つむじ風

世の中のこと、あれこれ。
見たこと、聞いたこと、思ったこと。

続・禅寺丸

2009年10月24日 09時28分20秒 | Weblog


 どうやらこれが「禅寺丸」らしい。Wikipediaによれば、川崎市麻生区原産の柿の品種だそうで、別名、王禅寺丸柿とも言う。日本最古の甘柿の品種と言われているものだそうな。柿には「完全甘柿、不完全甘柿、渋柿」の3種類があるようで、「禅寺丸」は「成熟時に渋が残ることがある」不完全甘柿に属するらしい。

 柿の評価としては、「全体的に丸みを帯びており、小ぶり。果肉には木目状の斑点がある。小ぶりの割りに種が大きく、果肉部分が少ない。」とある。いや、まったくその通りで、よくスーパーで売っているものは、少し扁平だが、「禅寺丸」は名前の通り、ほぼまん丸だ。そして小ぶり。まだ食べてないので判らないが、どうやら種ばかりで食べるところが少ないらしい。
 明治の頃には名古屋方面へ出荷するくらい生産していたが、新品種の完全甘柿「富有、次郎」に押されて市場から姿を消したとされている。まるでシーラカンスみたいな柿だ。

 時は1214年(建保2)の鎌倉時代まで遡る。川崎市麻生区にある星宿山蓮華院王禅寺の山中で自生しているものを偶然に発見したのが始まり。それまでは日本各地の柿木は全て渋柿のであり、甘柿の存在は知られてなかったという意外な事実がある。それで「日本で最初の甘柿(不完全甘柿)として位置づけられている」らしい。

 「1333年(元弘3年)王禅寺は新田義貞の鎌倉攻めの兵火で消失したが、1370年(応安3年)に再建にあたった等海上人が、柿の熟しているのを見つけ、あまりにも美味であったため、持ち帰り、村人に接木をして栽培させるとともに、近隣にも栽培を広めた。」それで、この近辺には「禅寺丸」がアチコチにあるという訳だ。しかし、種ばかりの柿ではワイン造りも大変だろうといらぬ心配をしてみたり。

 最近、禅寺丸ワインの話しをする機会があって、例年通り12月1日にお店に出るか、という話しになった。ところが、農家の年寄りが例年「柿もぎ」をしていたのだが、ここに来て高齢化、「柿の木に登るのはもう勘弁!」ということになりつつあるらしい。では「柿もぎ」は若者にやってもらえば、と思うのだが、どっこい最近の若者は「木登り」を経験したことがないようで、これまた誰もやってくれない、ということになっているらしい。もともと年間3,000本しか生産しない我が町特産の「禅寺丸ワイン」ではあるけれど、今年は無いかも!?ということだった。


禅寺丸?

2009年10月22日 13時35分36秒 | Weblog


 高い空に立派な柿が映える、そんな季節がやって参りました。すっかり葉も落ちて、ただただ柿の実だけが残っております。私の住んでいる周辺では、よくこのような風景が見られます。今年は豊作なのか、鈴成りに成っている柿の木もあります。しかし、渋柿なのか、誰も取りません。やがては鳥達の餌になるということでしょうか。鳥達も、今少し熟れるのを待っているようです。
 柿生ふる柿生の里
 名のみかは禅寺丸柿
 山柿の赤きを見れば
 まつぶさに秋は闌けたり
          北原白秋
 小田急線に「柿生」という駅があるのですが、そもそもこの多摩周辺は、柿の発祥地なのだという話しを聞いたことがあります。気候が「柿」に適しているのでしょうか。Netでちょっと調べると石川県の能登町にも「柿生」という住所がありますね。近畿地方でも「柿」は採れますね。昔は「干し柿」作りが盛んだったように記憶していますが、関東の「柿」とは種類が違うのかもしれませんね。まあ、「柿」は結構広く分布していますから、別段不思議なことではありませんが。
 「柿」と言えば、これでワインができるという話しを近所の酒屋さんで聞いたことがあります。で、またもやNetでちょっと調べて見たら、何とオラが町の特産になっているようです。「禅寺丸」という柿を使うそうで、市内でこれを集めて山梨のワイナリーに運んで作ってもらっているらしいです。でも年間3,000本ということですから、めったにお目に掛かりませんね。
 今頃は醸造の真っ最中で、Nouveau(ヌーボー)発売は12月1日と決まっているようです。
(写真の)近所の柿の木は、どうやら「禅寺丸」ではないようです。


多様な意見

2009年10月20日 19時00分09秒 | Weblog

 こと、環境問題に関して、世の中にはいろいろな意見がある。
●否定派
「温暖化や、温暖化人為説には否定的な学者も多い。地球には数十億年の歴史があるのに、たった数十年の短期間の研究じゃ実際にはどうなのか分かるはずがない」
◆確かに量的な測定についてはあまりに大規模すぎて、他の条件もあり、簡単には計り知れない。しかし、「70年前の戦時中のご都合計算と、現代の科学的検証を一緒に考える事自体ナンセンス」であり、この間のデータの蓄積と検証確度の高さは昔と比べるまでもない。更に、このようなことは今まで経験したことはない訳だから、どのような結果になるか誰も知るよしもない。故に「関係ない」かどうかも判らない。しかし、我々が心配すべきは「関係ある」ことが判明したとき、「既に手遅れ」或いは「数百年に渡って修復を余儀なくされる」ことではないだろうか。
●楽観派
「そもそも温暖化してるかどうか不明だし温室効果ガスのせいかも分かってない。人間の活動だけだったら氷河期、間氷期なんてない訳だから、関係ないだろう」
◆最もらしい楽天的な考え方だが、果たしてそうなのか。「地球にとって1万年があっと言う間なら、1世紀=100年は一瞬。100年で4度も気温が上がるなんて、世界中の火山が爆発するでもない限り、間氷期だろうがなんだろうが自然現象だけでは起こり様もない。これは人間の生産活動による異常意外に考えられない」という考え方もある。
●懐疑派
「温暖化で騒いでいる人たちは、地球温暖化シンドロームとでもいうべき、自意識過剰の一種だ」或いは地球温暖化が問題であるという考え方を「盲信する愚民ども」と決めつけ、「シロクマが小さな氷の上で途方に暮れているようなシーンや、極地の氷が崩落する映像を見ただけで短絡的、情緒的に「ああ、温暖化だ。やばいね。二酸化炭素の排出を削減しないと!」なんて思っているのはバカ丸出しの愚民だ。少しまともに考えれば温暖化はただの自然現象に過ぎないと気付く。少しまともに考えれば人類は地球環境を破壊するような力を持っていないことに気付く」はず」
◆確かに「無知蒙昧」は困るのだが、果たして「愚民」と決めつけてよいものか。一部の意見ばかりを取り上げて過剰に不安を煽りたてるのは確かにおかしい。しかし、CO2対策は省エネルギーや資源節約にもつながるし、続けていくべきで、浪費を推奨することはとても出来ないだろう。従来「人類は地球環境を破壊するような力を持っていない」はずだったが、気が付かないうちに原子力然り、CO2然りなのだ。これを認識せずに、ただ「愚民」と決めつけているだけでは何も解決しないどころか、自らが「愚民」になってしまうだろう。
●原因派
「この地球温暖化の原因は、CO2より、メタンガスなんだよね。メタンガスは牛、豚、羊などの四足動物がゲップで、大量に放出する。膨大な新興国の人々が、最近豊かになり、肉食しだしたのが大きい!」これが原因だ。更には「地球温暖化を言い出したのはイギリス。でも、本当のことは言えない。言えば「英国は肉食止めれば?そして今度から世界は魚食へと変更するべき!」と言われるだろう。イギリスはCO2悪玉説を取り上げて、国際社会を誘導したいだけなのだ」とか。
◆確かに温暖化の原因は二酸化炭素を含めて6種類上げられており、その中にメタンや一酸化二窒素なども含まれる。しかし、大昔から動物が生きていく上で繰り返してきた再生可能な循環と、ここ200年の間に化石燃料を使うことで発生させた「二酸化炭素」とではまるで意味が違うだろう。人為的に「二酸化炭素」を大量放出させていることは、例えイギリスが何を言おうと関係なく、疑う余地の無いことなのだ。
●ケチ派
先日(2009/10/09)発表された「日本の気候変動とその影響」という報告書を指しているのだが、「(わざわざ研究費をつけて)IPCCと同じような結論を、IPCCと同じような手法で、IPCCとは別に分析する意義がどこにあったのか、それが一番の疑問」というご意見だ。
◆確かに英訳しただけでは、「研究費」の意味がないのだが、今回の発表は日本を取り巻く環境を正確に測定することで、IPCCの結論を「検証」するような内容になっている。従って、IPCCの結論に沿わないところもあり、それはそれで「確認できない」という見解を出している。更にその上でスーパーコンピューターを活用して今世紀末の予測を立てたのである。「盲信する愚民」とならないためにも、科学的「検証」は不可欠である。
                 


気候変動予測

2009年10月14日 13時26分43秒 | Weblog

 世界の平均気温は1850年から80年ほど13.7℃であった。産業革命が1760年とすると、その170年後の1930年頃から様子が変わってきて、現状(2010年)ではプラス1℃の14.7℃にならんとしている。1℃くらいの変化は、たいしたことが無いように思えるかも知れないが、通常、お湯を沸かすとき1℃温度を上げるために、それなりのエネルギーを使用する。これを地球規模で考えると、1℃の気温を上げるためには、膨大なエネルギーを必要とするはずである。そう考えると、地球上の平均気温が1℃上がるということは、にわかに信じ難いことなのだが、北極、南極の氷の溶け具合を見ると、その変化は明らかである。更には、ロシアの永久凍土が近年溶けだしていることを見ても、その影響を受けていると考えるのは、それほど矛盾した考えではないだろう。

 先日(2009/10/09)、環境、文部科学両省及び気象庁は、今世紀末の「日本の気候変動とその影響」と題して今後の予測を発表した。今世紀末、地球温暖化対策を世界的に強化した場合は2.1℃、何もしなければ4.0℃上昇するという予測である。これは何も目新しい見識ではなく、既にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)がまとめた報告書に基づくものである。これに日本国内で観測した詳細な過去の気象データを加味して、スーパーコンピュータでシミュレーションした結果が今回の報告書だ。温暖化対策を強化しなかった場合の真夏日は40日から80日に増加、年間降水量は対策の強化有無に関係なく何故か5%ほど増加するというものであった。

 真夏日が80日になるということは、その他の日が短くなるということだが、春と秋が今まで通りとすると、冬日は今までの半分になるということらしい。海面水位については今の所目立った変化は観測されていない。また台風の巨大化、強力化も今の所具体的な観測結果を得ていない。しかし、空気中のCO2の増加は確実であり、同時に海水の酸性化もはっきりしている。今後、2℃、3℃と平均気温が上昇したとき、具体的にどうなるか、それは本当のところ誰にも判らない。やがて生態系も変わり、長く馴染んできた日本固有の植物や虫達はいつの間にか姿を消して、見たこともない虫や動物、植物がはびこることになるのだろうか。


                  


 


Winny

2009年10月11日 09時39分23秒 | Weblog
 フリーのソフトは山ほどあるが、「Winny」ほど名を馳せたものは数少ない。2004年5月9日、このP2Pファイル共有ソフト「Winny」のProgram開発者が京都地方検察庁によって摘発、逮捕された。「Winny」が2002年5月6日にNet上で公表されてから2年後のことである。問われた罪は「著作権法違反幇助(ほうじょ)」というものだった。更に2年後の2006年12月、京都地方裁判所の一審の判決は「有罪」で150万円の罰金、その後検察側、被告側双方がこれを不服として控訴、そして今回(2009/10/08)大阪高等裁判所の、いわゆる控訴審の判決は、一審の判決を破棄して「無罪」とした。私はこの判決を当然のことと受け止めたい。

 要は原告(検察)側は「著作権法を侵すために悪意をもって開発したもの」と断定し、被告(弁護)側は「悪用の可能性は認識していたが、そのような意図はない」というものだ。

 そもそも、人間が作ったものには、大方ロクでもないものが多く、なかなか神が創造するような性善的な具合には行かない。包丁然り、車然りである。多くはその効果が絶大であると同時に、使い方を誤るととんでもないことになる。これらは単に、それを使う側の意志に掛かっていると言ってよい。つまりは人が神のご意志に逆らって「悪意をもって利用する」ために起こることであって、それを発明者や発見者の性にするのは見当違いも甚だしい。

 確かに、Winnyはウィルスに感染し易く、その機能故に被害甚大となった。更には便利であるが為にその危険性が指摘されても尚使用する人は後を絶たない。現在でもWinnyの利用者は40~60万人は居るだろうと推測されている。しかし、だからといってこれがWinny開発者の責任だとは言えないだろう。世の中には、人を殺傷する意外に目的が無いような地雷やクラスター弾、原爆といった最悪なものがある。にも関わらず、それを発明したり開発した人を「殺人幇助」で告訴した等という話しは聞いたことがない。