つむじ風

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「老い」の作法

2016年09月09日 21時59分05秒 | Review

―100歳まで笑って生きる67のヒント―
渋谷昌三/成美文庫

 2011年6月20日初版。「~の作法」、「~の流儀」などというタイトルは今時の流行りか、それはともかく、本書は心理学を通して「老後の不安から開放される具体的な行動、方法」を解説する。いわゆる「解説本」なのだが、通常の物事に対する解説本とはちょっと異なる。なにせ「老い」に関することなのだから、一筋縄ではいかない。誰しも歩む道とはいえ、思わず暗くなってしまうのは止む無しか。そこを何とかしようというのが本書と思ってもよいかもしれない。

 結論として、「好き勝手に生きて楽しむ」、これが老いの作法であり、「今を受け入れて楽しく生きること」これが老いの作法の真髄なのだという。「好き勝手に生きる」というのは、いささか乱暴な言い方だが、他に適切な言い方が見当たらない。

要約すると、
 老いを楽しむ原動力は行動する(一歩踏み出す)ことである。一歩踏み出し、行動することですべてが始まり、孤独が消えてゆく。行動が老いの幸せを作る。思いついたらやってみる。無理をせず思うがままに楽しく生きる。好きなことに無心になり、日々の変化に敏感な感受性を持つことである。そうやって自分に出来ることを積み重ねてゆくことが、老いの「作法」なのだと。

 人は、長所より短所がめだち、目に付きやすい。そして出来ることより出来ない原因を探したがるものなのだという。その上で、遠藤順子さんの言葉は本当によく判るような気がする。
「私は人のために手を差し出さないで、寂しいと言っていないか」

 普段読んでいる小説やミステリーのように面白い訳ではないのだが、各方面の先人達がすでに残してくれた名言を「老い」というテーマに沿ってまとめてくれたのが本書である。勿論、心理学的分析も説得力があるが、もっと身近に迫った生活習慣の問題でもあるように思う。いくつになっても、気持ちの切替というのは大事なことなんだね。




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