つむじ風

世の中のこと、あれこれ。
見たこと、聞いたこと、思ったこと。

フィクション5

2012年01月21日 10時07分24秒 | Review

 その後、読書は更に進む。

駆込寺陰始末
 隆 慶一郎/光文社文庫
 麿、八兵衛、おかつが主な登場人物。鎌倉が舞台だから何となく地理的近さもあってか身近にも感ずる。また、主人公とはそうしたものかも知れないが、「麿」は恰好が良すぎる。八兵衛はそれなりだが、女房のおかつの活躍の場が無かった。「強力で千里耳の大女」ということだが、その忍びの活躍が無かったのがいかにも残念だ。この辺を書き込むのはなかなか難しいかも知れないのだが。これもまた、この先続きがありそうな、、、。

スマグラー
 真鍋 昌平/講談社
 いかにも現代風漫画本で、勿論スリル&サスペンス。ちょっと、架空が過ぎるところもあるが、全体としてはリアルにまとめている。小説にしても面白いくらいのセンスがあると思う。空虚で無力感、脱力感に満ちた現実に、迷いながらも立ち向かう「砧(きぬた)」の後ろ姿が悲しい。まあ、漫画の世界のことなんですけどね。

ニッポンの単身赴任
 重松 清/講談社文庫
 単身赴任と言えば、私にも身に覚えがある。その生活感の無さ、妙な軽さが判る。居酒屋通いも理解できる。根無し草のような地に足の付かない生活だった。短い間なのだから、いろいろと生活道具を揃える訳にもいかない。思い切り趣味を展開するのもどうかと思う。そんな事で、最低限の生活環境の中で、落ち着かない居心地の悪い日々になってしまう。酒の飲めない私でも居酒屋通いが唯一の楽しみだった。今となっては懐かしいと同時にほろ苦い思い出になっている。そんな日本独特のビジネス習慣について「生活者」の視点でまとめたもの。単身赴任生活を「楽しむ」には、それなりの思い切りが必要なのだと思う。

風花踊る
 芝村 凉也/双葉文庫
 1月15日、返り忠兵衛の第四弾が出た。ここに来てやっと、「いずれは兄の汚名を晴らし、紗智を嫁にして定海藩主に返り咲く」という筋書きが見えてきたような、、。この調子で行けばHappy Endかと思われるが、話しはまだまだ続くらしい。忠兵衛本人は自らを不遇、不運だと思っているのかも知れないが、本当はたぐい希なる強運の持ち主であることが徐々に判明する。単純に言えば、それは「ヒーロー」だから。しかし、「出たがり、目立ちたがり」でないところが秘かに共感を呼ぶところだと思うが、「筧 忠兵衛」最後の締めが難しい。

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CO2削減のその後

2012年01月20日 11時49分27秒 | Weblog

 CO2排出量のモニタリングも今回で過去4年間のまとめになる。4年間が長いと言えば長いのだが、地球の歴史のような時間軸からすれば、あまりにも短い時間だ。ここに来て我が家の年間「CO2総排出量」は、どうやら平均3.1(t)と定まったようだ。

 家屋形式や生活スタイルを変えない限りこの辺が限界かと思われる。また4年間における消費電力の時間あたりの平均値は296(Wh)だった。原発依存に否定的な立場としては平均200(Wh)くらいに収めたいところだが、それは簡単に実現できる数字ではないと実感される。

 電気自動車の矛盾
 電気自動車は一見クリーンでCO2削減に大きく貢献出来るような感覚があるが、しかし、実はオール電化と同じように「原発推進」を助長する。充電する時のエネルギー変換効率の悪さから、少しも省エネ、CO2削減になっていないばかりか、より電気を消費拡大する生活におとしめようとするものである。原発が順次停止している今となっては、火力発電によってCO2排出が増大するばかりである。その意味では、省エネ車やハイブリッド車の方がはるかに環境に優しいと言えるのではないだろうか。ただ、優等生のハイブリッド車も、高負荷となる坂道では「モーターとエンジンが頻繁に切り替わる」ため、通常の省エネガソリン車より高い濃度のCO2が排出されるという話しもある。

 CO2削減の矛盾
 自動車については、もう1つの矛盾がある。CO2削減のためにエンジンの燃焼効率を良くすることは勿論だが、その他に排気ガスからCO2やNOxを取り除くために、触媒という装置(フィルター)が使われている。このフィルターには白金(プラチナ)が大量に使用されている。実はこの白金(白金族:パラジウム、ロジウムを含む)がまた問題なのである。白金は貴金属元素で、主な産地は南アフリカ(75%)である。既に枯渇の問題もささやかれている金より貴重なレアメタルであるが、何しろこの白金を精錬するのに、実は大量の電気を必要とするのである。金属一般に言えることだが、アルミは「電気の大食らい」で昔から有名だ。しかし、白金の「大食らい」はアルミの比ではないらしい。融点で比較すると、アルミが660℃に対し、白金は1,768℃と言うから、おそらく3~4倍のエネルギーが必要になるものと思われる。結局、自動車のCO2を削減しても、実は別なところでそれ以上にCO2を排出しているのである。そればかりか、彼の地ではその他諸々に関連した公害も進んでいるらしい。

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規律なき予算・節操なき借金

2012年01月05日 18時19分28秒 | Weblog

 何をバカなと思うかも知れないが、このほど国の予算の半分が借金となったらしい。いろいろ会計上のやりくりをしているようだが、もう限界に来ている。にも関わらず、新幹線の新設工事だの八ッ場ダム工事再開だの公共事業は拡大の一途だ。東北震災の復興にかこつけて超メタボリックになっている。しかし、それでいて消費税増税とは一体何をどう計算すれば納得できるというのだろうか。

 国の借金には、いろいろな指標があるが、
1.2012年の政府予算案・・・総額90.3兆円(うち49%が借金)
2.2012年の税収予測42.3兆円・・・新規発行国債(借金)は44.2兆円
  しかもこのなかで、既に消費増税は折り込み済みなんだとか。
3.借金は累積1千兆円・・・(国内総生産(GDP)の2倍を越える)

 ギリシャの借金は、当初GDPの4%程度と言っていたが、実は14%になっていたと言うことで大騒ぎになっているが、それでも日本に比べればたいしたことはない。にも関わらず消費税は19%から23%に増税したらしい。日本とギリシャの相違する点は、借金の性質である。日本の借金は国内で調達されたものが大半であるに比べて、ギリシャのそれは、大半がギリシャ以外の国から調達したものらしい。従って、返済不能ともなれば、カネを貸したユーロ圏の国、銀行がたちまち窮地に陥るのである。GDP自体、30兆円(ギリシャ)と500兆円(日本)ではケタが違うとは言うものの、借金という性質には変わりない。累積でも119%(37兆円)と言われるが、これがユーロ世界を不安に陥れている。

 日本の借金について、今の所誰もあまり文句を言わない。それは、国民相手の借金だからであって、返済が滞っても、日本国民が困るだけで、国際社会はさほど被害を被らないからである。それにしても日本の借金(1千兆円)は、いかにも膨大だと言わざるを得ない。例えGDPが大きくても、将来それを維持できるとは限らない。勿論、この先にわかに景気が良くなるとも思えない。一体、何を根拠にこんな借金をするのだろう。 この状況はどこかで聞いたことがあるような、、と思ったら夕張市の破綻である。年商(標準財政規模)約45億円の夕張市、累積の借金残高は年商の10倍を超える600億円以上と言われている。15年以上にわたる自転車操業(粉飾を含む)の結果である。夕張市の人口は減少の一途をたどり、ついに10分の1(1万人少々)となってしまった。そして未だに再建の目処は立っていない。ギリシャの債務危機は改革先延ばしのツケだと言われているが、まさか、これが日本の未来なのではあるまいな。

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主婦年金の問題

2012年01月04日 17時15分55秒 | Weblog

 年金の問題は、課題も含めてあまりにもたくさんあって、何が何だか混沌としてきた感があるが、「主婦年金」については、まだ記憶に新しいだろう。夫の退職時に厚生年金から国民年金に切り替え申請をしなかったため、「未払い」となり多くの主婦が低年金になるという問題。厚生労働省はこの救済措置として、いきなり「保険料を納めなくても良い」ということで済まそうとした。擦った揉んだの末、この「救済措置」は撤回となった。
 似たような問題で、「本来よりも多く年金を受け取っている」人(そのような人が居るらしい)に対する措置として「既に過剰給付された年金は返還不要」という法案もある。

 なぜ、こんな問題が起こるのだろうか。主婦か「厚生年金から国民年金に切り替え申請をしなかった」として「未払い」となったとしても、遡って支払うという救済がある。仮にそれでも不足な場合は、60歳~65歳の間に任意加入で5年分をカバーするという手もある。随分以前から、年金についてはあ~だこ~だと話題になっているのに知らなかったでは済まされない。そもそも、年金であっても「受益者負担」なのではないだろうか。それを「未払い」の人も「払い済み」にするなどというのが「公正、公平」であるというのなら、誰も払う必要はないだろう。

 厚生労働省は、これらの勝手な措置に対して誰がどのような責任(権限)で行ったものか「検証チーム」なるものを作って調査したらしいが、そもそも同省内の検証チームであり、結果は好きなように出来る。案の定、誰が承認した訳でもなく、誰が責任者でもなく、「うやむや」の見本のような形で(誰一人この混乱の責任を取ることなく)終息の方向だ。どうも、国民の年金は全てが他人事であり、どうでもよいことのように思われているらしい。国民にとって死活の問題である「年金」を、こんな無責任な管理組織に任せておいてよいのだろうか。

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アメとムチ

2012年01月02日 18時16分25秒 | Weblog

 先頃、政府は沖縄に対する諸々の方針を決めたらしい。
(沖縄県は、「使用収益が上がるまで」ということで、ほぼ無期限を要求)
基地返還後の土地の現状回復、その間の地主への生活保障などで、その期間を4年から4年半としていたが、その保障期間を年単位で延長する。
(沖縄県は、「特定跡地」と「大規模跡地」の区別無く給付を要求)
更に、大規模跡地では「使用収益が上がるまで」支給期間を延長するつもりらしい。
(沖縄県は、年間1千万円の上限撤廃を要求)
しかし、給付は地代相当額の年間1千万円を上限とすることはなんとか維持した形である。

 また、これとは別に沖縄振興予算というものがあり、これを2937億円に大幅増額(前年度2301億円)することにしたらしい。そのうち、一括交付金は1575億円=前年度一括交付金の約5倍)である。沖縄県の要望に満額回答した形だ。同じ予算でも一括交付金は、その使い方の制限が少なく、自治体にとってより自由度が大きい予算となるらしい。
(沖縄県は、今後も3000億円規模の予算継続を要求している)

 沖縄の人口140万人に対して、2937億円の交付金。計算に間違いがなければ、つまりは県民1人当たり21万円の給付となる。「子ども手当」なんてものじゃない。生まれたばかりの赤ん坊から年寄りまで1人の漏れもなく21万円が給付される計算だ。その他、長期に及ぶ地代家賃もある。これは誰が見てもやはりアメである。この補助金はやがて、琉球国の気概を無くし、県民の創造力を衰退させるだろう。もし沖縄の未来が損なわれるとしたら、この補助金以外にはあり得ない。

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振り返れば

2012年01月01日 15時55分04秒 | Weblog

 「東日本大震災」はその衝撃の大きさから言っても2011年を代表する出来事である。亡くなられた人は2万人近くにもなり、通常の事故や災害とはケタが違った。この衝撃が和らぐのは一体いつになるだろうか。「希望」や「絆」が持ちこたえてくれれば良いのだが。

 同時に東電の「原発事故」が暗い影を落とす。安全神話が崩壊し、「想定外」が横行した。メルトダウンは映画の世界の話しかと思ったが、意外にも近隣の話しだった。解き放たれた放射能の影響は、「東日本大震災」よりも長い間、その黒い影を落とすかもしれない。その影響下にある地域では、この先希望を見いだすことが出来るのだろうか。このこととは裏腹に、来年度から「料金値上げ」を発表した東電は「高らかにその権利を主張」する。「やらせメール」の九州電力といい、電力会社の認識は何処かおかしい。まるで何かに取り憑かれているかのようだ。

 そして、「円高」も止まらない。1ドル=75円の水準は大戦後の最高値になるらしい。多くの国内企業が海外シフトを考えなければならないほどの高値なのである。 そこに追い打ちを掛けるように、タイでは大洪水が発生し、日本の生産拠点が長い間操業を停止した。水が引いてからも再開がなかなか進まない。まったく「踏んだり蹴ったり」とはこのことか。

 同時忍び寄るのが「世界債務危機」である。国の借金返済が不可能になる(=手形の不渡り)という危機である。今後次々とやってくる借金返済日にシッカリ対応することは出来るのだろうか。日本における状況は、ユーロ圏のギリシャやスペインとさほど変わらない。もしも、破綻するような事になれば全ての計画は頓挫してしまう。

 この信用不安を加速させるのが日本企業の不正だ。九州電力、オリンパスや大王製紙は言うに及ばない。これだけグローバルな環境にあって、何故かその行動は江戸時代の「お家騒動」の域を出ない。あくまでも「井の中の蛙」なのだ。これらの難解、複雑な多くの問題を今年は少しでも区切りを付けたいものだと思う。12月31日、オウム真理教の平田 信が16年間の逃亡生活に区切りを付けて出頭した。そう、平田が言うように何としても「区切りを付ける」ことが必要なのだ。

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