つむじ風

世の中のこと、あれこれ。
見たこと、聞いたこと、思ったこと。

火頭 密命・紅漣剣

2021年04月02日 17時56分10秒 | Review

―巻之五―
佐伯泰英/祥伝社文庫

 2020年12月13日初版。既読の「巻之三」「巻之四」の内容はすっかり忘れてしまったが、過去のレビューを見ると、このようなことであったらしい。

巻之三 密命 残月無想斬り
 火血刀剣という妖剣を操る石動奇嶽なる怪人との闘い。武田信玄の「草の者」という設定。

巻之四 刺客 密命・斬月剣
 大岡越前の密命、京都の探査、7人の刺客との闘争。将軍職を争う宗春の陰謀。

 気を取り直して「巻之五」に取り掛かる。時代は享保四年(1719)だ。「巻之一」で主人公の金杉は35歳だったから、今は45歳である。すっかり中年になってしまった。
 世は吉宗の「享保の改革」が始まったばかりである。今回の作品は全編を通して「火頭の歌右衛門」なる強盗殺人放火の夜盗との闘い。最終的には主人公達が勝利する訳だが、20人からの夜盗の資金源は吉宗に反感を持つ尾張とか。更には大岡越前に対する怨恨だ。この二つが利害一致で江戸に嵐を巻き起こし、震撼させるというもの。「痛快、時代エンタメ」の見本のような話しだ。
 その他、「定火消し」と「町火消し」の関係が面白い。どちらも幕府の政策の一環ではあるのだが、その構成が武家主体と町民主体では水と油、なかなか「互いに協力して消火」するのは難しかったに違いない。何と言っても「火事と喧嘩は江戸の華」だからね。

 ところで、ちょっと気になったが、最後に「お千」の姿が見えない。さては逃げ延びたか。





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