つむじ風

世の中のこと、あれこれ。
見たこと、聞いたこと、思ったこと。

リンズ1551

2013年02月17日 18時24分06秒 | Weblog

 リンズ(Lynds)は女性天文学者の名前、博士の作成したリストの1551番目が、おうし座のLynds1551。このリストは「暗黒星雲カタログ」とも言われている。彼の地、暗黒星雲は星々が生まれる処と言われている。今回ロシアのウラル地方チェリャビンスク州に落下した隕石も、どこぞのこうした暗黒星雲で生まれたものなのだろうか。

 ISAS(宇宙科学研究所)のWeb pageのコラムによれば、Lynds 1551の赤ちゃん星(原始星)は双子なのだとか、GIMP 2を駆使してLynds 1551のイラストに挑戦してみた。回転するガス円盤、そして噴出するガス(双極分子流)。直交する部分には原始星が出来る。どうだ!。



 もっとも、億単位の年数が掛かる話しなんだけどね。

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ハレー彗星の科学

2013年02月15日 21時02分55秒 | Review

 ―星空のパスワークー
 的川 泰宣/新潮文庫

 彗星については人類太古の昔から、何かと言われてきた。未発達な天文学の下では天変地異と同じく、不吉な予兆として迷信がはびこった時代もあった。長い天動説の時代を経て、地動説の時代になってからも、なかなかその実態を知ることは出来なかった。星の運動が円から楕円に軌道修正することすら難しかったのである。アリストテレス、ヒッパルコス、コペルニクス、ブルーノ、ブラーエ、ケプラー、ガリレオ、ニュートン、ハレー、シュミット・・・歴代の天才天文学者達が、次々登場し、円卓を囲んで彼らのエピソードを聞きながら、過去から現代へ向かって時空を旅するような感覚で読み終えた。人類の歴史と壮大な宇宙への思いが込められている。今、再び星の瞬く夜空を見上げるとき、先人達の思い描いたロマンが、その生涯を掛けた熱意と努力と共に伝わってくるような気がする。物語だけでも充分楽しいのだが、何と言ってもカラーのイラスト挿絵がまた楽しい。

 宇宙の広大さ、神秘さ、不可解さがよく解るような気がした。本書のねらいがどこにあるのかは別にして、改めて「不可解さがよく解る」というのは矛盾する表現かもしれないが、「解ってないことがよく解った」というべきなのかもしれない。

 14日、BSプレミアムのコズミックフロント-発見!驚異の大宇宙-で、「ムーンラッシュ! 月開発最前線」という番組があった。最近、月に水があることが判り、更に新しいエネルギー資源となるヘリウム3が大量に存在する可能性が出て来た。いきおい、あらゆるものが早い者勝ちということなのか、宇宙開発の舞台裏では3,000万ドルの懸賞金付きで既に中国、ロシア、インド、アメリカ、日本が入り乱れて月の開発にしのぎを削っているらしい。

 折しも、今朝方(15日の9時23分頃)ロシア・ウラル地方チェリャビンスク州付近で隕石とみられる物体が落下し、大気圏内で大爆発したらしい。衝撃波で割れた窓ガラスの破片などで500人以上が負傷し病院で手当てを受けており、うち3人は重傷とのこと。隕石は破片が3カ所に落下し、うち二つが既に発見された模様だ。

 更には、明日朝4時半ころ、小惑星(仮符号)2012DA14が地球に最接近するという。それも静止衛星の下を通過するというから驚きだ。何としても落下せずにおとなしく通過してもらいたい。もしこれが落下するようなことがあれば、ロシアの隕石どころではないことは確かだから。足下からは震災が、横からは核実験が、頭上からは隕石が、いやはや大変な時代になったものだ。

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眠れぬ真珠

2013年02月08日 11時41分56秒 | Review

 石田 衣良/新潮文庫



 著者の名前はイラ(衣良)と読むらしい。東京生れの53歳。40歳の少し手前から作品を発表、それまではコピーライターをしていたとのこと。作家としては13年ほどになる。年1作くらいは新作を出しているようだ。「眠れぬ真珠」は比較的最近(6~7年前)の作品らしい。作家も創作的な仕事に変わりはないが、コピーライターはもう辞めたのだろうか。

 「眠れぬ真珠」の主人公は内田 咲世子 45歳 職業 版画家。最初、著者は女性かもなと思いながら読んでいた。紛らわしい名前も原因の一つであるが、何よりも文章から受けるソフトなイメージが原因のようだ。読者の多くがそのことについて触れている。このインパクトは結構大きいのかもしれない。しかし、読み進むにつれて、やはりこれは男かと。

 17歳も若い恋人との付き合いを通して、主人公の心の変化をジックリと描写したなかなかの力作である。ところで、「年を取る」ことについて、作中主人公にその利点と欠点を言わせているが、これがまた結構的を得ていて考えさせられる。「年を取る」ことは誰しも避けて通れないことであるが、こんな風に向き合うこともあるのだと共感した。

 「眠れぬ真珠」というのは、作中「光を外に反射して輝くダイヤモンドのような女性と、光を内に吸収して輝く真珠のような女性」といった表現があり、主人公は「真珠」側なのでお題のような例えになるらしい。「黒の咲世子」話しは最後も「黒真珠」で決めている。

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第三の時効

2013年02月01日 22時09分42秒 | Review
 横山秀夫/集英社文庫

 著者は新聞記者の出身でなかなかの苦労人、大変な時代もあったようだ。週間少年マガジンに漫画で連載したこともあるらしい。作品には「半落ち」「クライマーズハイ」「臨場」などがあり、いずれもTVドラマ化されているから、そちらの方で有名なのかもしれない。私はそんなことも露知らずノホホンとTVを見ていた訳だが、なかなか心理描写が鋭い作家らしい。

 この文庫本には6編の作品が収められている。お題はその2番目の作品から採用している。小説は背景や登場人物をあまり変えずに、それぞれ独立した話しになるように組み立てられている。作品によって主人公が交代するものの全体としては同じ背景の中で語られる。主な主役は朽木、楠見、村瀬の3人の刑事。だが3人の周辺の人物も主役的に登場するするから、そこはあまり強調すべきでないだろう。この文庫本はF県警強行犯シリーズということになっているらしい。

 なぜお題に「第三の時効」を採用したのか判らないが、6編の作品の中ではこれが一番面白いかもしれない。まあ、人それぞれで、好みの問題ではあるが。 この「F県警強行犯」シリーズは結構な人気で「是非続きを」という要望も多かったらしい。それで著者はすっかり気を良くして続編を書いているとか。

 しかし、サスペンスはどうしてこうも「警察モノ」が多いのだろうか。弁護士や裁判官、判事、検事なども似たような立場にあるが、圧倒的に「警察モノ」が多い。やはり権力による真相追求とか、証拠収集とか、犯罪捜査とかそんなものが日常的に身の回りに存在するのはやはり警察以外にないからということだろうか。
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