youtubeで懐かしいTVドラマ「コンバット」を見掛けた。TVで見たのは高校生の頃だっただろうか、60年以上昔のことである。今更ではあるが、
「コンバット」は原文では「Combat!」と感嘆符が付く。そして、
主演はヘンリー少尉 「Rick Jason」
サンダース軍曹 「Vic Morrow」である。この二人は、
「Starring Rick Jason And Vic Morrow」であったり「Starring Vic Morrow And Rick Jason」と入れ替わったりする。さすがに152話もやれば、斬新さや新鮮さはやはり薄れてくる。これを防止するために「Guest Satr」によってストーリーに新風を吹き込むという仕組みだ。
随分長く放送していたように思うが、全部で152話あるらしい。
1962年(S37)から1967年(S42)まで、US ABC TVで放送されたもので、日本では(私が見た)TBSや後にはNHK BSでも放送されたらしい。当初はモノクロ画像であったが、128話から「Combat! in color」、即ちカラー化される。現代のような高精細画像ではないけれど、やはりモノクロよりは情報量が多く、リアリティも増している。モノクロも悪くはないけれど。
第二次大戦が終わったのが1945年、その3年後(1948年)朝鮮戦争が始まった。そして1953年の休戦協定以来今日に至る。「コンバット」は僅かその11年後(1964年)から作られたドラマである。米国にとって第二次大戦の疲弊は、未だ完全に癒えていなかったに違いない。
戦争モノではあるけれど、背景が「戦争」であって、話の中身は「人間ドラマ」だ。それが152話という長寿のドラマになったのだと思われる。よく見ると同じ場面が繰り返し使われている。製作費用の節約だろうか、それ程気になる訳ではないが、所謂「使い回し」である。
第1話のノルマンディー上陸以来、フランスでの作戦が主になるが、時系列、或いは史実との関係性はドラマの性格上あまり重視していない。生死の極度の緊張の中にあって、人間の本質が顕著になりやすいことは実に納得のいく話だが、そこには喜怒哀楽だけでなくあらゆる不条理が潜んでいる。それがこのドラマの狙いだったのだろう。
鉄拳制裁
日本の軍隊モノと言えば誇張はあるかもしれないが「鉄拳制裁」は付きものである。
兵隊として来たからには戦闘拒否や敵前逃亡は許されない。しかし「コンバット」ではどうか。叱責、激励は多々あるし、仲間内の喧嘩騒ぎは珍しくもないが、そんな中でサンダース軍曹が暴力に訴えたのは152話の内「ならず者部隊」と「恥知らず」の二つであったように思う。あらゆる不条理、無理難題の命令であっても「ベストを尽くす」のが軍曹である。しかし、自己都合によって部下や仲間を危険にさらす者には、さすがに我慢がならなかったのだろう。何かに付けて威張り散らし、殴る蹴るが常套手段の帝国軍人とは大違いである。
ドローンとミサイル
「コンバット」では小銃、手榴弾、機関銃、戦車と大砲が主な兵器である。勿論、戦闘機や爆撃機も健在であるが、60年後の現代でもこれらは重要な兵器であることに変わりはない。
戦争がある度に新兵器が登場すると言われているが、現代の戦争で登場したのがドローンとミサイルである。これにはGPSも無関係ではない。確かに当初の目的は軍事的な利用であったかもしれないが、以前から精確な位置情報を得るために商業利用されて来たものである。その意味でGPSは今回の戦争による新兵器ではないものの、ドローンやミサイルには必要不可欠な技術であろう。商業衛星や農業機械、或いは物流、運輸、通信といった民生品が兵器に「転用」されるのは、ICも含めて60年前と比べてはるかに高い比率になっていると思われる。
安全と幸福を求めて
より良い生活と幸福を求めて科学技術は発達して来たはずである。しかし人々はどれだけ幸せになれたであろうか。「戦争」は破壊と殺戮そのものである。地上には今も一億個以上の地雷が敷設されており、日本の総人口に相当する人々が着の身着のまま流民(難民)となって世界を彷徨っている。発達した科学技術の恩恵は何処にも見当たらない。それが目の前の現実である。
歴史による教訓
アフガニスタンやウクライナ、ミャンマー、パレスチナなどのNewsを見るにつけ、
「人間は歴史から何も学んでいない」と思う。
これが152話を一気見しての観想であった。