障害を知る、ということ。教科書のような本ではなく、感動がどうのという押しつけがなく、ああそういうものなのか、そうなのか、と自然に思えるような本。
長々とは語られない。ひとつの出来事、ひとつのテーマに見開き2ページで語られる本文が続く、いわば短編集。そのひとつひとつの文章の冒頭に4コマ漫画で描かれる、その話のさわりのようなもの。その4コマは、たった4コマの中に、そうなのか、という思いを持たされる。
ああそうなのか。これが重すぎず軽すぎない。そしてこの(ああそうなのか)を95回ほど積み重ねたときに、あるイメージができあがってくる。
それはここに描かれているひとりの自閉症児の個性であり、その原点になる自閉症の傾向であり、それを日常としていく、日常の中で発見を見いだしていく母親の姿であり、そこには自閉症という障害の一種類を越えて知的障害をもつ子の親に共感を持たせる内容がある。
おもしろいな、と思うこと。冒頭の4コマ漫画を読んでから本文を読むために、本文を読むときには本文に書かれている内容に関しての見通しができあがっている。
この本がもしも本文だけで構成されていた場合、読後の感想は少し変わってくるかもしれないと思う。内容の中のシリアスさ、重さ。こういったイメージが強くなるかもしれない、とも思う。
しかし4コマ漫画で構成されたエピソードは、その絵が語るものは日常の匂いがする。日常の匂いがする上に、くすっと微笑みをもつものもある。日常というものはそういうものなんじゃないか、とも思えてくる。
そうなんだよね。障害をもつ子どもがいるということ。それなりの困難や不便というものはあるし、迷いもある。でも、家族であるということは、それが日常なんだということ。それがイメージとして見えてくる一冊。
AC公共広告機構が「自閉症の認知・理解促進」をテーマに、2006年度の支援キャンペーンに「自閉症に生まれてきただけ」という広告を作った。
自閉症は「なる」ものではなく、先天性の障害である。ということ、この事実を知らない人はまだまだ多く、「自閉症になっちゃう」的な発言が自閉症児の家族を悲しませることを知らない人はまだまだ多い。
この広告キャンペーンだけでなく、「僕の歩く道」という実によくできたテレビドラマも、自閉症というものを全く知らない人に手渡すものがあるという意味は大きいものだと思う。
「イケイケ、パニッカー」は、「僕の歩く道」を見て、少しでも自閉症に関してもう少し知りたくなった自閉症と縁が無い人に、わたしはとてもすすめたい本だと思う。
こうした類の障害児の母親のいわば手記本で、再販を重ねられるものは少ないのだけれど、この本は五版まで出ていると聞く。生き続けていく本になってほしいな、と思う。
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長々とは語られない。ひとつの出来事、ひとつのテーマに見開き2ページで語られる本文が続く、いわば短編集。そのひとつひとつの文章の冒頭に4コマ漫画で描かれる、その話のさわりのようなもの。その4コマは、たった4コマの中に、そうなのか、という思いを持たされる。
ああそうなのか。これが重すぎず軽すぎない。そしてこの(ああそうなのか)を95回ほど積み重ねたときに、あるイメージができあがってくる。
それはここに描かれているひとりの自閉症児の個性であり、その原点になる自閉症の傾向であり、それを日常としていく、日常の中で発見を見いだしていく母親の姿であり、そこには自閉症という障害の一種類を越えて知的障害をもつ子の親に共感を持たせる内容がある。
おもしろいな、と思うこと。冒頭の4コマ漫画を読んでから本文を読むために、本文を読むときには本文に書かれている内容に関しての見通しができあがっている。
この本がもしも本文だけで構成されていた場合、読後の感想は少し変わってくるかもしれないと思う。内容の中のシリアスさ、重さ。こういったイメージが強くなるかもしれない、とも思う。
しかし4コマ漫画で構成されたエピソードは、その絵が語るものは日常の匂いがする。日常の匂いがする上に、くすっと微笑みをもつものもある。日常というものはそういうものなんじゃないか、とも思えてくる。
そうなんだよね。障害をもつ子どもがいるということ。それなりの困難や不便というものはあるし、迷いもある。でも、家族であるということは、それが日常なんだということ。それがイメージとして見えてくる一冊。
AC公共広告機構が「自閉症の認知・理解促進」をテーマに、2006年度の支援キャンペーンに「自閉症に生まれてきただけ」という広告を作った。
自閉症は「なる」ものではなく、先天性の障害である。ということ、この事実を知らない人はまだまだ多く、「自閉症になっちゃう」的な発言が自閉症児の家族を悲しませることを知らない人はまだまだ多い。
この広告キャンペーンだけでなく、「僕の歩く道」という実によくできたテレビドラマも、自閉症というものを全く知らない人に手渡すものがあるという意味は大きいものだと思う。
「イケイケ、パニッカー」は、「僕の歩く道」を見て、少しでも自閉症に関してもう少し知りたくなった自閉症と縁が無い人に、わたしはとてもすすめたい本だと思う。
こうした類の障害児の母親のいわば手記本で、再販を重ねられるものは少ないのだけれど、この本は五版まで出ていると聞く。生き続けていく本になってほしいな、と思う。