S嬢のPC日記

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「たったひとつのたからもの」:ドラマというものの効用

2004年11月01日 | たったひとつのたからもの
実話を元にしたドラマは、人々に何を残すのでしょう。
ドキュメンタリーは、人々に何を残すのでしょう。

昔、「小児病棟」という、
実話をもとにしたドラマがありました。
’80年の放送です。
[女性ヒューマン・ドキュメンタリー大賞 第1回優秀賞]
受賞作品のドラマ化で、桃井かおり主演、
視聴率が34.7%で長時間ドラマとして、
歴代ベスト4位(1970-2000)の記録を持っているドラマだそうです。
桃井かおりはこの作品で、
「ギャラクシー奨励賞」という賞も受賞しました。

わたしはこれを見ました。
衝撃を受けました。
原作本も読みました。

でも、子どもが生まれ、小児病院に入院し、
自分が「患児の親」として、病棟に入ったときに、
「あんなもんじゃない、
 あんなもんでは知ったうちには入らない」と思った。
今まで生きてきて、全く知らない世界があったのだと思った。

娘が長期の入院をしていたのは、
東京都立清瀬小児病院
この病院は、ドキュメンタリーの取材がよく入ります。
娘が退院したすぐ後に、
今は亡き逸見政孝の取材が入っていました。
ありがたいことに、主として取り上げられた手術は
娘と同じ手術で、
しかも担当医も執刀医も同じだった。
テレビカメラの取材で、その手術の詳細を映像で知ることができました。
テレビの取材が入ることで、
当事者さえも、より情報を得ることができるのだ、
とも思いました。

数年後、今度は木村拓哉の取材が入りました。
このときに、主として追いかけられたのは、
白血病の子でした。
闘病の中、子どもらしい様子や、いきいきとした様子が
脳裏に残っています。
番組では元気に終わりましたが、
その数年後、この子は亡くなりました。
視聴者は、このことを、知らない。
でも、この番組を見た人の中には、
この子が生き続けているかもしれないと思うと、
うれしい気持ちにもなります。

「感動」を商品にするものはいらない。
「涙」を娯楽にするものはいらない。

でも、丁寧に作られた番組ならば、
番組というひとつの題材を、
「知っている人」と「知らない人」の橋渡しとして
ほんの少しでも、使うことができるのかもしれない。

もう少し、もう少し、
高視聴率を記録した「たったひとつのたからもの」というドラマ、
これが人の中に残したものを
さぐっていたいと思っています。

*写真は、今日の娘の登校風景。
 むろん、隠し撮りです。
この後、一人のご婦人が 娘に一声かけ席をを詰めさせて、
娘の隣に座りました。
「普通に」扱っていただいている光景を
遠くで見ていた朝でした。

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