2月1日:福岡高裁での判決(要約)
≪同乗していた妻が腹痛を訴え、顔面蒼白となり嘔吐したので
約2キロメートル先の病院まで、最高時速40キロメートルのところを
時速98キロメートルで運転した場合、
いまだもってやむを得ざるに出た行為とは認めがたく、
緊急避難とは成しがたい≫

ざっくり訳せば
奥さんが急にとんでもないほど体調が悪くなろうが
もしかしたら死ぬかもしれないように見えようが
制限速度をオーバーしたならそれは速度違反という犯罪が成立するんだよ
と言っているのである。

さてどう思うだろうか?
これはスピード違反で捕まった人が
その当時の状況(隣の奥さんの急な体調悪化)を理由として
緊急避難に該当するから
(つまり「大変な状況だったからほかに打つ手はなかった」)
犯罪として成立しない
(要するに「俺は無罪だ」)と主張した事件である

ポイントになるのは
『緊急避難』だが
これは『正当防衛』と同じく犯罪にならない、
今回の例でいえばスピード違反としては扱わない、ということだ、
緊急避難成立の条件としては、裁判所的には
【他の有効な手段が存在しない、その方法を選ばざるを得ない】
という状況であることが必要なんだそうだ。

さてさて件の状況はといえば
まずは
【運転していて、助手席の奥さんが突然腹痛を訴え顔面蒼白そして嘔吐・・・】

とても普通の腹痛とは思えない
尋常な状態でないことは素人でも分かるだろうし、
判決文にもこういう文言があるということは
体調悪化については事実としては認定されているのだろう。

そして2キロ先の病院ということは制限速度で走れば約3分である
※信号は考慮していない
時速97キロで走れば1分15秒だ
高裁判決が昭和47年なら事件そのものはずっと前だろう
とても携帯電話など普及していない、ということは
たった3分で到着できる病院にいくのに
公衆電話を探して救急車を呼ぶのは非現実的だ

それではわずか3分で到着できる距離なんだからと
大切な人が隣で尋常でない状態に陥っているとしても
制限速度のままで走行する・・・

そんな男は外道だYO

この裁判官は
奥さんがそんな状況になっても
「あと数分で病院に着くけどまずは公衆電話探して救急車呼ぶね、
・・・見つからないからこのままゆっくり走って病院に向かうよ、
え?急いでくれって?だめだよぅルールは守らなきゃ、
命よりも夫婦の関係よりもルールの方が大事なんだから♪
死にそう?仕方ないんじゃない?
って答えるのだろうか?

ただ文字だけで裁くなら機械でいい
裁判官より優秀なコンピューターくらい作れるだろう
でも無味乾燥な法文に
血の通った、呼吸する解釈を肉付けするのが裁判の役割なんじゃないのか?
人が裁く意味を、僕はそう考える




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